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ゴンチャ ジャパン(本社・東京都港区)が急速に店舗数を伸ばしている。
【画像】こんなおしゃれなゴンチャがあるの? 店内の様子や提供しているケーキを見る
2024年末には176店舗だったのが、2025年末には200店舗を超えており、直近1年で20店舗を上回る大量出店を行った形だ。
コロナ前のタピオカブームだった頃のゴンチャの店舗数は、2019年末で57店舗だった。ブームの最盛期から4倍近くも店舗数を増やしており、その勢いは止まらない。「お茶」のカフェ業態で、まさに独り勝ちとなっている状態だ。
しかし、ずっと順調だったわけではなく、厳しい局面にも何度か立たされている。
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特に大きな影響を与えたのは、2020年のコロナ禍である。テークアウトが中心だったタピオカ店は、駅前に店舗を構えることが多かった。しかし、感染拡大防止のため、ステイホームが求められ、電車に乗る人が激減。駅前の人通りが少なくなり、売り上げが立たなくなったことで、多くのタピオカの店が閉店した。
ゴンチャも無傷だったわけでない。例えば、コロナ前には連日のように長蛇の列ができていた東京・原宿の日本1号店が閉店している。
こうした苦境から脱するためのかじ取りを期待され、2019年12月にゴンチャ ジャパンの会長兼社長に就任した元日本マクドナルド社長の原田泳幸氏が、2021年2月に妻への暴行容疑で逮捕。その後傷害罪が確定し、退任してしまった。2021年10月に社長に就任したのが、元サブウェイ ジャパン社長の角田淳氏である。
本稿では、ゴンチャの快進撃を生んだ角田氏の戦略と、今後の展望について考察したい。
●ゴンチャは「タピオカの店」にあらず
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ゴンチャは2006年に台湾の高雄市で誕生した、世界最大規模のティーブランドで、世界で約2000店舗を展開している(2023年7月現在)。日本法人の設立は2015年3月だ。
ゴンチャの日本上陸が、当時タピオカブームが起こった要因の1つであったことは間違いない。
しかし、ゴンチャは初めから「タピオカの店」として売ってはおらず、お茶の専門店としてのスタンスを打ち出していた。
ブランド名「貢茶(ゴンチャ)」の由来は、“貢ぐお茶”。中国では、最高品質のお茶を皇帝に献上するしきたりがあった。つまり、「歴代の皇帝が愛したような最上級のお茶を、顧客に味わってもらいたい」という趣旨の店であり、タピオカはあくまでトッピングの1つだったのである。そのため、お茶の知識が乏しく、安価なティーバッグを使い、輸入の激安乾燥タピオカをお湯で戻して入れているだけの事業者とは、一線を画している。
タピオカ専門店が壊滅する中で、ゴンチャが力強く復活できたのは、新しいお茶文化の創造を目的とし、品質の高いお茶を提供してきたからだ。そのため、タピオカブームが去っても、お茶が好きな多くのファンが残った。
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また、英国発祥のアフタヌーンティーよりも気軽にお茶を飲みたい人が通うイメージがあるため、高校生や大学生のような若い人も目立つ。コーヒーが苦手で、喫茶店やカフェに行きにくいと感じている人でも、お茶なら好きだという人も多く、ゴンチャはこうした人たちに新たな選択肢を提供したのである。
●テークアウトの店から一転
ゴンチャが日本で店舗展開を始めた初期の頃は、テークアウトの店だった。しかし、座ってゆっくり飲みたいというニーズが高まり、イートインのスペースを持つ店も次第に増えた。
そうした中で、2020年6月、東京都立川市のJR立川駅直結の商業施設「グランデュオ立川」3階に、90席もの席数を備えた大型店を出店。これがゴンチャにとって大きな転換点となった。
ゆったりと過ごせる環境で、コンセントが使えるデスクワーク向きのカウンター席、荷物があっても余裕の1.5人席、会話に適したテーブル席などを設け、さまざまなニーズに応えた。ここでの成功により、広めの席数を確保した店舗が主流となり、現在に至っている。ここがストリートフードから脱却できなかった、幾多のタピオカ店との違いだ。
2025年からは、ゴンチャが目指す方向性を示した「コンセプトストア」を出店し始めた。3月に日本のゴンチャ発祥の地である東京・原宿に「原宿神宮前店」をオープン。5月には、インバウンド需要も狙える東京・秋葉原に「秋葉原中央通り店」を開業した。
ゴンチャのコンセプトストアでは、お茶に合うサンドイッチやスイーツといったフードを強化しており、ブランドとして飛躍するための施策をきちんと打っている。
●コーヒーに慣れる前の若年層を取り込む
なぜ、ゴンチャだけがティーカフェとして成長できているのか。そこには戦略がある。
角田氏は「日本では子どもにコーヒーをあまり飲ませない。一方で、お茶は健康に良いイメージがある。若年層がコーヒーに移行する前に、ティーカフェの良さや世界観を伝えていけば、業績はもっと伸びる」と語る。
最近は禁煙となっている飲食店がほとんどだが、コーヒーを飲める喫茶店ではタバコが吸えるイメージが強く残っている。また、コーヒーには特徴的な苦みがあり、「コーヒーは大人になってから飲むもの」という印象もある。
そこでゴンチャは、お茶好きな若年層がコーヒーを飲み始める前に、囲い込む戦略を採用したのである。
角田氏が顧客との接点づくりで重視するのは、店舗の立地だ。人々が「お茶をしよう」と思った時に、すぐに行ける立地を選んで積極的に出店している。カウンターのみの店舗と、客席が充実した店舗は、現在は半々だが、様子を見ながら両方とも伸ばしていく予定だという。
当面の店舗数の目標は400店舗だが、それでは足りない。国内のコーヒーチェーンをみると、スターバックスだけでも2000店舗以上、ドトールとコメダがそれぞれ1000店舗以上、タリーズが800店舗以上ある。これらと同程度の店舗数がなければ、「お茶をしよう」と思った時にすぐに行くことはできない。そのため、将来的には1000店舗を目指している。
●「カスタマイズ」が武器に
ゴンチャの特徴は、自分好みのお茶とトッピングをカスタマイズできる点だ。
まず、ベースとなるお茶を、ミルクティーやストレートティーなど6種類の中から選ぶ。しかも、主力商品であるミルクティーも、ブラック ミルクティー(紅茶)や阿里山ウーロン ミルクティー(ウーロン茶)など、8種類ある。季節限定商品なども合わせれば、50種類以上の選択肢があるのが特徴だ。これに加え、ホットかアイスか、どのサイズにするか、トッピングは何にするかなどを選んでいく。
最も人気のあるお茶とトッピングの組み合わせは、パール(タピオカ)入りのアイスのブラックミルクティーで、これがいわゆるタピオカミルクティーだ。
カスタマイズするシステムは、注文の方法が煩雑であり、あまり主張しない日本人には向かないとされてきた。これが、サブウェイなどの売り上げが伸びないとされてきた理由だ。
しかし近年、マーラータンやパワーサラダなど、具材を好きに選べる点が魅力となっているものも多い。また、ラーメン店でも、麺の種類や硬さが選べる店も増えてきた。特に若者にとっては、こうしたカスタマイズが当たり前となってきている。消費者のマインドの変化も、ゴンチャにとって追い風となった。
●独り勝ちを目指すのではなく……
角田氏はゴンチャ ジャパンの社長就任前、サブウェイ ジャパンの社長を務めていた。
サブウェイは一時期500店舗ほどにまで拡大したが、当時は150店舗ほどに縮小。このタイミングで、角田氏は店舗や商品を改革し、反転攻勢に出た。店舗では、新コンセプトの「フレッシュフォワード」を導入。ショーケースやインテリアを明るくし、パンを顧客からよく見える位置で焼くなど、フレッシュなイメージづくりをした。商品面ではコンビニのヒット商品などを取り入れ、サラダチキンなどを具材に取り入れた。
こうした取り組みの効果もあり、17カ月連続で既存店売上高が前年同月比を上回った頃に、ゴンチャから声が掛かったという。
「ゴンチャもサブウェイと同じく、ブランド力はある。あとはしっかりとチームをつくり、やるべきことをやれば良い。優秀な人材がそろっているので、社長の仕事はその人たちがプロとして力を発揮できるように方向性を定めることだ」と、角田氏は語る。
角田氏の社長就任時、ゴンチャにはさまざまな考えの人がいたが、「お茶の文化をつくる、お茶で日本一になる」と、目標を明確にした。同時に、店舗で働くアルバイトスタッフの髪色などを自由化し、スタッフが働きやすい環境整備を行った。また、マーケティングでは、10代や20代を取り込むためにSNSでの発信に力を入れている。
「日本では、『お茶をしよう』という言葉が、コーヒーを飲みに行くことを意味することが多い。そうではなく、正しく“お茶”を飲んでもらえるようにしたい」と角田氏は語る。
そのため、角田氏が望んでいるのは、ゴンチャの独り勝ちではない。「コーヒーを提供するカフェには伝統がある。元気なティーカフェがたくさん出て、お茶の魅力をさまざまな角度からアピールしないと、現状は覆らない」と考えている。
「最近はコーヒー屋さんもお茶を出してきているが、コーヒー屋さんでお茶を飲むのでなく、お茶はやはりお茶屋さんで飲んでほしい」(角田氏)
ゴンチャの年間来客者数は、2019年から2024年の5年間で約1.7倍の3012万人となった。2028年にはさらに2倍の6000万人を目指す方針だ。
「お茶をする」の概念を覆し、お茶文化を浸透させられるのか。ゴンチャの今後の成長は、そこにかかっている。
※下記の関連記事にある「【完全版】タピオカブーム終了も、絶好調のゴンチャ “独り勝ち”を目指さない、深いワケ」では、配信していない豊富な写真とともに記事を閲覧できます。
(長浜淳之介)
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