インタビューに答える日銀審議委員の増一行氏=20日、東京都中央区 日銀の増一行審議委員は21日までにインタビューに応じ、追加利上げについて「経済・物価を考えると、環境的にはもう整っている」との認識を明らかにした。その上で、利上げ判断のカギとなる2026年春闘の初動のモメンタム(勢い)は「(同年)3月よりもっと早く出てくると思う」と指摘。春闘で大手企業の交渉結果の大勢が判明する来年3月を待たず、今年12月か来年1月の金融政策決定会合でも利上げを検討する考えを示した。
増氏は日銀が大規模金融緩和を長く続けてきたことを念頭に、「利上げそのものは引き締めではなく正常化の一環だ」と強調。12月18、19両日に開かれる次回会合での利上げに関し、「本当に悪いデータが出てくる場合は考えなくてはいけないが、全ては総合判断だ」と含みを残した。26年春闘の賃上げ率については、企業の好業績や人手不足を背景に「今年並みは維持されるのでは」と期待を示した。