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不動産投資商品「みんなで大家さん」を巡り、運営が破綻する恐れがあるとして、出資者1191人が、運営会社「都市綜研インベストファンド」(ファンド社、大阪市)に契約解除と出資金計114億3700万円の返還を求め大阪地裁に近く提訴する。原告側弁護団への取材で判明した。商品には約3万8000人が2000億円を出資しているとされるが、一部商品で分配金の支払いが滞っており、運営元の資金繰りが不安視されたことで大規模な集団提訴に発展する。
原告側の弁護団によると、提訴するのは、2019年6月〜25年7月に出資した46都道府県の10〜90代。9月にも出資者5人が出資金の返還を求めるなど、小規模な訴訟は起こされていた。
「みんなで大家さん」は、不動産特定共同事業法に基づき、多数の出資者から資金を集め、不動産を取得・運用して利益を分配する小口の投資商品。不動産会社「共生バンク」(東京都千代田区)グループのファンド社が運営し、別のグループ会社「みんなで大家さん販売」(千代田区)が販売している。
特に問題になっているのは「シリーズ成田」と呼ばれる主力商品。ファンド社の資料によると、成田空港(千葉県成田市)近くにある45万平方メートルの開発用地を対象に、年7%の想定利回りで、運用期間は主に5年、1口100万円から出資できるとうたわれている。20年11月以降、「1号」から「18号」までが販売された。
ファンド社は24年6月、出資者への説明が不十分なまま開発計画を変えたとして、大阪府から業務一部停止(30日間)の行政処分を受けた。直後から契約解除を求める出資者が続出。25年7月からの4カ月間、シリーズ成田の全商品で2カ月に1度の分配が遅れている。また訴状によると、解約済みの出資者に対する出資金の返還手続きも滞っている。
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原告側弁護団によると、原告のほとんどがシリーズ成田に出資している。大半は契約解除の手続きが済んでおらず、解約と出資金の返金を請求する。一部の原告は、既に満期が来たり解約手続きが終わったりしているにもかかわらず戻ってきていない出資金の返還を求める。
共生バンクグループのトップで、ファンド社の社長も兼ねる柳瀬健一氏は8月上旬に公開した動画で謝罪し、遅配の理由を「行政処分がきっかけで、資金確保に遅れが生じたため」と説明した。
これに対し、原告側の小幡歩弁護士は「そもそも集めた資金はどこへ行ったのか。きちんと運用できていれば、こうはならなかったはずだ」と指摘。さらなる集団訴訟も予定しているという。
ファンド社は取材に対し、出資者への返金について「解約者が多発したため、対応を制限している」と答えた。【洪玟香】
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