【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【シャーリーハイツ】
1970年代を代表する名馬ミルリーフ(英ダービー、凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなど通算14戦12勝)の代表産駒。同じ1975年生まれの同産駒には仏ダービー馬アカマス、本邦輸入種牡馬ミルジョージなどがいます。現役時代に英ダービーと愛ダービーを制覇しました。
種牡馬としても成功し、スリップアンカー(英ダービー)、ダルシャーン(仏ダービー)、シェイディハイツ(インターナショナルS)などの大物を送り出し、日本ではロゼカラーがデイリー杯3歳Sを勝ちました。ヨーロッパ血統における代表的なスタミナ源のひとつですが、それでいて切れる脚も伝えるタイプ。自身が英ダービーを勝ったときはゴール前で鋭く伸び、娘のロゼカラーも決め手に秀でたタイプでした。
「父サドラーズウェルズ、母方にシャーリーハイツ」というニックスは有名で、インザウイングス、ハイシャパラル、ミラン、アレクサンドローヴァ、エバディーラ、イズリントンなど多くの成功例があります。
父系は主にダルシャーンを通じて発展しましたが、残念ながら現在は衰退しています。
シャーリーハイツの息子で愛ダービー2着馬ディプロイは、コマンダーインチーフやウォーニングを兄弟に持つ良血。種牡馬としては平凡で、伊オークス馬ゾマラダーが数少ない活躍馬の一頭でしたが、同馬は名種牡馬ドバウィの母となりました。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「ノーザンダンサーの全兄弟は種牡馬として成功しましたか?」
世紀の名種牡馬ノーザンダンサーには3頭の全兄弟がおり、いずれも種牡馬となりました。ノーザンネイティヴとトランスアランティックは日本で、ノーザンエースはデンマークで供用されました。
競馬が発展途上にある国は、ハイレベルな国から種牡馬を継続的に輸入する必要がありますが、本当にいい馬は売ってくれないので、競走成績が物足りない良血馬や、名馬ではあるものの種牡馬として微妙な成績の馬を輸入してくることになります。ノーザンネイティヴとトランスアランティックは前者です。
ノーザンネイティヴは牝馬東京タイムズ杯と札幌3歳Sを勝ったウエスタンファイブの父。ゴーゴーゼット、ファンドリポポ、ポートブライアンズといった重賞勝ち馬に含まれています。トランスアランティックは根岸Sを勝ったエーコートランスの父。ヒダカハヤト、コスモセンサー、アッパレアッパレに含まれています。
2頭とも競走成績は貧弱。それを考えればよく頑張ったほうかもしれません。ゴーゴーゼット、コスモセンサー、アッパレアッパレはノーザンダンサーとの全兄弟クロスが生じています。
ちなみに、ノーザンダンサーの全妹アークティックダンサーは、繁殖牝馬としてラプレヴォヤンテ(北米で39戦25勝、アメリカとカナダの双方で殿堂入り)という名牝を産んでいます。