湾岸タワマンの在庫が滞留中! 金利上昇と中国マネーの途絶は住宅市場の「冷や水」となるか?

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2025年12月30日 13:10  週プレNEWS

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日本のタワマン市場を牽引してきた中国マネーの途絶は、バブル崩壊の引き金となるのか


日本のタワマン市場を牽引してきた中国マネーの途絶は、バブル崩壊の引き金となるのか


12月19日、日本銀行は金利を0.75%に引き上げた。30年ぶりの水準だという。当然、住宅ローンの金利も上昇するだろう。住むために住宅ローンを利用してマンションを買う人にとっては「悪い知らせ」だ。仮に4000万円を30年の返済期間で借り入れる場合、月々の返済額は2万円ほど増えることになる。

【写真】高騰する豊洲のタワマン群

*  *  *

【マンション市場に現れた異変】

首都圏の都心エリアでは2013年以来、マンション価格の高騰が続いている。特にこの2、3年がひどい。東京の湾岸エリアでは新築時の販売価格の2倍レベルで流通市場に売り出されている物件が珍しくない。

例えば、東京五輪の選手村跡地である晴海フラッグでは、新築時に1億円程度で販売された住戸が今、中古物件として2億円以上で売り出されている。ただ、実際に売れているかどうかは別の話だ。

つい数か月前まで、買う人がポツポツと現れていた。しかし、今はかなり少なくなっているという。その反面、在庫は積みあがっている。市場の動きは急速に鈍化しているのだ。

先日、国土交通省が「海外居住者による新築マンションの取得割合は都心6区で7.5%」と公表した。その内訳についてブルーバーグによれば「25年1−6月の期間で登記に記載された国・地域では、台湾が最多の192件、次いで中国の30件」だとか。

大方の推測は「中国人が買っている」であったが、登記された数は台湾が最多であった。しかし、これは表層的な現象に過ぎない。


日本への強硬姿勢を貫く中国外交部の林剣報道官。中国人の日本への資産逃避は、これまで以上にやりにくいものになってきている


中国はもう10年以上も前から厳しい外貨持ち出し制限を行っている。一人当たり年間で5万ドルが上限だ。これでは日本で購入するマンションの頭金にすらならない。だから、彼らは様々な抜け道を使って資金を海外に持ち出している。その一部が日本でのマンション購入に充てられるのだ。中国人にとって「日本でマンションを保有している」ということは、当局に知られたくない「不都合な真実」でもある。だから彼らは自分の個人名義で登記しない。

例えば、ついこの間まで資本金500万円で日本に法人を設立すれば「経営・管理」ビザが取得できた。その法人名義で日本のマンションを購入すれば、中国当局にはやや「分かりにくい」状態となる。あるいは、もっと確実に隠蔽するにはタックスヘブンに法人を設立して、そこの名義で登記する。国土交通省からすると「海外」ではあっても中国ではなくなる。

ただ、中国人のマンション取得は今後、大幅に減少しそうだ。原因は中国政府の政策にある。すでに出されている訪日自粛例では、少なくとも公務員や国営企業の社員は日本渡航が困難になった。これまで日本で高額マンションを購入していた中国人富裕層の目的は、自分の地位を利用して得た資金を海外へ逃避させるというパターンも多いが、そんな動きを委縮させてしまう。

さらに中国政府は、近年、個人資産への監視を強めており、海外への資金逃避の抜け道も早晩、塞がれてしまうだろう。つまり、日本のタワマン需要の大きな部分が消えてしまう可能性が高いのだ。

【ニューリッチの消費行動も変化】

東京の湾岸タワマンエリアでは、この他にも様々な「異変」が起きている。

例えば2025年10月末に「フードストアあおき 東京豊洲店」が閉店した。江東区の豊洲エリアで地元住民に親しまれてきた「ららぽーと豊洲」2階の高級食材を扱うスーパーだ。

江東区の豊洲エリアは30年以上も前から再開発が進んだ「タワマン林立」の街。そこに住むのは大学入学か就職時に上京し、高所得を得るようになったニューリッチたちである。

彼らは住宅ローンを返済しながらタワマンなどで暮らしている。

住宅ローンの返済は、金利が上がれば上昇する。さらにここ数年、日本の実質賃金は減少し続けている。

華やかそうに見える湾岸タワマンエリアの住民の中にも、実際の生活面では苦境に陥っている人々が多いのかもしれない。それが高級食材のスーパー閉店につながっている可能性もある。


豊洲のタワマン群。一見、煌びやかに見える住民たちも、金利や物価が上昇するなか、生活スタイルを変化させているようだ


さらに、最近では学習塾のコストや私立中学の学費も値上がりが著しい。湾岸タワマン族は、総じて教育熱心であるから影響も小さくないはずだ。

世帯年収が1500万円程度のパワーカップルでも買えないレベルにまで価格が高騰してしまっている都心のマンション価格高騰はすでに「狂騒」レベルだ。

そんな中で住宅ローン金利が上昇し、中国人の需要が途絶える‥。さらに、アメリカではAIバブルの崩壊による株価調整が囁かれている。日本の最大貿易相手国である中国は未曾有の不況に喘いでいる。

湾岸タワマンの中古在庫が積みあがっていることを考えれば、2026年はいよいよ「神話崩壊」に至るのではないか。

文/榊淳司 写真/中国外交部、photo-ac.com

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