2026年のAppleを読み解く(後編) 「待つべきか、今買うべきか」2nm時代を前にしたApple製品選び

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2026年01月01日 00:30  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
2026年以降のApple製品を見通すうえで重要なのが、Apple SiliconのTSMCの2nm(N2)プロセスへの移行です。TSMCは、2025年7〜9月期の決算発表で、2025年末までの量産開始に向けて「順調に進んでいる」と明言しており、すでに量産が始まっているとみられます。

これまでと異なる2nmプロセスへの移行、チップ価格が上昇



N2では、長年使われてきた「FinFET」から「Nanosheet GAA」へ、トランジスタ構造が根本的に変更されます。



性能面では、3nm世代との比較で、同じ消費電力で処理速度が10〜15%向上、同じ速度では25〜30%の消費電力削減が見込まれています。新構造ではありますが、性能向上幅自体は近年の先端プロセス移行と同程度にとどまります。



飛躍的な向上ではないことに物足りなさを感じるかもしれませんが、半導体の微細化はトランジスタの物理的限界に直面し始めています。本来であれば停滞してもおかしくない中で、その壁を突破して「これまで通りの進化」がもうしばらく続くという点で、これは大きな前進と言えます。



一方で、2nmへの移行は大幅なコスト上昇を伴います。新構造導入のための巨額な設備投資に加え、GAA(Gate All Around:トランジスタのゲートが半導体チャネルを四方から囲む)化によって製造プロセスも複雑化します。その結果、ウェハ価格が大きく上昇し、業界では最大で50%程度の値上がりを見込む声もあります。


iPhone 15 Pro(A17 Pro)で初めて3nmプロセスが採用された際には、初期段階で発熱の問題が指摘されました。2nmはさらに難易度の高いプロセス移行となり、加えてコスト上昇分を分散または吸収していかなければなりません。


Appleは、これまで以上に慎重かつ時間をかけて2nmへの移行を進めていくと考えられます。初期版2nmへ急いで移行するよりも、成熟した3nm(N3)世代を活用する方が「十分な性能」で「安定した見通しと利益」が得られるからです。2026年はAppleの製品ラインナップに、従来の3nm世代のチップ、3nm世代の新チップ(M5 Pro/Max)、2nm世代のチップを搭載した製品が混在することになりそうです。



Appleファンであれば、次のような噂を目にしたことがあると思います。


iPhone 20周年(2027年)に向けて2年間におよぶ製品リリースの調整が行われ、折りたたみiPhoneやiPhone Airの新世代モデルが登場する。

2026年秋に次期iPhoneのProモデル、2027年春に無印モデルというように、iPhoneの発売時期が変更される。

Aチップを搭載したMacBookが登場する。


2nmプロセス事情を踏まえると、これらは「Appleが段階的な製品展開で2nmへの移行リスクとコスト増を分散させる戦略」として辻褄が合うと言えます。

Aチップ搭載MacBookはM1 MacBook Airの後継?



Appleは、常に一定の利益率を確保します。2nmプロセスのチップ、他の部品コストも上昇傾向にある中で、このままでは1,000ドル未満のノート型Macが空白になる可能性もあります。噂されるAチップ搭載のMacBookは、こうしたコスト圧力の中で、需要の大きい普及価格帯を埋める戦略的な選択肢になり得ます。



AチップとMチップの最大の違いは、メモリ帯域とI/Oの拡張性です。Mチップ搭載Macは、パソコンの使い方を一変させました。MacBook Airのようなファンレスのノート型Macで、それまでならMacBook Proやデスクトップを必要としていたようなクリエイティブな作業まで可能にしました。



しかし、すべてのMacユーザーがそこまでの性能を必要としているわけではありません。たとえば、最小メモリ構成のMacを使っていて、Thunderboltも活用していないとしたら、Aチップでも十分である可能性があり、Mチップの性能を「持て余している」と言えるかもしれません。



Macユーザーのコミュニティでは、Aチップを搭載したMacBookが、市場から完全に姿を消しつつある「MacBook Air (M1、2020) 」の役割を引き継ぐ存在になる、という見方が広がっています。



Apple Silicon Macの最初の機種となったM1 MacBook Airは、旧デザインのため在庫が値引き販売され、中古市場でも比較的手頃な価格が設定されたことから、Apple Silicon Macの廉価帯を事実上支える人気モデルとなっていました。また、日常作業はもちろん、ある程度の開発やクリエイティブ用途までこなせるうえ、電力効率が非常に良かったことから、M2以降の機種の購入をためらわせているとも指摘されていました。



Aチップ搭載MacBookは、そうした「一般的な用途にM1 MacBook Airで十分」というユーザーのニーズを、より現代的な形で満たす製品になる可能性があります。


半導体解析レポートによると、A18 Proのダイサイズは約105平方mm(推定)とされています。M4/M5より大幅にコンパクトで、より消費電力が低いという特性を持ちます。Intel製チップからMチップへの移行により、Macのデザインがモダンに進化しましたが、Aチップならライトユース向けのより薄くて軽い新デザインが可能になります。一方で、メモリー帯域やI/Oの制約があるため、Mチップ搭載のMacBook Airとの差別化も明確になります。

2026年に買い時なApple製品



総合的に見て、Apple Intelligenceの導入に向け、2024年後半からスペックが底上げされた現在のApple製品のラインナップは強力です。



Apple Siliconは3nm世代が成熟期に達し、TSMCのN3P(第3世代3nm)プロセスによるチップ(M5、A19/A19 Pro)は、効率性と安定性の両面で「3nm世代の完成形」と評価されています。



メモリーチップ不足を背景としたメモリー価格の高騰は、PC・モバイル市場全体に影響を及ぼすと見られています。ただしAppleは、前編のメモリー価格の急騰、Appleも影響を受けるのか?で触れた通り、2026年前半までは比較的影響を回避できる可能性が高いと考えられます。もっとも、中長期的には価格転嫁のリスクもあり、「同じ構成を同じ価格で買える」保証は徐々に薄れていく可能性があります。



そうした状況を踏まえると、現行のM4/M5搭載Mac、そして来年前半の登場が噂されるM5 Pro/Max搭載Macは、将来的な価格上昇リスクに対する一種のヘッジになるかもしれません。


そしてAチップ搭載MacBookが登場するなら、コアなAppleファン向けとはちょっと異なるシンプルで手頃な価格の製品、「MacBook for the rest of us.」というユニークな存在感を発揮しそうです。


iPhoneについては、次の無印モデルが2026年秋には登場しない可能性が取り沙汰されています。そうした見通しを含めて、現行の「iPhone 17」は、価格と性能のバランスが取れた、完成度の高い買い時モデルと位置づけられます。



iPadは、iPad ProがM5に移行し、RAMが8GBから12GBに50%増加、Wi-Fiも高速化しました。今年はiPad AirとiPadの更新が噂されていますが、注目は前回の更新でApple Intelligence対応が見送られたiPadです。AIを活用した体験の拡張が進む中で、iPadも単なる「安価な選択肢」ではなく、「どこまで将来の体験に対応できるか」が問われる段階に入ったといえます。


次世代製品の扉を開く2nmチップ



最新の体験を求めるロイヤルユーザーの今年最大の注目点は、2nm(N2)プロセスを採用したチップを搭載する製品です。



iPhone 17 Proには、AI処理、4K動画編集、ゲームといった長時間・高負荷用途を想定した発熱対策としてベイパーチャンバーが採用されました。また、12GBの大容量RAMを搭載していますが、メモリー容量が増えると待機電力が上昇します。それを補うように、iPhone 16 Proから10〜15%程度のバッテリー容量アップが行われました。効率性に優れるApple Siliconであっても、機能や性能への要求が高まる中で、スマートフォンのフォームファクタでの電力消費と発熱の管理が困難になっています。


最大30%の消費電力の削減が見込まれる2nm世代のチップにより、こうした高負荷の機能をより余裕をもって、Appleが重視する「バッテリー持ち」と「安定性」を実現できるようになります。次期iPhone Proでは、メインカメラの可変絞りやディスプレイ下のFace IDといった新機能が噂されていますが、新たな体験価値の追加が期待できます。



加えて、プロセス進化はデザインの自由度も押し上げます。iPhone Airに象徴される「極薄」に加え、「折りたたみ(Fold)」、さらには装着型のウエアラブルやメガネ型デバイスといった新フォームファクタも、単なる構想ではなく、製品として現実味を帯びてきます。



2026年は「今買っても後悔しない完成度」と「待てば新体験が手に入る期待感」が同居する年になりそうです。「安定」を取るか、「新体験」を待つか――答えは使う人それぞれですが、どちらを選んでも、Apple Intelligenceとともに進化し続けるエコシステムの恩恵を受けられることは間違いありません。



完成度の高い現行製品も、これから登場する次世代製品も、それぞれに明確な価値があり、あなたのライフスタイルと予算に合わせた選択が可能です。つまり、自分にとっての「道具の価値」を軸に据えた選択こそが、2026年における最高の買い時を定義することになるのではないでしょうか。(Yoichi Yamashita)

このニュースに関するつぶやき

  • 頑張って「処理速度が10〜15%向上、同じ速度では25〜30%の消費電力削減」程度。でカメラの能力向上とか。これで新機種買うのは「新しもの好き」か「マウント取りたいだけ」のヤツだけだろ。
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