食べ放題で「元を取ろう」とする客だけじゃない! 成長続ける「しゃぶ葉」が銀座に出店 “食のテーマパーク”が描く次の一手

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2025年10月25日 06:00  ITmedia ビジネスオンライン

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銀座に登場した“高級”しゃぶ葉(提供:すかいらーくホールディングス)

 すかいらーくレストランツ(東京都武蔵野市)が運営するしゃぶしゃぶ食べ放題チェーン「しゃぶ葉」は7月16日、初のグローバル旗艦店を東京・銀座の「マロニエゲート銀座2」にオープンした。


【画像】銀座の“高級”しゃぶ葉の店内と独自メニュー(全11枚)


 マロニエゲート銀座2には、銀座としては珍しく庶民派のチェーンが出店しており、その多くが旗艦店として位置付けられている。例えば、1〜4階のユニクロと6階のダイソーはグローバル旗艦店で、格安スーパーのオーケーも都心型旗艦店を目指している。しゃぶ葉が入る7階のレストランフロアには、2024年4月にオープンした「くら寿司」のグローバル旗艦店も入居している。


 今回オープンしたしゃぶ葉のグローバル旗艦店には、通常店舗にはない特徴が多数見られる。


 本稿では、しゃぶ葉の歴史や人気の理由に触れながら、初のグローバル旗艦店の特徴や今後の戦略について掘り下げていきたい。


●しゃぶ葉の歴史と特徴


 しゃぶ葉は2007年、横浜に1号店をオープンした。手頃な値段で楽しめる“しゃぶしゃぶブッフェ”として人気を集めたのが、同ブランドの出発点だ。


 その後、順調に出店を重ね、国内店舗数は315店(2025年9月末現在)。すかいらーくグループでは、ガストとバーミヤンに次ぐ第3のブランドとなった。海外では台湾やマレーシア、米国にも出店している。


 最も安価なメニューは、平日ランチの豚バラ食べ放題コース(1539円)。これは最も人気を集めているメニューで、毎週のように通う常連客も多い。


 また、季節限定のメニューもあり、9月11日から11月中旬までは鴨肉やイベリコ豚が楽しめるコースなどを提供している。


 2色鍋が基本で、白だしが固定。もう一方は6種類の中から好みの鍋だしを1つ選べる仕組みだ。約20種類の新鮮な野菜が並ぶサラダバーや、5種類以上のたれBAR、10種類以上の薬味BARがある点も、しゃぶ葉が支持されている理由だ。


●健康志向の女性や学生からも人気


 かつて食べ放題では、どうやって元を取ろうかとガツガツしているお客が目立った。しかし、同社の広報担当者は「お腹いっぱい食べることを目的とされるお客さまが目立ったが、現在は、野菜をたくさん食べられて健康的だからとシニアの女性もお越しになっている。幅広い層に受け入れられているのが、しゃぶ葉の強み」と話す。


 確かに、家庭で20種類以上の野菜をそろえるのは、容易ではない。すかいらーくグループの「家庭でできない体験を提供する」姿勢が、多くの支持を集めているのだろう。


 また、学生からの人気も高く、高校生や大学生が学校帰りに立ち寄り、SNSに投稿しているのも印象的だ。


 カレーなどのご飯ものをはじめ、そばやうどん、ラーメンといった麺類もそろえるなど、幅広い世代が満足できるバラエティ豊かなラインアップとなっている。さらに、ワッフルやソフトクリーム、かき氷など、スイーツを自分で作って楽しめるようにしている。


 しゃぶしゃぶに限らず、さまざまな料理を好きなだけ食べられる“食のテーマパーク”となっているのが、しゃぶ葉の特徴だ。


●インバウンドからの人気も急上昇


 近年しゃぶ葉は、外国人観光客の間でも人気が急上昇しており、都内にある新宿や渋谷の店舗ではツアーの団体客を多く受け入れている。交通のアクセスが良く、街を歩く外国人が多い銀座は、グローバル旗艦店の出店に適した立地だと判断したのだろう。しゃぶ葉と同じフロアにある「くら寿司」のグローバル旗艦店が好調であることも、今回の出店を後押ししている。


 しゃぶ葉の都心の店舗では、コロナ前は中国からの観光客が中心だったが、コロナ後は多様化している。イスラム圏からの観光客も増えており、豚肉を使わないメニューも選べるようにしている。また、ディナータイムにはまぐろやサーモンなどの握りずしが食べ放題となるコースもあり、外国人観光客から特に人気を集めている。


 「自国ではラーメン1杯しか食べられないような値段で、これだけ楽しめるのは驚きだ」と話す旅行者も多く、コストパフォーマンスの高さが評価されているという。


●しゃぶ葉のグローバル旗艦店の特徴は?


 しゃぶ葉のグローバル旗艦店には、他の店舗にはない特徴がある。


 まず挙げられるのは、和を強調した内装だ。コンセプトは“京町家料亭”で、瓦屋根風の外観や京染めののれん、黒と白を基調にした落ち着いたインテリアなど、日本文化を感じられる空間となっている。店内にはコイや梅の花をあしらった絵画や盆栽などが飾られており、日本らしさを演出している。


 海外からの顧客に対応するため、日本語に加えて英語や中国語、韓国語のメニューを用意。英語や中国語が話せるスタッフも常駐し、いつでも対応できる体制を整えている。


 メニューも通常店舗とは異なるラインアップとなっている。黒毛和牛食べ放題コース(平日ランチ3849円、平日ディナー4509円)や、生本ずわいがに食べ放題コース(平日ランチ1万2539円、平日ディナー1万3199円)をレギュラーメニューとして提供しており、特に黒毛和牛コースが人気だという。


 サラダバーでは、外国人観光客が好むフライドポテトとチキンナゲットを同店限定で提供。アジア圏の顧客の味覚に合わせ、薬味BARには辛味や香味が強いサーチャージャンや塩だれ、フライドオニオンを追加した。


 さらに、欧米の顧客に対応するため、飲み放題には人気が高い日本酒を充実させており、「作(ざく)」などの希少銘柄も楽しめるようにしているのが特徴だ。


●海外展開時にもグローバル旗艦店の内装を応用


 グローバル旗艦店の京町家風の内装は、今後進出を予定しているインドネシアやフィリピンなどの海外店舗でも採用されることとなっている。


 しゃぶしゃぶチェーンには、ワンダーテーブルの「モーモーパラダイス」やコロワイドの「しゃぶしゃぶ温野菜」などがある。グローバル旗艦店と位置付けられた店舗は少ないが、モーモーパラダイスは2016年に旗艦店である歌舞伎町店を大幅リニューアルし、洗練された和テイストの店舗に刷新。現在は世界で70店舗以上を展開する国際ブランドに成長している。


 しゃぶ葉のグローバル旗艦店は、すかいらーくグループとしてのさらなる海外展開を見据えた試金石となる店舗といえる。今後、この店舗が、どれほどの人気を集められるのか。その成果が、しゃぶ葉の世界戦略を占う指標となるだろう。


(長浜淳之介)



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  • 元々頻繁には行かなかったけど、ベラボット導入してからは全く行かなくなりました。客層見ると何か何か起こりそうな気がして。
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