
たくさんの水草を植えたキレイな水槽に、外来生物のアメリカザリガニを入れてみた結果がYouTubeで話題です。動画は記事執筆時点で52万1000回以上再生され、3900件を超える高評価を獲得しています。
投稿者は、昆虫採集YouTuberのむし岡だいきさん。昆虫が嫌いな人・興味がない人にこそ興味を持ってほしいという思いから、昆虫採集や飼育を楽しむ様子を自身のYouTubeチャンネル「むし岡だいき」に投稿しています。以前は1年かけて卵から育てたクワガタの幼虫を掘り出す様子や、成虫になる前にうっかり掘り出してしまったクワガタの幼虫を救う方法が話題となりました。
今回は世界の侵略的外来種ワースト100(国際自然保護連合)にもランクインするほど侵略性が高く、彼らが定着した水辺から多くの在来生物が姿を消す……そんな恐ろしい表現がされている条件付き特定外来生物「アメリカザリガニ」に関する実験を行います。
環境省のホームページにはアメリカザリガニが起こす問題の詳細が掲載されていますが、その中に「水草を全部切ってしまう」という記述がありました。水草を全部切ってしまうとは、一体どういうことなのでしょうか……?
|
|
|
|
むし岡さんは先日、東京都八王子市にある池をガサガサするという動画を投稿。1時間30分ほどガサガサをしたところ、200匹を超えるアメリカザリガニを捕獲することに成功しました。
アメリカザリガニはもともと日本に生息していない北米原産の外来生物であり、同じく外来生物である「ウシガエル」のエサとして輸入されました。そのアメリカザリガニが野外に放たれたことで、爆発的に増えてしまったと言われています。
そんなアメリカザリガニの厄介なところは、彼らが入った環境が悪化すること。アメリカザリガニは雑食であり、在来生物や水草などを手当たり次第に食べてしまうことから、彼らが入った池はドロドロした沼のような状態になってしまうのです。
日本の在来生物には、水草を利用して産卵するトンボ類など、水草を必要とする生き物が少なくありません。そういった生物の目線で考えると、水草がなくなることは死活問題と言えます。そこで今回は水草が豊富なキレイな水槽を作り、その中にアメリカザリガニを投入するとどんな変化が起きるのか、実験・検証を行うことにしました。
なおアメリカザリガニは外来生物ではありますが、ミシシッピアカミミガメとともに「条件付き特定外来生物」に指定されています。条件付き特定外来生物は生きたままの移動が禁止されている「特定外来生物」(ウシガエルやオオクチバスなど)とは異なり、野外に放つことや別の水辺へ移動させることは禁止されていますが、ペットとして適切に飼育する分には問題ありません。
|
|
|
|
今回アメリカザリガニを飼育する水槽には土を敷き、水草を植えて緑豊かな池のような環境を再現します。水槽にはソイルを敷いてろ過フィルターを設置し、水にはカルキ抜きを入れ、水草をたっぷりと植えてから隠れ家となる土管も設置。いい感じにレイアウトできた水槽に数匹のアメリカザリガニとヌマエビを投入し、様子を見ていくことにしました。
ここで投入したザリガニを見てみると、体が白いふわふわしたもので覆われている個体がいました。この個体は八王子の池から連れ帰ってきたもので、「ザリガニカビ病」(別名:ザリガニペスト)という病気にかかっているとのこと。日本に侵入しているアメリカザリガニの約60%がこの病気の原因菌を保有していて、水が不潔になった際などに発症するそうです。
この病気はアメリカ系以外のザリガニでは発症すると助からず、同じ水にいた個体も全て助からないと言われているとのこと。ただアメリカ系のザリガニはこの菌に対する耐性を持っていて、発症してもキレイな水の中にいれば数日で回復すると言われているそうです。
なお日本の在来種である「ニホンザリガニ」は、この菌への耐性を持っていません。そのためニホンザリガニが生息する水辺に保菌したアメリカザリガニが侵入すると、捕食されたり生息環境を奪われたりするだけでなく、病気を媒介されて地域絶滅に追いやられる可能性もあるのだとか。
そこで今回はザリガニカビ病を発症しているアメリカザリガニも水槽に入れ、この個体が本当に回復するのか、また他の個体に感染するかどうかも同時に観察していこうと考えています。水槽の環境はもちろん、ザリガニたちの様子にも注目です。
|
|
|
|
その日の夜。水槽の様子を見てみると、アメリカザリガニたちはかなり活発に活動していました。そしてよく見てみると植えてあったはずの水草が切られて水面に浮かび、一部はソイルから掘り返されているようです。
翌日。水槽を見てみるとその様子は大きく変わり、水面にはたくさんの水草が浮かんでいました。アメリカザリガニは確かに水草を食べているけれど、観察している限り茎を食べたくてかじった結果、植物が根からちぎれてしまっているようです。植えていた植物は全体的にかなりボリュームが減りましたが、ザリガニカビ病の個体はだいぶ症状が落ち着いていました。
3日目。植えていた水草はほとんど消滅し、水面には根元から切られた植物が大量に浮いていました。4日目にはザリガニカビ病の個体が倒れていましたが、よく見ると倒れていたのはザリガニ本体ではなく、脱皮殻でした。なんと水カビだらけだった殻を脱ぎ捨てピカピカの体になり、一回り大きくなっていたのです。なんという生命力……!!
5日目には植えた植物が全滅し、アナカリスの根と切られた植物が水面に浮いているだけの状態になっていました。そして6日目にはアナカリスの根も食べられ、水底から水草が消滅。きちんとエサを与えているにも関わらず、水草は日に日に減っていって……9日目になると、水草がわずかに浮かぶだけという、寂しい水槽になってしまったのでした。
今回の実験でアメリカザリガニは水草を食べるだけでなく、環境省のホームページに記載されている通り「水草を全部切ってしまう」ことがわかりました。これが彼らを「侵略的外来種」と言わしめているゆえんなのですね。
ただむし岡さんは20年以上ぶりにアメリカザリガニを飼育してみた結果、適切に飼育する分には楽しく、かわいい生き物だと感じたそうです。生きたまま他の水辺に移動して放すこと、飼育していた個体を逃がすことは絶対にNGですが、捕獲できた際は飼育しても楽しいですよと話していました。
動画には「こんなに恐ろしいとは」「数匹でこれだもんな」「アメリカザリガニを田んぼに放してはいけない理由がよく分かったわ……」「水カビとか別に脱皮したら良くない?wみたいなノリで克服する親分強すぎる」「これは衝撃的だわ。やばい生物だなアメリカザリガニ」「ちゃんと衝撃映像だった」「アメリカザリガニやばすぎ」などの声が寄せられました。
むし岡さんはYouTubeチャンネル「むし岡だいき」やX(Twitter/@mushioka_daiki)で、昆虫の採取や飼育に挑戦する様子などを発信中。また、世界で発見・撮影した強烈なインパクトの昆虫を100種以上紹介した著書『むし岡だいきの「世界の昆虫」おった!図鑑』(光文社)が販売中です。
動画提供:YouTubeチャンネル「むし岡だいき」
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 ITmedia Inc. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。

ChatGPT 東大「首席合格」の実力(写真:TBS NEWS DIG)95

ChatGPT 東大「首席合格」の実力(写真:TBS NEWS DIG)95