
野球にまつわる「200」について語った山本キャスター
この連載も、ついに「200」の大台に乗りました。偏愛の詰まった、決して万人向けとは言えない連載にもかかわらず、こうして毎週欠かさずお届けできているのは、どんなマニアックな話題でもGOサインを(渋々?)出してくれる担当さんと、何より応援してくださるみなさまのおかげです。いつもありがとうございます!
200という数字を野球に当てはめるとしたら、最初に思い浮かぶのは、通算勝利数です。
NPBに限れば達成した投手は24人で、日米通算でいうと黒田博樹さん、野茂英雄さん、ダルビッシュ有投手、そして昨年9月に達成した田中将大投手の4人のみ。長く歴史を重ねてきたプロ野球において、その記録がいかに難しく重みのあるものか、あらためて感じます。
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我らがヤクルトの石川雅規投手は、現在188勝。「不撓不屈」の言葉を胸に45歳で迎える今季が、充実したシーズンになることを祈ってやみません。
NPB通算200本塁打を達成した選手は115人で、歴代最年少となる24歳3ヶ月で達成したのが、ホワイトソックスに移籍した元ヤクルトの村上宗隆選手です。
村上選手が、近い未来に「日米通算300本塁打」を達成することは間違いありません。この連載も、次の100本を、コツコツと丁寧に積み上げていきたいと思っていますので、今後もおつきあいいただけますと幸いです。
200にまつわる話をもう少しだけ。
野球の発祥は諸説あると言われていますが、一般的には1839年にクーパーズタウンで考案された競技が起源とされています。つまり「野球」が誕生してからは、まだ200年経っていません。
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そして、今からちょうど100年前、アメリカでは"野球の神様"ベーブ・ルースがヤンキースに在籍していました。二刀流から打者専念へと完全に移行した時期でもあり、バッターとして数々の伝説を積み上げていきます。特大のホームランを量産してチームを何度も優勝へと導き、ヤンキースは黄金時代を迎えていました。
野球というスポーツに「パワー」の概念を持ち込んだのは、ルースの長打力だったとも言われています。野球が誕生した19世紀の時点では、そんな選手が出てきて、エキサイティングなスポーツへと進化を遂げていくと想像していた人は、ひとりもいなかったはずです。
2022年の3月に始まって200回。お読みいただきありがとうございます。
それから100年経った現在はどうでしょうか。大谷翔平選手がルースの記録を塗り替え、数々の新たな金字塔を打ち立てている真っ最中です。世界中の野球ファンたちが日々、大谷選手の活躍に常識を揺さぶられているように、ルースが活躍していた100年前も、人々は「二度とこんな選手は現れない」と思っていたのでしょうか。
100年の時を経て、今度は私たちが新たな歴史の目撃者になっているのです。では、今から100年後の野球はどうなっているんでしょう。
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現代の野球は技術の発展とともに、高い精度でデータを得られるようになって、それを基に体の使い方を科学的に整えたり、フォームを最適化したりと、より科学的な捉え方が進んでいるように思います。
その成果が実を結んだとき、例えば投手の球速は170キロを優に超え、野手がケガをしない体を作ることが当たり前になっているかもしれません。そして、大谷選手を超える選手が現れ、100年後の世界では、大谷選手の記録が回顧されているかもしれない。大切なのは、「どちらが偉大か」ではありません。どの時代にもスーパースターがいるのです。歴史と記録を重ねていく野球って、やっぱり素敵なスポーツですね。
ファンの観戦にも変化があるかもしれませんね。より細かなデータ収集が進んで、選手の能力がパッと可視化できたり、どこにいても球場にいるような臨場感が味わえたり。あるいは、リアルタイムで捕手、打者、走者の目線などを体感できるようになるかもしれません。
それでも変わらないものがあるとしたら、ファンの熱狂でしょう。
100年前の映像を見ても、ルースのホームランに沸く球場や、感情が昂(たかぶ)るお客さんの表情など、現在とまったく同じ光景がそこにあります。きっと100年後も、一球、ひと振りに球場が揺れるスタジアムの雰囲気は、特別なものであり続けるのだと思います。
データ化が進む現代で、プロ野球のコーチやアナリストの方にお話を伺うと、一番難しいのは「感覚と数値のバランス」だと聞きます。データの重要さを頭で分かっていても、それをどう再現できるかに課題が残っているのだと。
ビッグデータを駆使して、現場に落とし込める球団スタッフが今以上に評価され、選手と同じくらい大きな契約を結ぶ日がくるのかもしれませんね。
100年後の野球を目にすることは残念ながら難しそうですが、この数年でも「フライボール革命」「守備シフト」「レベルスイング」など、さまざまなトレンドが生まれました。野球が次の100年に向かって磨かれ、変化し続けていくその過程を、楽しめたらと思います。
みなさんは100年後の野球、どんなものになっていると思いますか? ぜひ教えてください。
それでは、また来週。
構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

