「知らなくて恥をかいた」「面倒に感じる」もやもや募る“エレベーターの上座下座”マナーは何のため?

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2025年09月02日 20:50  All About

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社会人が身に付けておくといいとされる「ビジネスマナー」の中には、本当に必要なのか疑問の声が上がる“謎マナー”なるものも存在しているようです。そんなビジネスマナーの疑問について、All About ビジネスマナーガイドの美月あきこが解説します。※画像:PIXTA
社会人が身に付けておくといいとされる「ビジネスマナー」。中には知らないと恥をかいたり、仕事に影響が出たりするものもあれば、一方で、本当に必要なのかと疑いたくなる“謎マナー”なるものも存在しています。なるべく気持ちよく仕事ができるよう、ビジネスマナーに関するもやもやを優しく解きほぐしていきます。

今回はAll About編集部に寄せられたエピソードの中から、「エレベーターの席次」に関するもやもやを紹介しながら、All About ビジネスマナー ガイドの美月あきこが解説します。

エレベーターにも上座、下座があるとは知らず……

All About編集部が実施した「ビジネスマナーに関するアンケート」では、エレベーターでの席次について、困ったという声が寄せられました。

「海外で働いた経験が長く、日本で働いてから会食で上座下座の場所をよく把握しておらず、上司に怒られたことがとても恥ずかしかった。また、エレベーターにも上座下座があるのも知らず、恥ずかしかったです」(20代女性/愛知県)

「新人社員の頃、上司や外部の取引先の方々を差し置いて真っ先にエレベーターに乗ってしまったことがあります。エレベーターの乗車順や乗る位置にまでマナーがあるとは知らなかったし、研修でもそこは習わなかったです」(40代女性/青森県)

「エレベーターの上座下座は必要あるのかどうかは、かなり疑問に感じました。誰がどの階で降りるか把握していても乗り降りする時邪魔になりそうだし、面倒に感じる」(20代女性/愛知県)

「さりげない気配り」が空気を和らげる

エレベーターは短時間の移動空間であると同時に、「公共の場」でもあります。同行する上司やお客さまへの配慮はもちろん、居合わせた他者への思いやりも求められます。

まず知っておきたいのは、エレベーターにも「席次」があるということ。出入口から遠い奥が上座、操作盤の前が下座とされており、上司やお客さまには奥のスペースを案内するのが基本マナーです。

自分が操作盤の前に立った場合は、目的階を押すだけでなく、周囲の人にも「何階ですか?」と声をかけ、代わりに押して差し上げましょう。ちょっとしたやりとりが、無言で張りつめた空気を和らげてくれるからです。

乗る順番にもさりげない気配りが求められます。すでに誰かが乗っている場合は、「開」ボタンを押したり、扉を押さえたりしながら、上司やお客さまを「お先にどうぞ」と案内し、自分は最後に乗るのが基本。

一方で、無人のエレベーターなら、自分が先に乗り込み「開」ボタンを押して上司やお客さまを迎えましょう。「どうぞ奥へお進みください」とひと言添えると、よりスマートな所作になります。

混雑時や急いでいる場面では、マナー通りに動けないこともあります。ドアが開いたとき、すでに多くの人が乗っていれば「次に乗ります。お先にどうぞ」と譲るようにしましょう。

また、自分が操作盤の前に立てない場合には、手を伸ばして無理に押そうとするのではなく「〇〇階をお願いいたします」と言い、押してもらえたら「ありがとうございます」と感謝を伝えることが大切です。

マナーの本質は、形を守ることよりも、“相手を思いやる姿勢”にあります。さりげない気配りがあれば、狭く窮屈な空間も、心地よい空間へと変化するのです。

<調査概要>
ビジネスマナーに関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査日:2025年5月12日
調査対象:全国20〜60代の250人(男性:90人、女性:158人、その他:1人、回答しない:1人)
※回答者のコメントは原文ママ

美月 あきこプロフィール

17年間の国際線キャビンアテンダント経験を基に人財育成トレーナーとして活躍。人財育成会社、CA−STYLE設立。全国で講演、研修経験多数。著書に『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』(祥伝社)など。
(文:美月 あきこ(ビジネスマナーガイド))

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