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大津市内に住む元妻らを殺害しようとしたとして殺人未遂と住居侵入罪に問われた住所不定の元将棋棋士、橋本崇載被告(42)の裁判員裁判で、大津地裁(畑口泰成裁判長)は2日、懲役5年(求刑・懲役10年)の実刑判決を言い渡した。
橋本被告は2023年7月20日午前7時ごろ、元妻の父親宅に窓から侵入し、元妻とその父親をくわで殴って殺害しようとしたとして起訴された。
25年9月22日に開かれた初公判で、「間違った内容なので私は起訴されるべきではない」と主張。公判では、白いワイシャツと紺のスラックス姿で眼鏡とマスクを着用。髪は背中まで伸びていた。
橋本被告は、金髪にパンチパーマという派手な格好で対局に臨むこともあり、かつてはファンから「ハッシー」と呼ばれた人気のプロ棋士だった。
しかし、子の親権を巡って元妻とトラブルになり、元妻への名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕・起訴され、23年6月に有罪判決を受けた。判決が確定して12日後に今回の殺人未遂事件を起こしたとされる。
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橋本被告は被告人質問で、棋士としての自身を「(実力は)上から20〜30番目。盤外で面白がってくれる人が多かった」としつつ、名誉毀損容疑で逮捕されたことで「人生終わったと思った」と振り返った。元妻とトラブルになった後、自殺未遂を繰り返していたことも明かした。
今回の事件については、前日に福岡市内の自宅から新幹線とレンタカーで滋賀県内に入り、ホームセンターで凶器となったくわを購入。一度は「ばかばかしくなり、(元妻らを)襲う気力がなくなった」ものの、翌日にコンビニエンスストアに立ち寄った際に「(父親宅にいると推測した)子どもにおやつを買ってあげたくなった」と思い立ち、プリンやシュークリームを購入して元妻の父親宅へ向かったとした。
父親宅の敷地内で父親と顔を合わせ、パニック状態になり、「その後の記憶はない」と述べた。
ファンや棋士仲間への思いを問われ、「転落を心配し失望した人もいると思う。むちゃな行動をとった自分を恥じるし、世間に対して申し訳ない」と謝罪した。
検察側は「棋士としての地位を失ったことなどを全て2人のせいにした逆恨みを募らせたもので身勝手極まりない」として懲役10年を求刑していた。
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弁護側は、事件当時は気分変調症とうつ病の合併症で心神耗弱状態だったと訴えていた。
橋本被告は21年4月に日本将棋連盟に引退届を提出し、22年11月に退会した。最終段位は八段だった。【礒野健一】
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