


俺には親に報いる義務がある。必死に勉強して、いい会社に入って、幸せな結婚をして、孫の顔を見せてやる。これこそが俺の生涯のプロジェクト……! 結婚を考えはじめた俺は、「理想の嫁」役にぴったりのエミカと付き合いだした。

エミカだったら「優しくて穏やかな嫁」の役を完璧にこなしてくれるはず。両親が喜ぶ「完璧な家族の形」にうってつけの存在だった。結婚した俺たちは、順調に子どもも授かった。俺は親孝行な息子として「良き夫」「良き父」を演じた。


安定した職を得て、幸せな結婚をして、両親に孫の顔を見せることが俺にとっての一大プロジェクト。母が冗談めかして「もう何も思い残すことはないわ」と言ったとき、俺はようやく肩の荷が下りた気がした。「親孝行の任務」が大団円で終わりを迎えた、そんな気がしたのだ。
しかしそれと同時に、俺はだんだん妻や子どもたちに対して煩わしさを感じるようになった。「どうしてこいつらはまだ俺の人生にいるんだ?」と。ここ最近は子どもたちが自己主張するようになってきて憤りしか感じられない。俺のイライラは日々積もっていったのだった。
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