抗がん剤治療が年75万円の負担増に…自民・維新が検討「高齢者原則3割負担」で「医療費の総額はむしろ増える」と医療関係者が懸念

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2026年06月26日 11:10  web女性自身

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「通院をあきらめざるをえない高齢者が増えるのでは……」



多くの医療関係者からそんな懸念の声が。その理由は、自民党と日本維新の会が社会保障改革に関する実務者協議で検討している高齢者医療制度の見直しにある。現在、70〜74歳の医療費の窓口負担は原則2割、75歳以上は原則1割だ(一部の高所得者を除く)。



これを両党は、段階的に「原則3割」へ引き上げる方向で協議を進めており、’26年度中に具体的な制度設計をまとめる方針だという。



「自維政権は、現役世代の負担軽減や、世代間の公平性を理由に挙げていますが、本当に現役世代の負担軽減につながるか、疑問視する声もあります」(全国紙記者)



自民党と日本維新の会による18日の実務者協議では、維新の会が窓口負担の「原則3割」引き上げを求めた一方、高齢者の反発を懸念する自民党は慎重な姿勢を見せている。



原則3割になると、「かえって医療費が増えるのではないか」と指摘するのは、全国保険医団体連合会(保団連)の事務局次長の本並省吾さんだ。



「75歳以上の1割負担の高齢者の多くは、住民税非課税世帯や年収200万円未満の低所得者です。そうした人たちまで一律に3割負担になれば、受診控えが増え、重症化してから病院に駆け込むことになる。結果として、医療費はむしろ増えてしまう可能性があります」



医師の木村知さんも、「高齢患者の多くは、高血圧や糖尿病、呼吸器疾患や認知症など、複数の慢性疾患を抱えて通院している」として、3割負担になった場合の経済的負担の大きさを懸念する。



たとえば、夫(78)と2人で月約23万円の年金収入で暮らすAさん(76)の場合を見てみよう。



Aさんは高血圧と2型糖尿病、骨粗しょう症のため、降圧剤2種類と糖尿病治療薬2種類、骨密度を増やす薬を服用している。一方、夫は3年前にアルツハイマー型認知症と診断され、進行を抑える薬2種類に加え、高血圧と前立腺肥大症の治療薬も服用している。夫婦ともに月1回通院し、血液検査なども受けている。



現在は1割負担のため、窓口で支払う月額の医療費は、薬代、診察代、検査代等を含め、Aさんは約1千850円、夫は約1千460円。



しかし、3割負担になれば、Aさんは月約5千550円、夫は月約4千380円に跳ね上がる。年間で見ると、夫婦の医療費の合計は約4万円から約12万円に増え、約8万円もの負担増となる。





■就職氷河期世代が「原則3割」の当事者に



総合診療医の舛森悠さんも、負担が増えると「薬を減らそう」「通院をやめよう」と考える人が増え、結果的に「現役世代の負担も増やす」と警鐘を鳴らす。



「高血圧や糖尿病などの慢性疾患は、治療をやめてもすぐに症状が出るとはかぎりません。



しかし放置すれば、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの重大な病気につながるおそれがあります」



そうなれば、一人で暮らせていた人も、入院や介護が必要に。



「結果的に医療費や介護費がかさみ、子どもである現役世代の経済的・時間的負担も大きくなるのではないでしょうか」(舛森さん)



さらに、もうひとつ見過ごせないのが「“外来特例”の見直しだ」と、前出の本並さん。



外来特例とは、現役並みの所得のない70歳以上が対象になる外来診療の上限制度のこと。



たとえば、外来で抗がん剤治療を受けた結果、自己負担額が月5万円になったとしても、70代以上の自己負担額は、原則月1万8千円までですむ。



「ところが、日本維新の会や財務省は、外来特例の廃止も主張しています。実現すれば、外来治療を受けている高齢者の負担は一気に増えてしまいます」(本並さん)



月約13万円の年金で一人暮らしをするBさん(83)は、3年前に肺がんの手術を受けたが、昨年再発。現在は、肺がん治療で広く使われている経口抗がん剤「タグリッソ」を服用中だ。体調は安定しており、地域の清掃ボランティアにも参加するなど元気に過ごしている。



だが、近所に住む長女のCさん(60)は、こう懸念を示す。



「タグリッソは1錠約2万円もするんです。今は外来特例のおかげで月の負担は1万8千円ですんでいますが、外来特例が廃止され、さらに3割負担になれば、自己負担額は現役世代並みの月約8万円まで跳ね上がります。父の年金だけではとても払えないので、私が援助せざるをえません。でも正直、それをいつまで続けられるのか」



Bさんの場合、外来特例が廃止され、かつ3割負担になると、年間約75万円の負担増となる。さらに、自宅で緩和ケアを受けることも難しくなる可能性が。



「訪問診療は外来より費用がかかります。利用しているのは、もともと医療機関に通うのが難しい方が多い。そこに経済的な負担まで重なれば、人生の最期に必要な医療を受けられなくなる人も出てくるでしょう」(舛森さん)



もちろん、医療のむだや過剰な受診は見直していく必要がある。



しかし舛森さんは、「世代間の対立で語るべき問題ではない」と、こう指摘する。



「かりに段階的に導入されれば、将来的に3割負担の当事者になるのは今の氷河期世代や50〜60代からです。『高齢者ばかり優遇されている』という声もありますが、いずれ自分がその当事者になることも忘れてはいけないと思います」



いずれ誰もが当事者になる問題だけに、ていねいな議論が求められる。

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