モバイルバッテリー発火で「燃えるごみ」と勘違いする人も? ごみ収集車が本当に「燃える」事故、全国で多発中

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2025年10月23日 15:51  ITmedia Mobile

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東京都豊島区で2024年2月に起きたごみ収集車の火災(豊島区のお知らせより)

 スマートフォンの必需品となったモバイルバッテリー。しかし、その捨て方を間違えると重大な事故につながる。SNSでは「『バッテリーが燃えた』ニュースを見て、『燃えるごみ』と誤解する人がいる」という指摘が実際にある。


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 これは笑い話では済まない。現実に、ごみ収集車や清掃工場が火事になる事故が全国で激増しているからだ。原因の多くが、捨てられたリチウムイオン電池とみられている。


●ごみの中で「爆発」する危険物


 環境省の調査では、リチウムイオン電池が原因とみられる発煙・火災事故が、全国の市区町村で2023年度に8543件も起きている。東京消防庁管内でも、リチウムイオン電池関連の火災は増え続けている。


 なぜ事故が起きるのか。モバイルバッテリーの中身である「リチウムイオン電池」は、強い衝撃や圧力が加わるとショートし、激しく発火する性質を持つ。


 ニュースで言う「燃える」は、「可燃ごみ」という意味では全くない。「危険物として発火・爆発する」という意味だ。この勘違いが、非常に危険な捨て方につながっている。


 NITE(製品評価技術基盤機構)は、ごみ収集車(パッカー車)での圧縮を再現した実験映像を公開している。ごみと一緒に押しつぶされたモバイルバッテリーは、変形した途端、バチバチと火花を散らして炎上した。これが収集車の荷台や清掃工場で現実に起きている。


●自治体からも悲鳴、被害額は11億円のケースも


 東京都豊島区では2024年2月、「燃やすごみ」の収集車が火事になった。鎮火後、原因とみられるモバイルバッテリーが見つかっている。神奈川県綾瀬市でも2025年7月、可燃ごみ収集車から発煙。市は「モバイルバッテリーが他のごみと混ぜて捨てられた」と原因を断定した。


 被害は収集車だけではない。清掃工場が燃えれば、被害はさらに深刻になる。総務省の調査では、リチウムイオン電池火災によってごみ処理施設の基幹部分が壊れ、被害額が11億円に達した事例も報告された。


●ごみ箱には絶対に捨てない。家電量販店の「リサイクルBOX」へ


 では、使い終えたモバイルバッテリーはどこに捨てるべきか。


 結論を言う。「燃えるごみ」「燃えないごみ」「資源ごみ(カン・ビンなど)」、そのどれにも絶対に入れてはいけない。


 一番簡単なのは、家電量販店へ持ち込むことだ。ビックカメラやヨドバシカメラなど多くの店には、「小型充電式電池リサイクルBOX」という黄色い回収箱が置いてある。(一般社団法人JBRCが回収を進めている)。また、携帯キャリアショップで不要なモバイルバッテリーを回収してもらえる場合もあるので、近くのショップに問い合わせてみるといいだろう。


 捨てる前には、発火を防ぐため、USBポートなどの金属端子部分をビニールテープなどで覆って「絶縁」することが勧められる。


 自治体によっては、役所や公共施設などで「有害ごみ」「危険ごみ」として別に集めている場合もある。ルールは自治体ごとに違うため、必ず「お住まいの市町村名 モバイルバッテリー 捨て方」などで検索し、正しい捨て場所を確認する必要がある。


●膨らんだバッテリーは「別扱い」の危険物


 特に注意したいのが、長期間使ってパンパンに「膨張」したバッテリーだ。これは内部でガスが発生している非常に危険なサインであり、いつ発火してもおかしくない。


 膨張・変形したバッテリーは、絶対にリサイクルBOXへ入れてはならない。購入した店やメーカー、あるいは自治体の清掃担当課に、「膨らんだバッテリーの捨て方」を直接問い合わせる必要がある。


 便利なデジタル機器を安全に使い終えるまでが、ユーザーの責任といえる。誤った処分は、ごみ収集作業員や清掃工場で働く人々を深刻な危険にさらす行為枝。この機会に、自宅で眠る古いモバイルバッテリーの捨て方を、いま一度確認しておこう。



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  • 環境省がら通達が出ているので、まずは住んでいる自治体に相談しましょう>lithium.env.go.jp/recycle/waste/lithium_1/pdf/02_setsumeikai_file.pdf
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