
チャンネル登録者30万人超のSUこと陶山健人氏による著書『世界史の食べ歩き方』は、メディアの報道とは異なる意外な日常や食文化について、臨場感たっぷりに紹介する旅行記です。
今回は本書から一部抜粋し、2023年末に訪問した戦時中のロシアで目の当たりにした人気ファストフード店の意外な変化を紹介します。
経済制裁で消えた西側諸国の飲食店やホテルの末路
経済制裁によって撤退した西側諸国のチェーン店の現状はどうなっているのでしょうか? それが私が訪露した理由の第一です。ロシアには米国を筆頭に西側諸国のチェーン店があり、飲食ではマクドナルドやKFC、バーガーキングやスターバックスコーヒーなどが戦争前まではありました。日本企業だと丸亀うどんがモスクワ店を開業させていました。ホテルではマリオット、ヒルトン、IHGなども普通にあったのですが、ウクライナ戦争が始まって以降は経済制裁でフランチャイズ契約から外されたりしています。
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看板だけが変わったファストフードが爆誕
結果的にどういうことが起きているかというと、今までの看板を変えて、店内も設備もそのまま営業する方式でお店を営業させていました。マクドナルドは「フクースナ・イ・トーチカ」という名前に変えてロシア法人のマクドナルドを全てロシア人経営者に売却して事実上、ほぼマクドナルドという形で営業してます。「フクースナ・イ・トーチカ」という店名の意味は「美味しい。それだけ。」という意味だそうです。マクドナルド時代からハンバーガーで使うバンズやパティを製造していた工場もそのままあるので、メニューもほぼ同じです。若干ですがオリジナル商品もありました。
続いてスターバックスも「スターズコーヒー」として営業しています。このスターズコーヒーはロゴも本家のスタバと絶妙に似せてあって、笑ってしまいました。
この元マクドナルドと元スターバックスの両店舗を滞在中に利用しました。モスクワの元マクドナルドではハンバーガーは食べなかったのですが、ウラジオストク滞在中に利用してハンバーガーを食べましたが、普通に美味しかったです。
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「マル」になっても大人気の丸亀製麺
丸亀製麺は「マル」というお店に名前を変えて営業を続けていました。実際に「マル」で昼食をしに行きました。店内は丸亀製麺時代そのままです。うどんを製麺する設備や茹で上げる機械まで全てそのままで、うどんが提供されていました。もちろん天ぷらもあります。私は海外丸亀のハワイとホーチミンで食べたことがありますが、「マル」のクオリティもほぼそれと変わらない感じです。強いていえば出汁が薄くてうどんが少し伸びているように感じました。面白かったのは食器なども丸亀時代のままなので、天ぷらのお皿やコップに丸亀のロゴが消されずに残っていたことです。お店は非常に混んでて日本食は大人気です。
ロシアの国民的ドリンクも経済制裁で改名
ロシアの国民的ドリンクのコカ・コーラも影響を受けています。制裁前は自国の工場で正式なコカ・コーラを生産できていましたが、これも難しくなり名前を「ドブリー・コーラ」に変えて再販売が開始されています。しかし、街中では普通にコカ・コーラも売られていました。現地在住の同行者さんに聞いたところ、隣国でロシアの友好国であるカザフスタンにあるコカ・コーラ工場の正式コカ・コーラをロシアが輸入して国内で販売しているそうです。ロシア人は日々コカ・コーラを飲んでいるので需要があるそうです。
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ホテルチェーンも苦肉の策で謎ブランドに変化
モスクワのマリオット系ホテルは制裁の影響でブランドフランチャイズから外されてしまいましたが、ホテル自体は営業を続けており、ホテル名を変えて存続しています。例えば、リッツカールトンモスクワは「カールトン・モスクワ」と絶妙に面影を残した名前に変更していたり、一方で、現在もヒルトン系列はモスクワで通常通り営業されていたりします。
戦争が終わり、あらゆる物の経済制裁が解除された暁には、苦肉の策で誕生した謎ブランドから元のブランド名にどれくらい復活するのかは気になるところです。
陶山 健人(すやま・けんと)プロフィール
1989年生まれ。愛知県出身。地元大手企業で10年間の会社員時代を経て脱サラ。2018年YouTubeチャンネルを開始。登録者30万人超の「SU channel / 旅行」アカウントを運営し法人化。現在はSUポメロ株式会社の代表取締役。交通関連、エアライン、ホテル、海外渡航情報、現地グルメなどに精通しつつ日本人があまり行かない国や街、様々な国境エリアを実際に自ら訪れ、リアルな様子や体験談をわかりやすくまとめてコンテンツとして提供。視聴者を楽しませる現場主義スタイルが人気。実用的な旅行情報と親しみやすい人柄で多くの視聴者に愛され影響力も持つクリエイター。座右の銘は「思い立ったら即行動!」。好物はうなぎ。
(文:陶山 健人)

