写真 こんにちは。これまで3000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
◆キレイだけど……受け入れがたい価値観の違いが見えてきた
強い思想を持っている人は、結婚相手として見た時には相手に窮屈に感じさせ、断られてしまうことがあります。日常の中で出会って恋に落ちたなら乗り越えられるのかもしれませんが、並行して複数人の人と会える婚活サービスを使う出会いでは難しいのです。
侑也さん(仮名・39歳/エンジニア)は結婚相談所で婚活中です。結婚前提で交際していた女性・幸子さん(仮名・36歳/金融機関勤務)がいたのですが、お別れを決意したばかりです。
「キレイな人というのが第一印象でした。私も人気があるわけじゃないので、選べる立場じゃないのは十分に分かっています。若くてキレイな人ですが、ちょっと受け入れにくい価値観の違いが目立ってきて……このまま進めたら後悔すると思いました。
結婚相談所に相談しても『人はそれぞれ違って当たり前』と言われて相談にならないし、成婚料がもらえなくなるからこのまま無理やり結婚させようとしている印象さえ受けました」
実家で猫を飼っていた侑也さんは、猫が好き。プロフィールに「保護猫ボランティアをやっている」と書いてあるのを見て、優しそうだと思ってと申し込んでみた相手が幸子さんでした。
◆猫の話で1時間も盛り上がり、たしかな手応えを感じる
お見合いで二人は、猫の話題で盛り上がります。幸子さんが聞き上手なこともあり、実家の愛猫の話ばかりしてあっという間に1時間経ってしまったそうです。
これまでのお見合いにないほど会話が盛り上がり手ごたえを感じていたため、交際成立した時は、本当に嬉しかったとか。結婚相談所で出会った他の女性は受け身な方ばかりだったそうです。その一方で幸子さんは積極的で、デートのお店も相手から提案してもらったそうです。
お見合いでもカレーが好きと言っていたのを覚えていてくれたのか幸子さんが提案してくれたのは渋谷にあるインドカレーのお店でした。
◆「猫カフェに行きませんか?」の誘いを断られた理由
幸子さんは実家暮らしで、家でも保護猫を預かっているそうです。それだけ猫が好きならばと「次は猫カフェに行きませんか?」と誘ってみたそうです。
「ご存じないかもしれませんが、動物カフェって動物虐待の温床になりやすいんですよ。保護猫カフェなら行ってもいいですよ」と言われたのです。
幸子さんはある猫カフェチェーン店が、店内にウイルスが蔓延し感染症で猫が大量に死んだのに感染症を隠して営業していたといったケースを紹介し、猫の健康状態に配慮しない営業体制の店は動物虐待と説明します。保護猫カフェならば、猫の健康にも配慮しており、里親探しも兼ねている施設だから根本的に違うのだと力説します。幸子さんは同じ理由で、動物園や水族館も行かないそうです。
「その時は思想が激しいというより、志が高くてすごいなと思いました。それで保護猫カフェに行く約束をしたんです」
この時点で幸子さんに夢中だった侑也さん。お見合いした他の女性もいましたが、本命がいるからと断ってしまったそうです。
◆結婚したら、猫を飼いやすい戸建てに住みたい
保護猫カフェでは、保護猫を迎える条件も説明されます。独身者は保証人がいないと譲渡してもらえず、カップルは別れるリスクもあるので断られるケースもあり、夫婦や家族だと譲渡してもらいやすいのだそうです。
受け入れる家にも条件があり、ペット不可物件の人は当然ダメです。また転居する予定がある人は断られる可能性が高くなり、賃貸物件に住んでいる人は断られやすいそうです。そして一戸建てが一番スムーズに保護猫を迎えられるのだそう。
実家暮らしで保護猫も預かる幸子さんは「だから結婚したら一戸建てがいいんですよね。侑也さんはどんな家に住みたいってありますか?」と尋ねてきました。
侑也さんは「通勤しやすいところで、家賃が払える範囲だったら」とだけ答えます。
「今思えば結婚相手や家族の都合もあるのに、保護猫を迎える前提で戸建てということが少しおかしいですよね」と侑也さん。
住まいも自分の希望より幸子さんの希望が優先されそうな気がしましたが、将来の話を具体的に提案してくれることが好印象だったため、この時はスルーしてしまったです。
また会う約束をするときに、幸子さんの会える日時が土日の午前中であることが多かったそうです。これも保護猫ボランティアに専念しやすいようにだったかもしれません。それでも会う回数を重ねて距離を縮めていき、真剣交際に進みました。
◆焼肉に誘ったら「一人で食べてください」
真剣交際に入る前、二人はカフェでコーヒーを飲むことが多く、食事をしたのはインドカレー屋に行った1回きりでした。
二人で2回めの食事することになった際に、幸子さんは前もってお店を探して予約してくれたそうです。そこはヴィーガンレストランでした。
そこで侑也さんは、最初のインドカレー屋も肉のカレーがなかったことを思い出します。
「幸子さんはヴィーガンなんですか?」
「はい。あ、結婚しても侑也さんに強制したりはしませんよ。家族の中でもヴィーガンは私だけで、両親は肉も魚も食べてます」
「一緒に焼肉食べに行きたかったのに」
「美味しいですよね。私も昔は焼肉好きだったんですよ。でも、どうしても牛の死体と思うと食べられなくなってしまって。ヴィーガンを始めて体調も良くなったので私には合っていたんだと思います。焼肉は残念だけど、一人で食べてください」
◆ヴィーガンのメリットを力説されて
ヴィーガン料理は、思っていたより美味しかったそうです。「美味しいね」と伝えたら、ヴィーガンはメタンガスの排出を減らすから環境に優しいし、心臓病リスクを減らすなどのメリットを力説されました。幸子さんは肉・魚のみならず鰹出汁が含まれるものも極力食べないようにしているため、食べられる料理がかなり制限されます。
侑也さんは彼女の熱く語る様子を見て、まるで新興宗教かネットワークビジネスの勧誘を受けているような気分になったそうです。もちろん頭では、それらが別物だと分かってはいます。ですが悩み考え抜いて、幸子さんとの交際を解消する決断をしました。
「アレルギーや好き嫌いで肉が食べられないぐらいなら気にしなかったと思います。私の都合より保護猫の幸せを優先させられそうだったし、崇高な思いがあるのは素晴らしいと思いますが、息苦しい」
◆かわいい女性なら誰でもいいと思っていた
侑也さんは婚活を開始した当初、「自分と結婚してくれるかわいい女性なら誰でもいい」ぐらいに漠然と思っていたそうです。
彼のように相手への理想が漠然としたまま婚活をスタートするケースは意外と多いのです。侑也さんは幸子さんとの出会いを経て、相手と一緒にいてリラックスができるかどうかも大切だと気付けたのでした。
◆刺激しあえる相手か、リラックスできる相手か
最後に、別のアラフォー婚活女性から聞いた話です。彼女はマッチングアプリで、年収も高く見た目も若々しい素敵な男性と知り合いました。
素敵な男性だと思ったのですが、彼は筋トレが趣味で糖質制限もしている健康オタクでした。「このサプリがいいよ」と色々教えてもらってありがたかったけれど、疲れてしまい断ったそうです。
見た目や収入を重視したい気持ちは分かりますが、生活を共にする相手は「意識の高さ」や考え方に大きな差があると、苦しくなるでしょう。刺激しあえる相手がいいのか、リラックスできる相手がいいのか、考えてみてはいかがでしょうか。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt