
1月3日、下田海中水族館はホームページにてゴマフアザラシのココアが1月2日に永眠したと発表した。原因は摂餌不良。まだ1歳という年齢もあって、多くの人から悲しみの声が上がっている。
静岡県の下田海中水族館へ迎えられたばかりだった
「ココアは昨年12月10日に神奈川県の新江ノ島水族館から静岡県の下田海中水族館へ繁殖のために迎えられたばかりでした。突然の悲しい報告にショックを受ける人も多く、SNS上では『#ココアちだーいすき』というハッシュタグで生前のココアの写真を投稿するムーブが起きています」(一般紙記者)
実は、近年事故に見舞われた幼いアザラシはココアだけではない。
「'25年3月、秋田県の男鹿水族館GAOにいたゴマフアザラシのジャンボが、生後11か月で繁殖のために大分マリーンパレス水族館うみたまごに輸送されました。しかし、その途中、ジャンボは体調を崩してこの世を去りました。また、'24年の6月には前年11月に繁殖目的で大阪の海遊館より小樽水族館に移動したワモンアザラシのミゾレ(3歳)も同様で、繁殖目的で移動した幼いアザラシの死亡事故が相次いでいるのです」
こうした事案に、繁殖目的での幼いアザラシの輸送について疑問の声も出ている。東京農業大学でアザラシの研究を行う小林万里教授はココアの死について、こう分析する。
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「ネット上では輸送のストレスが指摘されていますが、アザラシは寒さに強い動物で、輸送自体に水も必要なく、そこまで大きなストレスになることはないかと思います。アザラシの輸送自体、私も何度も経験がありますが、死んでしまったことはありません。ココアのストレスは輸送というより、その後の環境なのかなと。
下田海中水族館のホームページには原因は摂餌不良と書いてありましたので、食べられなくなった原因がほかにあるのではないかと思います。移動して20日ほどたっているので、輸送の疲れもあるかと思うのですが、最初は元気に遊んでいたとのことなので、それがいちばんの要因だとは考えづらいですね」
一方、輸送時には“暑さ”という点においては細心の注意が必要だという。
「ジャンボについては、秋田県から福岡県の空港という寒い地域から温かい地域へ移動したので、輸送のストレスが一因となった可能性は考えられます。飛行機の中の運搬スペースはかなり寒いと聞いてはいますが、運搬用の用具や水槽などをもっと気を遣ってあげる必要があったのかもしれません」(小林教授、以下同)
3匹に共通していた“幼い”年齢
3匹に共通していた“幼い”という年齢に関して、輸送の負荷を心配する声が上がっているが――。
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「生まれて1年に満たない子どものアザラシは、けっこう死んでしまうことも多いんですが、1歳まで生きたというのは強い個体と言えます。ココアも1歳まで育ったアザラシなので、割と強いほうだと思うんですよね。目的が繁殖なので、その繁殖年齢になってからいきなり移動するよりは、ある程度、輸送先の環境に慣れた上で繁殖させたほうが負担が少ないという考え方なのかなと」
また、アザラシという名前で1つにくくられがちだが、アザラシの種類によって性格もかなり異なるそう。なかでもココアやジャンボが該当するゴマフアザラシは、環境の変化には比較的強いという。
「ゴマフアザラシは自分から新天地などを見つけていく“開拓精神”が強い種類です。そういう意味では、いちばん環境の変化には鈍感で影響を受けにくいと思います。対してワモンアザラシは敏感ですね。また、行く先の水族館に先住のアザラシがいる場合は、それらのアザラシとの相性なども重要になってきます。そういった意味で、結局は個々の問題になってくるところはあります」
人間同士に相性があるように、アザラシ同士にも相性はある。ミゾレの事故の原因についてはすでに詳細なレポートが公開されており、その中には水族館の努力が記されている。
「報告書には、移動前から小樽水族館の担当スタッフが海遊館へ出向きトレーニングをしたり、移動した後も海遊館のユニフォームを着て飼育管理に当たるなど、彼らにストレスを与えないような環境づくりをしようと努力していることが伝わります。そうなってくると、あとはその子が何にストレスを感じるのか次第なところがありますから、精いっぱい努力はしたけれど、それでもうまく適応できなかったのではないかと思います」
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今後の対策についても聞くと、次のように解説してくれた。
「輸送に関しては、寒い時期に移動させたり、通気性のいいゲージを用意するなど、注意を払うに越したことはありません。ココアなどはちゃんと寒い時期に移動させていますよね。ジャンボのように熱がこもってしまったというのは、いちばんやってはいけないことだと思います。また、年齢に関しては、1歳でもすでに十分ではあるのですが、3歳ぐらいまで待ってもいいのかもしれないと個人的には思いますね。しかし、水族館も最善は尽くされてきているというのは感じています」
日本でも人気のあるアザラシ。今後、より多くのかわいらしい姿に会えることを私たちは祈っている――。
