インド、「造船大国」へ船出=韓国勢参入相次ぐ、日本は出遅れ

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2025年11月02日 20:01  時事通信社

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インド西部ムンバイで開かれた海事イベントで演説するモディ首相=10月29日(インド首相府ホームページより・時事)
 【ニューデリー時事】インドが造船業の振興に力を入れ始めた。海上輸送が増大する中、外国船への依存低減や雇用創出が狙い。韓国勢が相次いで提携先に名乗りを上げる一方、かつて「造船王国」と呼ばれた日本勢の動きは見えてこない。

 「造船業の新たな高みを目指す取り組みを加速させている」。モディ首相は10月29日、アラビア海に面した西部ムンバイでの海事イベントでこう強調した。

 インド政府は9月、国内で建造された船に対する資金援助などを柱とする総額約6972億ルピー(約1兆2100億円)の支援パッケージを承認した。造船能力を現在の数十倍となる年間450万トンまで拡大。労働集約型の特性を生かして約300万人の雇用を生み出したい考えだ。

 振興策を背景に、韓国造船大手のサムスン重工業は同月、西部グジャラート州に拠点を置く同業企業と協力覚書を交わした。両社はインド内外で商船の建造や重工業プロジェクトを共同で進める方針。

 また、韓国のHD現代グループは南部ケララ州にあるインド最大規模の国営コーチン造船所と技術提携。同造船所は10月、フランス海運大手CMA・CGMから船6隻を受注したと発表した。

 商業船の造船市場は中国が圧倒的シェアを握る。米格付け大手S&Pグローバル・レーティングによれば、2024年後半の世界の建造トン数で中国は全体の58%を占め、次いで24%の韓国、9%の日本が続く。インドは現状1%に満たないが、独立100周年となる47年までに世界5位以内の「造船大国」入りを目指している。

 ただ、印中は国境紛争を抱えており、中国企業のインド参入は安全保障上の観点から認められにくいとみられている。

 日本の海運業界関係者はインドの造船市場について「将来性はある。国内需要があり、労働力も安い」と分析。「中国が出てこられないなら韓国くらいしか相手がいない」との見方を示した。一方、日本は人手不足が深刻で衰退傾向にあるとして、「インドを助けている場合ではない」と危機感をあらわにした。

 日本政府は衰退に歯止めをかけるべく、35年までに建造量を倍増させる目標を掲げる。製造業の国内回帰を目指す米国も造船業を重視している。 

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  • ブランクが長く工場を海外移転&現場の技術者もリストラ&追い出し部屋.国内に残ってる工場も出稼ぎ外人.中華リスクを割けて自給率と言っても教えるベテランが居ない.電機メーカも同じ.外注派遣委託
    • イイネ!2
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