
年収が130万円を超えると手取りが減る、いわゆる『年収130万円の壁』。
4月からのルール変更で、手取りが増えるかもしれません。
【写真を見る】「年収130万円の壁」4月から新ルールで手取りは増える?注意点や「労働条件」チェックのポイントは【ひるおび】
4月から何が変わる?社会保険の扶養に入っている人が年収130万円を超えた場合、社会保険の扶養から外れます。
扶養から外れると社会保険料の支払い義務が生じ、手取りが減る逆転現象が起こるのが、いわゆる「年収130万円の壁」です。
このルールが4月から変わります。
これまでは「(一時的な)残業代などを含んだ収入の実績」とされていましたが、4月からは一時的な残業代などは含まず、契約時の賃金で計算ができるようになります。
恵俊彰:
ということは契約時の賃金が130万円以内だったら、社会保険料が発生しないってことですか?
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ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
そうですね。あらかじめ分かる状態じゃないと、「超えちゃったらどうしよう」と、控えめに働くしかないということが多かったんですよね。
年の後半で超えないように調整することがあったんですけど、あらかじめ契約で分かっている分だけで判断できれば、残業代は見なくていいよという形にはなる。
ただ、ちょっと複雑なのでよく見ていただくほうがいいかなと思います。
新しいルールのもとで手取りにどのような変化があるのか、塚越さんに試算してもらいました。
社会保険の扶養に入っている世田谷在住Aさんの場合
(労働条件)
時給:1250円 月80時間勤務
交通費:月5000円支給
時給1250円で月80時間勤務→年間120万円
通勤手当は5000円×12か月分→年間6万円
合わせるとベースが126万円となります。
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年末年始や繁忙期の残業代で+9万円。さらに会社から臨時のボーナスが出て+2万円。すべて合わせると実際の年収は137万円になりました。
【これまで】
年収が130万円を超えたので、扶養が外れ、社会保険料が発生します。
国民健康保険が11万3895円。国民年金が21万120円、住民税が5000円で、手取り年収は104万985円になります。
【4月から】
残業代やボーナスなどを含んだ実際の年収は137万円ですが、ベースが126万円で130万円以下なので、社会保険料は支払わなくていいということになります。
住民税の3万4000円が引かれ、手取りの年収は133万6000円となります。
結果としてAさんの場合は手取り年収に29万5015円の差ができました。
つまり手取りは約3割増えるという試算になります。
コメンテーター 伊藤聡子:
これは大きいと思いますね。喜ぶ方は多いんじゃないですか。
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経済評論家 加谷珪一氏:
今まではある意味出たとこ勝負ですからね。ギリギリになって(扶養の上限に)引っかかるか引っかからないかという話を、“見える化”しましょうって話です。
また、自分がどういう条件で働いているのかを見直すきっかけにもなるのでいいことではないでしょうかね。
弁護士 八代英輝:
今まで雇用主の側からすると、11月からそわそわしだして12月になると一気に働き手がいなくなっちゃうという事象が生まれていたので、年初から計画的に人材や雇用について考えられるのは進歩なんじゃないかと思いますね。
自分がが当てはまるのか当てはまらないのか、どこをチェックすればいいのかを見ていきます。
「労働条件通知書」は、年収の見込み額の計算ができる▼基本給▼勤務日数▼通勤手当など労働条件が明記されている書類です。
新ルール適用のために重要なポイントを塚越さんに聞きました。
◆勤務日と始業・終業時刻
【ポイント:月労働時間が計算できるよう明記されている】
例えば勤務日が「週4日※月平均16日程度」で始業・終業時刻が「午前9時〜午後3時」であれば、月に換算すると80時間勤務となります。このように計算ができるように明記されているかどうかを見ます。
◆賃金
【ポイント:通勤手当も年収に含まれる】
時給1250円など基本賃金に加え、通勤手当も年収計算に含まれるので、確認します。
◆時間外労働や賞与
【ポイント:残業やボーナスの金額が記載されていると年収に含まれる】
例えば時間外労働は「原則として命じない(見込み残業なし)」、賞与(ボーナス)も「なし」など、どのように記載されているか確認します。
臨時の賞与であれば適用外になりますが、元々この契約に「賞与5万円」などと記載されている場合は、年収に含まれます。
恵俊彰:
労働条件通知書。これ見たことないんですが。
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
雇用契約書という形のこともありますし、労働条件通知書という書類になっていることもあり、会社によって違います。
本来は必ず交付されていないといけないんですけど、小さい会社は「いつから来れる?」みたいな形で始まっちゃうことが結構あって、取り交わされてないこともあります。
今回この書類が本当に大切になってくるので、この機会に交付を受けたり確認することが必要です。
◆給与以外の収入は適用外
不動産や株式での売上収入など、給与収入以外の収入があると、新ルールは適用外になります。
恵俊彰:
じゃあNISAで運用していて、ちょっと収入が増えたのもカウントされる?
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
健康保険によっては収入とカウントしますし、60代で年金をもらってる方もこの新ルールは使えません。
◆不定期な労働は適用外
例えばスキマバイトやシフト制など、労働条件通知書で年間の収入見込みが計算できない働き方は、この新ルールが適用されません。
◆「残業」の上限は「社会通念上妥当な範囲」
厚労省は、具体的な金額を設定してしまうと新たな「年収の壁」になりかねないとして、示すことは困難としています。
範囲をどう判断するのかは、扶養に入っている保険組合で基準が違う可能性もあります。
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
組合にもよるんですけど、すでに25パーセント増まではOKと明示してある組合もあったりします。
恵俊彰:
ジャッジするのはどこなんですか?
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
扶養している人が加入している健康保険組合です。
なので同じパート先で働いていても、同じ金額を稼いでも、あなたはOK、私はアウトみたいなことが起こり得るってことですよね。
コメンテーター 伊藤聡子:
社会通念上許される範囲って、すごく曖昧だなと思いますね。
それから女性の立場からすると、例えば離婚をしてシングルマザーで働こうとしたら、自分で最初から年収関係なしに国民年金とか払わなくちゃいけないわけですよね。
でも扶養だと130万までOKで、これでまた130万超えて残業もできるとなると、ここの差がさらに広がっちゃうことになります。
雇う側からすると、扶養に入っていたり結婚してる人のほうが残業上乗せできるからいいとなる可能性もありますよね。
格差が生まれてしまって、大丈夫かなと思ってしまいました。
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子氏:
やっぱり少しでも働き控えもしないでほしいし、手取りも増やしてほしいという形でこういう微妙な状態になってるんですよね。
経済評論家 加谷珪一氏:
理想的には、全部の事業所でどの労働者もちゃんと社会保険に入って、将来の安心のために年金をもらうというのが理想的な姿なので、そこに近づけていくための一つのステップと考えた方がいいんじゃないでしょうか。
今後の流れとして、公的年金の加入対象は拡大方向に向かっており、
2035年10月には、週20時間以上働いた人は年収に関係なく社会保険に加入することになります。
経済評論家 加谷珪一氏:
政府は一応そういう流れで設計をしています。
若い時は私もあまり考えませんでしたが、50代になってくると年金をいくらもらえるのかが深刻な話になってきて、やっぱりもっと働いて保険料を納めてればよかったと後悔している方がたくさんいらっしゃるんですよね。
今どのくらい手取りが欲しいかということと、将来老後の生活をどうするか、うまくバランスをとって考えていただきたいなと思いますね。
(ひるおび 2026年3月25日放送より)
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<プロフィール>
塚越菜々子氏
ファイナンシャルプランナー
「共働き家計の金銭不安解消」を目指し資格取得
「扶養の壁」などをテーマに執筆
加谷珪一氏
経済評論家 元日経BP記者
著書に「貧乏国ニッポン」
中央省庁などに対するコンサルティング業務に従事

