
パチンコ業界は、とかく安心安全で透明性の高い業界であることを内外にPRすることに余念がない。事実これは嘘ではない。年々、間違いなく、ホールの雰囲気は良くなっているし、昔みたいに喧噪と副流煙にまみれたような空間でもなくなった。
遊技機のセキュリティ性も上がったから、ゴトの被害も滅多に見聞きしないようになった。まさに業界の努力の賜物と言えるだろう。ただし、これがこと依存症対策となると、全く意味のない対処、取り組みを見せるのがこの業界でもある。(文:松本ミゾレ)
不快にさせるだけで依存症対策になっていない例の標語
数年前から、この業界では各メーカーが示し合わせて、大当たり終了後に共通の標語を表示させるようになった。その標語というのが「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう」というもの。
標語を発表した初期には新聞の折り込み広告にもこれが掲載されていたが、今ではホールで当たりが終わった瞬間に表示されるようになっている。なにせ当たりが終了した瞬間に必ず表示される標語なのだから、ユーザーの大多数は目にする。そういう意味では絶好のタイミングでの表示だと思うんだけど、まあ、正直、腹が立つよね。
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だってこれ、たとえば数万使ってやっとSTに突入したものの駆け抜けてしまった時や、天井からやっとATに入ったのに100枚ぐらいしか取れずに終了したときにも絶対に、確実に表示される。そのたびに、この文言に対して毒づくユーザーばっかりなんじゃないだろうか。
先日も、5ちゃんねるにこの標語に対してのツッコミを入れるスレッドが立っていた。「『パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう。』←これ」というのがそのスレッドのタイトル。
スレ主は「3時間で5万溶けるのに?」と書き込んでいる。溶けないことだって当然あるが、当たりを得られず延々打った場合、確かに3時間あれば5万は消えることだろう。このスレ主に対しては、同調する声も書き込まれている。
「荒くしまくっているのにな」「のめり込むような仕掛けが満載なのに」「タバコの(注意喚起の)マネしてるだけだよ、ただのインチキ」「適度とは」
今現在パチンコホールに通う人たちなら、もう嫌になるほど目にするのがとにかくこの標語。マジで全員暗記してるんじゃないだろうか。
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適度に楽しめる釘調整、適度に楽しめる設定配分が前提としてあって、はじめてこういう標語の意味が出てくると思うんだけど……まあそんなこと言ってもね。そこまでの活力はもうこの業界にはありませんね。こりゃ失敬。
適度に楽しんでほしいなら、適度に楽しめる遊技機と環境を用意しろよ
そもそもこの標語自体が、とってつけた依存症対策というか、空虚な言葉で全く意味がないものなので、色々言っても仕方ないと思っていたんだけど、なんかここまで書いてるうちにだんだんイライラしてきたので、もうちょっと話を拡げたい。
まず、この標語にいちいち突っ込むことほど無駄なことってないんだけども、それでも強引に突っ込むとすると、やっぱり適度に楽しむ遊び。のめり込みに注意、という言い分だよね。ここに強烈な他人事感を、初めて読んだ時から感じていた。同じ人は多いでしょう。
「適度に遊んでね、のめり込まないでね」という表示を出す機種がことごとくのめり込ませるために穢れだの、上位ラッシュだの搭載してんだから笑える。しかも今は不景気だから、ホールも適度に遊ばせるような余裕がない。
ガッチガチの釘調整に、ゴッテゴテの低設定でのお出迎えとなれば、死屍累々は間違いないし、その生き血を啜らないとホールも生き残ることができない。
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メーカーだって電光ビカビカでバカみたいに振動する変な台を開発してはホールに買ってもらうように努力をしなければならない。売れる台というのは、所詮ギャンブル性が高い台でしかない。適度に楽しませる気がさらさらない、伸るか反るかのコンセプトで開発したような機種。そいつらが大当たり終了後にはしっかり例の標語を見せつける。
そうして今、この標語の存在意義は皆無になった。誰もがもう、表示される文言の意味を考えるのをやめてしまっている。ユーザーだけじゃないよ、メーカーもホールもだよ。
この世に、こんなに頻繁に表示されておきながら、まともに読まれてもいない無駄な文章ってのもなかなかない。公衆トイレの小便器に貼ってある「もう1歩前へ」よりもなお一層、誰にも読まれていない。
業界だって、この一文を出すだけで依存症対策したつもりにはなってないだろう。それなら、マジでこれ何の意味があるんだ。早くこんな無駄な表示やめちまえ。
