マガジン漫画家、長距離トラック運転手の仕事続ける理由「ギャンブルの側面が強過ぎて」

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2026年01月09日 12:15  オリコンニュース

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『黄昏町プリズナーズ』コミックス第2巻
 働き方の多様化が進み社員の副業に寛容な企業が増えてきた現代。ミュージシャンや芸人のように、“憧れるけれど専業にするにはハードルが高い”職業との二足草鞋もよく聞く。『マガポケ』で連載中の『黄昏町プリズナーズ』の原作者・ショーキ名古屋さんも、そんな二足草鞋勢のひとりだ。週刊連載漫画の原作を担当しながら、長距離トラックの運転手として働いている二児の父親。本作は1月8日にコミックス第2巻が発売され、その当日に重版がかかった。新人でまだ2巻という早い時点での発売即重版は異例中の異例である。

【写真】デカい!マガジン漫画家が運転する長距離トラック

■トラックの運転は辞めたくないし、漫画も作りたい。

 「マガポケ」で週刊連載の原作を書きながらトラックの運転手をしているショーキさんだが、初めてイラストを描いたのは小学校高学年の時だったという。気がつけば夜のうちに『NARUTO』や『浦安鉄筋家族』のイラストを描き、次の日に学校で友達に見てもらうようになった。漫画を描き始めたのは中学2年生の1月14日のこと。お年玉で買った『ハリーポッター』の小説を読んだ後に「今日から漫画を描く日々を始める」と思い立ったため、日付をしっかり記憶している。

 「一度筆を折るというと大袈裟ですが、漫画家を目指すことを諦めたんです。その時に祖父が営んでいた稼業を手伝う形でトラック運転手の仕事をするようになりました。しばらくは運転手の仕事に集中していましたが、やはり漫画が描きたくなってしまいまして。ちょうど講談社が運営している「DAYS NEO」というインターネット上で漫画の持ち込みができるサイトを見つけたので、そこに『黄昏町プリズナーズ』の元になる作品のネームをアップしました。そのサイトはアップした作品をいろんな雑誌の編集者に読んでもらえて、担当に付きたい漫画家がいれば編集者の方から声掛けするシステムでした。そこで声を掛けてくださった内の一人が現担当者でした。ありがたいことに複数人の編集者が手を挙げて下さったのですが、今の編集さんの指摘が一番 “なるほどな” と思ったんです。」

 そもそもは漫画家志望だったショーキさんだが、デビュー作である『黄昏町プリズナーズ』では原作を担当し、作画は藤モロホシ氏が担当している。これについては「カッコつけたい所ではありますが…僕の絵が下手だった。それが最大の要因です。」と包み隠さず答えてくれた。

 「あと、ギャンブルに家族の人生を乗せてベットできなかった。漫画家は世界一忙しい職業だと聞いていたので。漫画家でやっていくには、トラックの運転を辞めて漫画一本に絞るということになります。守るべき家族がいる僕にはギャンブルの側面が強過ぎて舵を切れませんでした。それに僕は本当にトラックの運転の仕事が好きなんです。これは負け惜しみに聞こえそうで、単行本が出るまでは周りには言えなかったのですが、一人で運転している時間が好きで楽しく働いています。元々トラックの運転を辞めたくて漫画を描き始めたわけではなく、ただ漫画を描くことを辞められなかったんですよ。結果的に藤先生の超絶画力と出会えて、原作を何十倍にも面白くしていただけたので本当に良かったです。特に緋花というキャラは藤先生の作画でめちゃくちゃかっこよくなっていてお気に入りです!」

■深夜の高速道路で生まれたアイデア。描かずにはいられなかった。

 アイデアは運転中に浮かぶことが多いようだ。積荷を運び、行った先で買い取ってもらうという工程を繰り返しているなかで、「下ろした荷物の重さで得られる金額が決まるという、ある意味で情が介在しない冷たくシステマチックな設定を物語の中で活かせば面白いのでは?」と思い浮かんだ。『黄昏町プリズナーズ』は、死刑制度がなくなった代わりに “死刑に相当する刑” として囚人たちが1箇所に集められ、誰かの遺体を指定された場所に運べばその重さに応じたお金がもらえるという設定だ。

 「黄昏町には囚人だけでなく様々な能力を持った人間が集められています。でも、どんなに賢かろうが力が強かろうが、死んでしまえばその肉体には重さ以外の価値は残りません。仲間が死ねば悲しく、とんでもなく悪い奴が死ねばもしかしたら喜ぶのかもしれません。ですがシステムとしては、重さ以外の価値は無く、遺体を入れれば重さに応じた通貨が得られる。それはトラックで集められた廃材の重さがお金に変わる僕の世界とリンクしている。つまり、黄昏町のシステムも僕の世界同様冷たいんです。そんなことを意味もなく考える時間があり、気がついたらまた漫画を描き始めていました。」

 一度諦めた漫画の道だったが、大好きな運転をしているとアイデアがどんどん浮かび、また漫画を作る人生になった。運転免許はゴールドを維持しているショーキさんだが「完全に集中しすぎると危ないので気をつけています。」と何度もおっしゃっていたのが印象的だった。今後の目標は「力を付けてもっと沢山の方に面白いと言って貰うこと」と話してくれた。

■『黄昏町プリズナーズ』あらすじ
日本で死刑制度がなくなって5年。代わりに重犯罪者は“黄昏町”という町に収監されるようになっていた。冤罪を訴えるも死刑宣告を受けた千頭悠真も、例外なく“黄昏町”へ。町の中は、殺人もレイプも罪にならない無法地帯。死刑囚が殺し合わされていた。そんな地獄のような“黄昏町”の中で悠真は生き残ることができるのか!?全員死刑囚のサバイバル・バトル開幕!

このニュースに関するつぶやき

  • 以前、ホームレスギャル漫画家っていたけど、長距離トラックの運転手が漫画原作者っていうのも異質ですね。そのうち拝読する機会が訪れるでしょう。
    • イイネ!17
    • コメント 4件

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