44歳男性会社員がラブホで遭遇した“まさかの人物”。話したことがない“女性の同僚”と、「奇妙な連帯感」が生まれたワケ

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2026年06月27日 16:20  日刊SPA!

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テレビの中の不倫劇はどこか他人事だが、それが自分の職場で起きた時、本物の恐怖が始まる。
同僚とラブホの廊下で偶然遭遇してしまった男性が、その後味わった息詰まる生き地獄を語ってくれた。

◆ラブホの中で同僚とまさかの遭遇

佐藤純さん(仮名・44歳・男性)には、部署の違う木村さん(仮名・42歳・女性)という同僚がいる。

「普段は廊下ですれ違って会釈する程度の関係でした。同期でもないし、飲みに行ったこともない。本当にただの顔見知りという距離感です」

その日は金曜の夜。佐藤さんは不倫相手と、いつものラブホテルに向かっていた。

部屋に向かうため、エレベーターを降りた瞬間だった。

佐藤さんの目に飛び込んできたのは、廊下の先に立つ木村さんの姿。木村さんの隣には少し年配のスーツ姿の男性。

「頭が真っ白になりました。向こうも完全にこっちに気づいてる顔をしていて。木村さんが結婚しているのは把握しており、夫なのかなと思いつつも、冷静に考えると40過ぎた夫婦が繁華街の安ラブホに来るのも妙だなと。当然、私もそう思われていたでしょうね」

お互い、伴侶とは別の相手を連れている。状況を理解するのに、そう時間はかからなかった。

「『あ』って、たぶんお互い同時に心の声が漏れたと思います。それで、一瞬だけ目が合って。でも、どちらからともなく、すぐ視線をそらしました」

◆物販コーナーで目撃したカゴの中身…

その場はなんとかやり過ごしたものの、本当の地獄は、このあと館内の自販機コーナーで訪れたそうだ。

「部屋に入る前、相手が飲み物とアメニティを買いたいって言うので、自販機横の物販コーナーに寄ったんです。そうしたら、ちょうど木村さんたちも同じタイミングで来ていて」

しかも、運の悪いことに、お互いの連れが商品を選んでいる間、佐藤さんと木村さんは数十秒、横並びで待つ形になってしまった。

「気まずすぎて、お互い無言で自販機のラインナップだけ見てました。その間に、木村さんのカゴの中身がチラッと見えちゃったんです」

アダルトグッズと、コンドームの袋。それを見た瞬間、お互いの間に流れた空気は、もう取り繕いようがなかった。

「目が合った瞬間、お互い『あ、見た』って分かるんですよ。気まずいを通り越して、変なシンパシーすら感じました」

会話は、結局一言も交わさなかった。だが、お互いのカゴの中身を見られた、という事実だけが、強烈に記憶に残ったそうだ。

「あの数十秒、たぶん人生で一番気まずい時間でした」

◆普段通りを装おうとするが、ぎこちなく

週明け、出社した佐藤さんを待っていたのは、想像以上の気まずさだった。

「エレベーターで木村さんと2人きりになった瞬間、心臓がバクバクしました。向こうも明らかに表情が硬くて」

お互い「お疲れ様です」とは言うものの、目は合わせない。エレベーターの中の数十秒が、やけに長く感じられたそうだ。

「変に意識してることがバレる方が、よっぽど気まずいじゃないですか。だから、普段通りを装うのに必死でした」

しかし、普段通りを装おうとすればするほど、逆にぎこちなくなる。ランチで他部署と合同になった際、たまたま木村さんと同じテーブルになったときは、会話の内容がまったく頭に入ってこなかった。

「周りが普通に喋ってるのに、自分だけ変な汗かいてました(笑)。木村さんも、心なしか箸の動きがぎこちなかった気がします」

◆周囲が怪しい空気を察知しだす

徐々に違和感が社内で波及していく。

「同じ部署の後輩から、『最近、佐藤さんと木村さん、やけによそよそしくないですか?』って言われたんです。心臓が止まるかと思いました」

男女2人がやけに気を遣い合っている。その空気は、周囲には別の意味で映っていたらしい。

「『もしかして、お二人何かあるんですか?』なんて、半分冗談っぽく聞かれたこともあって。違う意味で焦りました(笑)。実際にラブホで会ったなんて、口が裂けても言えないし」

もちろん、何があったかを話せるはずもない。佐藤さんは「気のせいじゃない?」と苦笑いでごまかすしかなかった。

「お互い気を遣いすぎて、逆に変な空気を作っちゃってたんでしょうね。何も知らない周りからすれば、ただ変な空気になっている2人。それも、なんとなく怪しく見えたみたいです」

◆奇妙な連帯感が生まれた二人

あれから数ヶ月。佐藤さんと木村さんの関係は、あの夜以前とは少しだけ違うものになっている。

「別に気まずいことを言われたわけでも、何か変わったわけでもないんです。ただ、廊下ですれ違うときの会釈が、ほんの少しぎこちないというか」

誰かに咎められたわけでも、修羅場になったわけでもない。それでも、あの夜の記憶だけが、2人の間にひっそりと残り続けている。

「不思議なんですけど、変な連帯感みたいなのもあるんですよ。『お互い、知ってますよね』っていう」

会社では、ただの顔見知りのまま。プライベートのことなど、何ひとつ知らない関係。それでいて、お互いが知らないはずの「もう一つの顔」を、お互いだけが知っている。

「たぶん、一生このままなんでしょうね。何も言わないまま、何となく気まずいまま」

誰にも言えない秘密を、近くにいる「ただの同僚」と共有している。そんな奇妙な関係が、2人の間には今も続いている。

もし自分が同じ場面に出くわしたら、果たして「見なかったふり」を続けられるだろうか。

<TEXT/maki>

【maki】
ライター・エッセイストとして活動中。趣味は人間観察と読書。取材からエッセイ、コラムまで幅広く執筆している

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