※画像はイメージです―[ゼロ恋愛 〜経験値ゼロから学ぶ恋愛講座〜/堺屋大地]―
こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがい、知見を深めているのです。
2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。
◆コミュ力に問題なく、誠実でやさしそう
今回の相談者は婚活を初めて1年ほど経つという隆則さん(仮名・35歳・男性)。
某大手メーカーの系列会社の開発部に所属しており年収は700万円。
歴代彼女が1人のみで恋愛経験が多くはないもののコミュ力に問題なく、誠実でやさしそうな男性です。
一見すると問題はなさそうな隆則さんですが、婚活がなかなかうまくいっていないそうで……。
「そろそろ子どもが欲しいので、早めに結婚したいのに、なかなかいい人と出会えないんです。でも女性に対しての条件はそんなに高くないですよ。面食いじゃないので見た目はそんなに気にしないし、僕の収入がそこそこあるので相手の年収も気にしていません。
条件としては趣味が同じ人がいいなとは思っています。
僕はゲームが好きなので一緒にFPS系をやってくれる子がよくて、あとはラーメン専門のインスタをやっているので食べ歩きに付き合ってくれる子がいいかな。
それと、結婚後も僕は自然体でいたいので、これまでのライフスタイルを尊重してほしいですね」(隆則さん)
◆尊重してほしい自然体のライフスタイル
隆則さんの条件は、趣味が一緒であることと、これまでのライフスタイルを許容してくれること。もう少し詳しく聞いてみましょう。
「できればゲームもラーメンもどちらも好きな子がいいですが、どちらか1つだけでも僕と同じぐらいの熱量や知識があればOKです。
ライフスタイルは、僕は平日でも最低2時間はゲームをプレイしていて、次の日が休みのときは朝方まで6〜7時間プレイするんです。
さすがに全部の時間、一緒にプレイしてほしいとは言わないですが、一緒にやらないなら僕がゲームしているとき邪魔しないでほしい(笑)。
あと、休日は昼すぎまで寝てても許してほしいですね。それが僕の自然体なので」(隆則さん)
◆条件は「かなり高い」=「かなり狭い」
さて、みなさんは隆則さんの結婚相手に求める条件を知り、どう感じたでしょうか?
女性のルックスも収入もさほど気にしないということなので、隆則さんと同じく「条件は高くない」と感じたでしょうか?
……もし「条件は高くない」と思ったのだとしたら要注意です。
筆者は隆則さんに次のようにお伝えしていきました。
隆則さんの話を詳しく聞いていくうちに、結婚相手の条件がかなり高いと感じました。「かなり高い」というよりは、「かなり狭い」という表現のほうが的を射ているかもしれません。条件のクセが強すぎるのです。
◆9割の女性をふるいに掛けて落としている
結婚相手は絶対に趣味がバッチリ合う女性がいい、そのこだわりを持つ気持ちはわかりますし、確かに趣味が同じほうがベストです。
しかし、それを“絶対条件”として掲げていると、ずいぶんと対象になる女性の範囲を狭めてしまうのです。
隆則さんなりに、「ゲームかラーメンのどちらかの趣味が合えばいい」と妥協しているのでしょう。ですが、彼は両方ともマニアと言えるほど詳しいため、「同じぐらいの熱量や知識」を求めていると、該当する女性は一握りになってしまいます。
おそらく隆則さんレベルでゲームかラーメンへの熱量&知識がある女性は、10人に1人もいないでしょう。
となると、その条件だけで世の9割の女性をふるいに掛けて落としていることに……。
◆「自然体」と言えば聞こえはいいが……
また、今までどおりのライフスタイルを尊重してほしいというのも、なかなかに横暴。
週末婚や別居婚でなく、夫婦が同居する標準的な結婚として考えるなら、結婚とは“他者との共同生活”です。
平日でゲーム2時間、休日前で6〜7時間、休日は昼すぎまで寝る……これは「自然体」と言えば聞こえはいいですが、妻側からすればただの「わがまま」に映るはず。
百歩譲って、子どもを持たずに夫婦2人きりの生活をずっと続けていくつもりならばいいですが、隆則さんは子どもを欲しがっていました。子どもができてからも、その「自然体」とやらのライフスタイルを続けるつもりなのでしょうか。
休日前に6〜7時間ゲームをやっている間や、昼すぎまで寝ている間の子どもの面倒は誰がしてくれるのでしょうか。結婚前から妻がワンオペの子育てをして疲弊していく姿が今から目に浮かぶというものです……。
◆結婚したければこだわりを捨てる覚悟も
「自然体でいたい」という言葉の響きはいいですが、隆則さんのライフスタイルを結婚後も全て維持するというのは、ほぼ不可能。
もし実現させるとしたら、妻への負担やストレスを掛けまくる結婚生活になりかねません。
自分のスタイルを全て封印したり変えたりしなくてはいけないわけではないものの、結婚したいのであれば、“今までどおり”とはいかないのです。自身の「こだわり」は結婚相手からすると「わがまま」になりかねないということを知っておくべきでしょう。
要するに、なんでもかんでも従来どおりのライフスタイルを貫こうとするのではなく、どうしても曲げられない部分と曲げられる部分の線引きをしておくことが重要。
独身生活で培ってきた自分の居心地の良いスタイルでも、結婚したいのであれば捨てるべきこだわり、変えるべきこだわりがあるということです。
<文/堺屋大地>
―[ゼロ恋愛 〜経験値ゼロから学ぶ恋愛講座〜/堺屋大地]―
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi