水上バイクやモーターボートでけん引する遊具「トーイングチューブ」(運輸安全委員会のウェブサイトより) 滋賀県の琵琶湖で、水上バイクやモーターボートでけん引する遊具「トーイングチューブ」による事故が相次いでいる。死傷事故も起きており、運輸安全委員会は速力制限などの安全対策を徹底するよう呼び掛けている。
県警地域課によると、野洲市の琵琶湖沖合では9月7日、水上バイクにけん引されたトーイングチューブに乗った男女2人が停泊中のボートに衝突。女性=当時(29)=が死亡し、男性=同(33)=が意識不明の重体となった。
前日の6日にも、大津市の琵琶湖上で、モーターボートにけん引されたトーイングチューブに乗った20代の女性が落水し、右腕を骨折する事故があった。当時ボートは時速約30キロで航行。方向転換する際に投げ出され、腕を打ち付けたとみられる。
運輸安全委神戸事務所によると、琵琶湖で水上バイクやトーイングチューブを含む浮具から落水するなどした死傷事故は、2009〜24年に92件発生。船舶事故とインシデント全体(234件)の約4割を占めた。
運輸安全委が過去に実施した実験では、水上バイクが旋回する際、遠心力の影響から浮具の速度は最大で水上バイクの約1.7倍になることが確認されている。
神戸事務所の担当者は、水上バイクやボートで浮具をけん引する際は、桟橋や停泊中の船など周囲にある障害物と十分な距離を取り、旋回時は減速することが重要だと指摘。トーイングチューブで遊ぶ人に対し、ヘッドギアなどの保護具を着けるよう操船者が指示するなどの安全措置も求められるとしている。