写真【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.200】
「ガンチャンと出会って、私は猫好きになりました。命の尊さや健康のありがたみも痛感しましたし、保護猫団体さんへの支援もするようになりました」
飼い主さん(@i_love_gan_chan)はそう話し、猫エイズキャリアだった亡き愛猫ガンチャンとの思い出を振り返ります。ガンチャンは元野良猫。2018年11月23日、自宅の玄関前に突然現れ、飼い主さんを慕うようになりました。
◆自宅前で車に当て逃げされた野良猫を一時保護
もともと動物がそれほど好きではなく、どちらかと言えば犬派だった飼い主さん。出会った日、彼氏の膝に乗るほど人馴れしたガンチャンを見ても、迎え入れようとは思いませんでした。
しかし、膝からおりた直後、まさかの事態が……。路上へ向かったガンチャンは車に当て逃げされてしまったのです。
その様子を見て心配になりましたが、動く姿を見て一安心。飼い主さんらは予定通り、外出しました。しかし、夜に帰宅すると、自宅前にガンチャンの姿が。
「寒かったので彼氏が自宅に迎え入れ、彼と一緒の布団で眠りました」
翌朝、外へリリースするも、夜になるとガンチャンは再び玄関前へ。同じことが3日間繰り返されたため、飼い主さんらはガンチャンを一時保護しました。
「奇跡的に、当て逃げによる怪我や後遺症はありませんでした。ただ、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)のキャリアであると分かりました」
◆動物が好きではなかった私が“魅了された”猫の愛くるしさ
動物病院では、去勢済みであることも判明。「誰かに捨てられたのだろう」と医師から告げられた時、飼い主さんは身勝手な人間がいることへの申し訳なさや悲しさで胸がいっぱいになり、涙しました。
予期せぬ形で始まった、人生初の猫ライフ。飼い主さんは、一緒に暮らす中で猫の愛くるしさを知りました。
ガンチャンは、飼い主さんの体に乗って寝ることが何よりも大好きな子。帰宅時には、キャットタワーから降りてきてお出迎えをしてくれました。
「プロのカメラマンに家族写真を撮ってもらった時には、『今までたくさんの猫ちゃんを撮ったけど、こんなに人懐っこい子は初めて』と褒められました」
水を飲む時には手ですくうというユニークな癖にも、飼い主さんはほっこりしました。
「苦手だったのは、クーラー。猛暑でもクーラーがついていない部屋で過ごしていました。でも、私が体調を崩してクーラーがついている部屋で寝ていると、体に乗って眠り、気遣ってくれました」
◆肝を冷やした思い出も…猫エイズの発症を防ごうと努力した日々
初めての猫飼いライフでは、ヒヤっとしたことも……。ある日の掃除中、ガンチャンは自力で窓や網戸を開け、ベランダへ。室外機を経由し、近隣宅の屋根に上ってしまったのです。
「猫ちゃんがこんなに賢いとは思っておらず、扉は閉めていたのですが、施錠はしていませんでした」
その後、ガンチャンは屋根から降りられず、カラスに襲われかけたそう。飼い主さんは慌てて、119番をしました。
「消防隊や警察の方が来てくれたおかげで、怪我はありませんでした。ガンチャンに申し訳ない気持ちと助かって良かった気持ちで大号泣。その後は、脱走対策を万全にしました」
猫エイズは感染しても発症せずに、天寿を全うすることもある病気。一説ではストレスが発症に関係しているといわれているため、飼い主さんはできる限り一緒に過ごすように心がけたり、伸び伸び暮らせるように生活環境を整えたりしました。
「医師も驚くほど食べ物などのアレルギーが多かったので、ご飯は試行錯誤しました。動物病院では月1回、抗ウイルス作用のある注射を打ってもらっていました」
そうした努力もあったからか、猫エイズは発症しませんでした。しかし、2022年11月下旬、カビ(真菌)に感染して起きる「クリプトコッカス症」を発症。菌は脳にまで回ってしまいました。
◆出会いから4年2ヶ月で愛猫が天国へ…
クリプトコッカス症は、人間にも感染する人畜共通感染症。ガンチャンは脳障害によって自分の意志で動けなくなり、手足を常にバタバタさせるように。飼い主さんは3時間ごとに体勢を変えたり、強制給餌を行ったりするなどして命を紡ぎ続けました。
しかし、ガンチャンは2023年1月18日、天国へ。ガンチャン亡き後、飼い主さんは深刻なペットロスに陥りました。
もう、動物とは暮らさない。そう思いもしましたが、彼氏から言われた「ずっとのおうちを待っている猫ちゃんがいる以上、猫ちゃんを迎えて一緒に過ごそう」との言葉が刺さり、譲渡会などを通して2匹の猫を迎えたそうです。
「正直、今でもふとガンチャンのことを思い出して泣いてしまう時があります。乗り越えようとした時もありましたが、悲しみが大きいので、今は共存していこうと思っています」
◆価値観やライフスタイルを変え、命の尊さを教えてくれた亡き愛猫
ガンチャンとの出会いにより、猫の賢さやかわいさ、愛情深さ、一緒にいることの幸せを知ったと話す飼い主さん。ライフスタイルもガラっと変わり、大好きなファッションに費やしていたお金は、猫用品や猫雑貨に消えています。
「外出が好きだったのに、家で過ごすことが大好きになりました。ガンチャンが生きていた頃は自分のものならユニクロですらすごく考えるのに、ガンチャンのものなら値段を気にせず、色々買うのが楽しかったです」
在りし日を振り返る飼い主さんはガンチャンを今でも愛しているからこそ、猫エイズに関する正しい知識が広まり、キャリアの子が迎えられやすい社会になることを願っています。
「病名はショッキングですが、出血を伴う喧嘩などをしなければ猫にうつることはないと言われていますし、人間にはうつりません。先住猫がいない方は、エイズキャリアの子のお迎えも前向きに検討して頂けたら嬉しいです」
命の重みや猫という動物の魅力を、その体で教えてくれたガンチャン。一緒に過ごした時間を大切に抱えながら、飼い主さんはこれからも亡き愛猫と今いる愛猫たちを愛し続けていきます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291