画像提供:マイナビニュース高級腕時計の中には、製造本数や販売地域、販売時期が限られている「レアな」時計がたびたび登場します。本連載では、数々の腕時計を見てきたプロフェッショナルが厳選する、レアな腕時計を写真とともにお届けします。
今回は、鑑定士歴10年、8,000点以上の査定実績を持つKOMEHYO SHINJUKUの萩原大介さんに「ジャガー・ルクルト Ref.E2643」(ヴォーグ クロノグラフ)を紹介してもらいました。
ジャガー・ルクルト Ref.E2643
【レア度】
レア度:★★★☆☆
どんな腕時計?
1833年創業の老舗高級時計メーカーのジャガー・ルクルト。卓越した機械技術から「ウォッチメーカー オブ ウォッチメーカーズ」の異名を持ち、名だたる高級時計ブランドにムーブメントを供給しました。そんなジャガー・ルクルトが1960年代に送り出したのが「Ref.E2643」です。ヨーロッパでは「ヴォーグ クロノグラフ」、アメリカでは「シャーク ディープ シー」と、展開されるエリアによって異なる通称が用いられていることも特長です。
シルバーベースの文字盤にブラックのインダイヤルを配したクロノグラフ機構「パンダダイヤル」を備え、組み合わせるブラックベゼルが全体の雰囲気を引き締めます。ステンレススチールケースには当時としては大ぶりな41mmが採用され、現代にも通ずるモダンなデザインに仕上がっています。
スタッフに聞いた、この腕時計がレアな理由
オーデマ・ピゲやパテック・フィリップにムーブメントを提供する一方で、自社で腕時計の製造・販売も手がけるジャガー・ルクルト。今風に言えば二刀流メーカーでしょうか。
本モデルの最大の特徴は、文字盤が「ジャガー」単独表記である点です。ジャガー・ルクルトは過去、アメリカ市場向けには「ルクルト」、フランス等の欧州市場向けには「ジャガー」とブランド表記を使い分けていた歴史があります。そうした当時の欧州市場の背景、あるいは1937年の社名統一前の過渡期の歴史を感じる、非常に希少な一本です。
機能面におけるハイライトは、何と言っても搭載する手巻きクロノグラフの歴史的傑作と名高いムーブメント「バルジュー72」です。
最大46時間連続稼働という性能を誇ったこの機構は非常に高く評価され、その後、様々な機能を備える機構へと発展しながら多くの高級腕時計ブランドに採用されます。1938年の誕生から1970年代まで長年にわたって活躍したムーブメントでしたが、クォーツ時計の登場によってその役目を終えました。
現物を見る機会はそうそうありませんが、その歴史的な背景も合わせて時計好きが語りたくなる1本だと思います。
安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら
萩原大介 はぎわらだいすけ KOMEHYO SHINJUKU シニアチーフ。 鑑定士歴10年、8,000点以上の査定実績を持ち、ファッション観点でのトレンド把握を得意とする。徹底して顧客に寄り添う姿勢を持ち、リピーターからの信頼も厚い。趣味は休日の洋服屋巡り。
KOMEHYO:https://komehyo.jp/ この監修者の記事一覧はこちら(安藤康之)