
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、遺族年金についてです。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:1965年生まれの女性です。夫が先に亡くなった場合、夫の年金を遺族年金として受け取れるのでしょうか?
「1965年生まれの女性です。結婚して10年になりますが、もし私より先に夫が亡くなった場合、夫の年金を遺族年金として受け取れるのでしょうか? 夫は私より年下です」(naoさん)A:夫が厚生年金に加入していれば、遺族厚生年金をもらえます。夫の厚生年金の加入期間が20年以上あり、要件を満たす子どもがいなければ中高齢寡婦加算がもらえます
国民年金や厚生年金保険に加入している人・加入していた人が、亡くなった時点で、その人に生計を維持されていた遺族は、遺族年金を受け取れます。遺族年金には、亡くなった人が加入していた保険制度によって、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があります。それぞれ年齢などの受給要件があり、亡くなった人の年金の加入状況によって、どちらか片方のみ・両方受給できる場合もあります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、死亡日時点で18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子や、その子の親が受け取れる年金です。相談者に死亡日時点で該当の子がいない場合は、妻に遺族基礎年金は支給されません。
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遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金に加入している期間中の人・すでに老齢厚生年金をもらっている人・老齢厚生年金の受給資格を満たした人が亡くなった時点で、その人に生計を維持されていた遺族が受け取れます。さらに、亡くなった夫に厚生年金の加入期間が20年以上あり、生計を同じくしている子がいない、40歳以上65歳未満の妻には、中高齢寡婦加算が上乗せされます。中高齢寡婦加算の支給額は年額62万3800円(令和7年度)上乗せされます。
遺族基礎年金・遺族厚生年金のほかにも、死亡一時金もあります。
死亡一時金
死亡日の前日時点、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が、3年(36カ月)以上あり、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合、亡くなった人に生計を同じくしていた遺族に死亡一時金が支給されます。受け取れる人は最も優先順位が高い人になります。優先順位は高い順に、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹になります。
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相談者naoさんの夫の年金加入歴が分からないため、naoさんが遺族年金を受け取れるか否かは判断ができません。条件次第では遺族厚生年金、中高齢寡婦加算などがもらえる可能性があります。
例えば、夫が厚生年金に加入していれば、naoさんは遺族厚生年金をもらえます。さらに夫の厚生年金の加入期間が20年以上あり、要件を満たす子どもがいなければ、65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算が上乗せされます。
妻が65歳になると、自分の老齢基礎年金が支給されますので、中高齢寡婦加算は支給停止になります。
文:深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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