米ワイオミング州の約6600万年前の地層から見つかった化石に基づく、大型草食恐竜エドモントサウルスの想像図(米シカゴ大提供) 米西部ワイオミング州で1900年代に発見された白亜紀後期の大型草食恐竜エドモントサウルスの化石について、表面がミイラのように見える謎を米シカゴ大の著名な古生物学者、ポール・セレノ教授らが解明し、23日付の米科学誌サイエンスに発表した。
当時の発見場所を捜し当て、同種の化石を2体、付近で新たに発掘。マイクロCTで内部構造を調べ、X線で組成を分析した結果、表層には有機物が含まれておらず、うろこやしわなどの形態が自然にかたどられた薄い粘土鉱物の膜で覆われていることが分かった。
エドモントサウルスが干ばつなどで死んだ後、表面が強い日射で乾燥する一方、内部は腐敗が進行。その後、河川の洪水が発生して死骸が地下に埋まると、表面に「バイオフィルム」と呼ばれる粘り気を持った微生物の膜が形成され、周囲の土壌から「カオリナイト」や「イライト」などの粘土鉱物の微粒子が一面に付着する。やがて微生物が死滅し、粘土鉱物が固まって厚さ1ミリ未満の膜として残ったと推定された。
約6600万年前の地層から新たに発掘された2体は、推定5〜8歳の若い成体と同2歳の子ども。後頭部から背中にかけてのとさかのような形状や尾に一列に並んだとげ、後ろ足のひづめがよく保存されていた。

米ワイオミング州の約6600万年前の地層から発見された大型草食恐竜エドモントサウルスの子ども化石(米シカゴ大提供)

大型草食恐竜エドモントサウルスの化石表面。ミイラのように見えるが、うろこの形が粘土鉱物膜に残っていた(米シカゴ大提供)