「スーパーボランティア」として知られる尾畠春夫さん=17日、大分県 4月に大分県で初めて開校する夜間中学「県立学びケ丘中学校」(大分市)に、各地の災害現場で活動する「スーパーボランティア」として知られる尾畠春夫さん(86)=同県日出町=が入学する。「人生は一生勉強。わくわくしている」とその日を心待ちにしている。
尾畠さんは現在の同県国東市で7人きょうだいの三男として生まれた。家庭は貧しく、小学5年で農家に奉公に出されてから、日中は農作業、夜は草履を編む生活でほとんど学校に通えないまま中学を卒業した。その後は姉に「向いている」と言われた鮮魚商になるため、山口県下関市や神戸市などで10年間修行。開業資金をためるため、東京でとび職も経験した。28歳で大分に戻り、鮮魚店を約37年間経営した。
ボランティア活動の原点となったのは、50歳から始めた由布岳(大分県由布市)での登山道整備。鮮魚店を65歳で畳んでからボランティアに本格的に取り組んだ。「不特定多数の人がうちで魚を買ってくれたから生活できた。万分の一の恩返しがしたい」との思いからだ。
2004年の新潟県中越地震を契機に、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など多くの被災現場で活動。東日本大震災では、宮城県南三陸町に出向き、被災者が大切にしている物をがれきの中から拾い集める「思い出探し隊」の隊長を約500日間務めた。18年には山口県周防大島町で行方不明の男児を山中で発見し、さらに有名になった。
活動は今も現役だ。昨年大分市佐賀関で発生した大規模火災では思い出の品を捜したほか、今月17日には由布岳の登山道に向かい、廃材などを活用して階段を補強した。
学ぶことは昔から好きだった。農家に行ってから唯一学校に通えたのは農作業ができなくなる土砂降りの日だったが、「雨が楽しみだった。傘も差さないまま走って学校に行った」とうれしそうに振り返る。夜間中学開校をニュースで知ると、ちゅうちょなく入学を決めた。「1足す1も分からんような86歳のじいさんが、先生からどんなことを教わるのか」とはにかんだ。

由布岳の登山道を整備する尾畠春夫さん=17日、大分県