
秋田犬の女の子「まゆ」ちゃん(推定7歳)は、Xユーザーの秋田犬まゆさん(@mayu_30kg)一家と暮らしています。出会いは2021年3月。推定3歳で保護されたときのまゆちゃんは、全身が真っ黒に汚れていて、赤ちゃんを産んだ痕跡も残っていたといいます。どんな環境で生きてきたのか、詳しいことはわかりませんでした。
「保護団体の方に保護していただきました。預かりボランティアさんのお宅でお世話をしていただき、お見合いとトライアルを経て、うちの子になったんです」
家族として迎える決め手は、お母さまが写真を見て「一目惚れ」したことでした。先代も白の長毛秋田犬で、姿はまったく異なるものの、不思議なつながりを感じたといいます。
最初の日から肝が据わっていた新しい家族
新しい暮らしが始まった初日、家族は大きなケージを用意し、安心できる環境を整えました。散歩に連れ出すとすぐにお気に入りの場所を見つけ、落ち着いた表情を見せたそうです。
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「うちに来てもすぐにゴロンと寛いでいて、肝が据わっている印象でした。ただ、まだ心を許していないのか、警戒心が強くて。急に触ると唸られたり噛まれたり、フードアグレッシブもありました」
迎え入れてからすぐに心を開くことはなく、距離感に悩む日々が続きました。それでも「犬がいる暮らしはやっぱりいい」と思えたのは、犬と共に過ごしてきた時間の積み重ねがあったからでした。
「先代の子と比べて性格も行動も全然違って驚きました。どんな環境で育ったかもわからず、お互いに手探りだったと思います。だから無理をさせず、嫌がることは無理にさせないように心がけました」
不安と試行錯誤を経て、変わり始めた日常
家族と過ごすうちに、少しずつ表情が豊かになっていきました。最初は帰宅しても尻尾を振らなかったまゆちゃんですが、いまでは走り寄って遠吠えするほど感情をあらわにしてくれるようになったのです。
「今では家族が帰ってくると、尻尾を振って走り寄り遠吠えします。迎えたころには考えられない変化でした」
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そこに至るまでは、小さな困難もありました。フードアグレッシブで家族全員が一度は噛まれたこと、ハーネスを極端に嫌がって装着できなかったこともありました。
「上から撫でられるのが嫌いなので、上から通されるハーネスも苦手だったのだと思います。でも今では装着できるようになり、フードアグレッシブもなくなりました。迎えたころとはまるで別の子のように変わってくれました」
その変化に触れるたび、家族として受け入れられた喜びを実感するようになったといいます。
「守るからね」と誓う、かけがえのない存在
まゆちゃんの過去にはどんな出来事があったのか、詳しくはわかりません。けれど確かなのは、いま家族と過ごす時間が「第二の人生」となり、大切な絆を育んでいることです。
「保護されたときに大きな怪我がなかったのも幸運でした。ご縁があってまゆと家族になれたことを、本当に良かったと思っています。第二の人生は必ず幸せにすると、いつも心に誓っています」
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飼い主さんの言葉には、過去を背負う保護犬に寄り添う覚悟がにじみます。
「このまま元気で、これからもずっと一緒に暮らしていきたいです」
保護犬を迎えるということは、過去を知らない存在と新しい暮らしを築くことでもあります。最初から順調にいくわけではなく、警戒や不安も伴います。それでも互いを理解しようと時間をかけ、無理をせず寄り添うことで、確かな信頼と愛情が育まれていくのです。
まゆちゃんと家族の歩みは、その象徴といえるでしょう。真っ黒な姿で保護された犬が、いまは感情豊かに暮らし、家族に守られながら幸せな日々を送っています。
「犬と暮らすことは、やっぱりいいなあと感じます」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)