『そうです、私が美容バカです。極ツヤ』(マガジンハウス、まんきつ著)より「最近飼いはじめたヒルに血を吸わせたの」
このセリフ、ホラーではなく美容の話。「医療用のヒルに血を吸わせてデトックス効果を図る」というヒル美容を実践しているのが、漫画家のまんきつさんです。とても50歳とは思えない美貌は、異常なまでに手間とお金をかけてきた美容道20年のたまものでしょう。
『そうです、私が美容バカです。極ツヤ』(マガジンハウス、まんきつ著、2025年刊行)は、大好評だった前作『そうです、私が美容バカです。』(マガジンハウス、まんきつ著、2024年刊行)の続編。まんきつさんの美に対するこだわりは、スキンケアやメイクや美容医療を超越し、オリジナリティあふれる自然療法(?)へと進化したのでした。
美肌と健康効果ナンバーワンは「大腸内視鏡検査かも」、という原点回帰な情報も満載。全部、まんきつさんが自分でやったことだから説得力があります。
◆隠す+オシャレ=若返りの妙
わたくしもピコスポットやレーザートーニングは経験済みですが、シミって根絶できないんですよね。いつぞやは友人と、「シミを取ってもキリがないから、ホクロレベルまで濃くしてアイテム化してしまうか」と話し合ったほど。
まんきつさんは、黒縁メガネで目元の若見えを叶えました。しかもオシャレ、隠している感が出ないのがいいのです。
若い時に普段しないメガネをかけていると「失恋して泣きはらした?」なんて心配されたものですが、女も年季が入ってくると事情が異なります。今後、メガネを選ぶ際は太めフレームで。目尻のちりめんジワや目のくぼみも、太フレームでごまかせるそうです。
◆美容液よりも鏡を変えよう
人生経験を積めば、シミ、シワ、たるみなど、見たくない現実も増えてきます。が、直視しなければ転落するのみの美容道。特に老眼の波が押しよせるアラフォー以降は、まめに視力検査をしたほうがいいかもしれません。まんきつさんは10倍の拡大鏡を使用。これで視力矯正ジプシーから脱却したといいます。
「ちっさなゴミもまつ毛一本見逃さない」という拡大鏡。ファンデのズレやヨレも、うっかり伸びた鼻毛も、拡大鏡で防げるのです。ショック覚悟で顔を拡大させましょう。
◆無視できない、光のいたずら
ホテルやジムなど、普段と違う場所でメイクした時の違和感、経験した方も多いのでは?「太陽光がだいたい5000〜6500ケルビン(ケルビン=光の色を表す単位)。ケルビンが高いほど青白く、低いほどオレンジ色になっていく」と本書。つまり、オレンジ色の強いライトだと、メイクも白っぽくなりがちなのです。
まんきつさんは「5000ケルビンで昼白色のLED電球」に変えたそうです。どの光加減でメイクするのが自分にとって最良なのか、部屋や方角を比較してみるのもアリ。毎日のメイクが格段に楽しくなり、テクニックも身につくでしょう。「電球の箱にケルビン数が書いてある」のでチェックしてみてください。
◆美肌への近道は大腸を制すこと
シミは顔のうんち、と聞いたことがあります。これ、あながち嘘ではないのかも。まんきつさんいわく、「大腸内視鏡検査の翌日は肌がすっごいキレイになってるの」。事実、検査後に肌がキレイになったり体調がよくなる人はいるようです。
トイレでゆっくり憩う余裕はない、という方も、美肌の大敵が便秘と知れば、今すぐにでもトイレに駆け込みたくなりませんか。長期的に考えれば「うんちを我慢しないこと」が、美肌への最短コースかもしれないのです。
◆やめてよかった美容法は「ダイエット」
若い女性が痩せれば「キレイになった」、アラフォー以降が痩せれば「やつれた」。この残酷な差は避けようがありません。50歳になったまんきつさんも、やめてよかった美容法に「ダイエット」と即答しました。
適度に脂肪があるほうが肌にハリが出ますし、毛穴も目立たなくなります。人生の諸先輩達がつぶやく「年を取ると食べられなくなる」その前に、推奨するのが「デブ活」。とはいえ、ただやみくもに食べて太るのではなく、計画性が大事。「ちゃんと食べてちゃんと肉をつける」「年1の健康診断」これ必須です。
今作も、おススメのコスメやグッズを公開。トライ&エラーを重ね、斜めにまっすぐ美容を極めるまんきつさんを、読めば読むほど、好きになっていくのです。
<文/森美樹 まんきつさん写真/星 亘>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx