辞任会見で頭を下げる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長=9日午後、東京都渋谷区 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長(69)は9日、東京都内の教団本部で記者会見し、辞任を表明した。その上で「一部の方々に深いご心痛を与えたことは決して軽視できない。申し訳ありません」と謝罪した。
後任には親が信者の「2世信者」で、元副会長の堀正一氏(55)が同日付で就いた。
会見で田中氏は、辞任理由について「今なお被害を訴える方々がいることに対する道義的な立場から」と説明。教団への解散命令を巡る東京高裁での審理が終結したことや、安倍晋三元首相銃撃事件後の教団改革で次世代の指導者を迎える環境が整ったことも挙げた。
元信者らが高額献金などの返還を求めた集団調停で、9日までに182人と和解に至ったことや、外部弁護士で構成する「補償委員会」が設立されたことにも言及。これまで献金被害者らに対する謝罪は避けてきたが、この日は「法の枠を超えた取り組みを始めており、謝罪の意を込めておわびをさせていただく」と述べた。
解散命令を巡る審理については「自信のある主張をしてきたので、高裁が必ず覆してくれると信じている」と語った。

辞任を発表し、記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長=9日午後、東京都渋谷区

堀正一 世界平和統一家庭連合新会長(同連合提供)