「冷房の部屋なら大丈夫」は大間違い。医師が警告する“食品の常温放置”の罠、飲みかけペットボトルも危険

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2026年08月21日 09:30  日刊SPA!

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2026年も猛暑どころか、酷暑まっさかり。ムシムシ・ジメジメした季節で、代表的なNG行動といえば「食品の常温放置」である。弁当・おにぎり・菓子パン・鍋物・野菜・果物・調味料・のみかけのペットボトルなどを高温多湿の場所で放置したら、内部でどれだけの細菌が繁殖することか。不用意に口に運んでしまい、酸味やニオイで「ウッ!? これはヤバい!」となるハプニングは、なるべく避けたいものだ。
一方で、「除湿設定のクーラーで快適にした室内だったら安全でしょ」ともつい思いがち。だが、こうした判断が意外な落とし穴になってしまう事もあるのではないか。当記事では半蔵門渡海消化器・内視鏡クリニックの院長・渡海義隆(とかい よしたか)氏に話を伺い、常温放置された食品のなかで何が起こるのかを紹介していく。

◆「食べ物に腐敗・カビがなければ安全」とは限らない

国内で発生した食中毒は事例数や患者数(死者数含む)の統計が細かく取られているが、このうち常温放置食品の関与事例は全国共通の集計項目ではないため、データが限られている。渡海院長が紹介した古い国内研究によると、1987〜1996年に発生した学校給食の食中毒のなかで、原因食品が確認された62件のうち29件(46.8%)が、提供前に食品を長時間保存していたことが発生要因だったという。

「ほかの代表的な事例は、2001年に熊本市で発生した『あん入り餅』によるセレウス菌食中毒です。346人が急な嘔吐などで救急搬送されましたが、原因のあんは製造中に室温で1日放置され、その間に菌と毒素が発生したと考えられています」

そもそも、常温放置された食品の中では、どのような変化が起こるのか。ここでは夏場に一般的な25℃〜30℃の室内環境を想定している。

「厚生労働省は、細菌が増えやすい温度帯を20〜50℃としており、25〜30℃は特に増殖しやすい環境です。まずは原材料・手指・調理器具などから細菌が食品に付着し、徐々に増殖します。ただし、この時点では見た目やニオイは普通なことも少なくありません」

時間がたつと菌が増え、特に黄色ブドウ球菌やセレウス菌など一部は食品中で毒素を作り始める。黄色ブドウ球菌が作る毒素・エンテロトキシンなどは熱に強く、通常の再加熱では十分に無毒化できない。

「並行で食品自体も化学的・酵素的に劣化します。食品中の脂質は空気中の酸素によって酸化し、油が古くなったようなにおいや苦味、風味の低下、変色などが発生。切った果物や野菜も内部の酵素が酸素と反応し、リンゴやバナナのような褐変のほか、香り・色・食感の変化、一部ビタミンの減少が進みます」

さらに進むと微生物作用で異臭・酸味・ガス・ぬめり・変色・カビなどが顕著になり、およそ食べられる状態ではなくなる。いわゆる「腐敗」だ。しかし腐敗菌と食中毒菌は異なるため、外見上の異常がない食品でも、食中毒の菌や毒素が含まれている可能性があると、渡海院長は指摘している。

◆「食品の置かれた温度」と「結露」にも注意

常温放置された食品に対して、見た目だけでの判断は危ないわけだが、なるべくトラブルを避けるためのチェックポイントはどこかを渡海院長にたずねた。

「常温放置リスクは、基本的に気温や湿度が高いほど大きいです。ただ、春や秋でも室温が20℃を超えると細菌増殖するので、『真夏ではないから大丈夫』として食品を数時間〜ひと晩置くことは避けましょう。冬は低温で細菌増殖も遅くなりますが、暖房のある室内は増殖しやすい温度になることもあります。季節だけで安全か判断するのでなく、実際に食品が置かれる場所と時間を考慮すべきです」

意外と危ないのが、冷たい食品や容器を暖かく湿った室内に出した時の表面結露だ。食品表面の水分を増やしてカビ・腐敗の原因になるほか、清潔でない容器や設備に生じた結露水が食品へ落ちると、付着していた微生物が食品へ移り、汚染を広げることもある。

また、渡海院長は食べ物を扱うときの目安として、25〜30℃程度では2時間以内、32℃超の環境では1時間以内に食べるか冷蔵することを推奨している。だが、あくまで温度管理しなくてよい上限であり、決して「この時間内なら食べても安全」といった意味ではない。

◆生鮮・加工品・料理など種類によってもリスク要因はさまざま

渡海院長いわく、常温放置食品の危険要因は、食品の種類によっても変化してくるという。

「例えば生鮮食品のうちマグロ、カツオ、サバなどは、温度管理が悪いと細菌の働きでヒスタミン(※アレルギー様の食中毒の原因物質)が作られることがあります。ヒスタミンは加熱しても減らないため、常温に置いた魚をあとから火入れしても安全になるとは限りません」

ほかにも、加工食品類は未開封で「常温保存可能」と表示されていれば比較的安全だが、開封後は普通の食品と同様に扱うべき。生クリームやカスタードを使ったケーキ、卵やハムを挟んだサンドイッチなどは、購入後なるべく早く冷蔵しよう。

「お料理の場合、カレー・シチュー・スープなどは、大鍋のまま置いておくと中心部がゆっくり冷え、その間にウェルシュ菌が増える可能性があります。温かい状態で置くときは65℃以上、冷たい状態では10℃以下を維持してください。実際、大量調理施設では、冷却開始から30分以内に中心温度を20℃付近、または60分以内に10℃付近まで下げることが目安とされています。

ご飯や焼きそばなどの作り置きも、室温でゆっくり冷ますのでなく、食べない分は遅くとも2時間以内に小分けして冷蔵または冷凍しましょう」

また、「実は危険」として時おりSNS等で話題になるのが、開封して口をつけたあとのペットボトルや缶飲料。唾液や口腔内から液体内に微生物が移りかねないため、数時間放置した飲み残しは、見た目に変化がなくても飲まない方が安全である。開栓後に再密閉できない缶飲料ならば、なおさらだ。

「水や無糖茶なら乳飲料や糖分の多い飲料より細菌が増えにくい傾向ですが、無菌ではありません。これらも長時間常温に置かないことが大切です」

◆「冷蔵庫に入れておけば…」という過信もNG

高温多湿が食品にとって良くないなら、冷房と除湿のよくきいた室内なら安全……と考えるのは早計である。既に書いたとおり、食中毒菌の増えやすい範囲はおよそ20〜50℃。加えて、室内がしっかり除湿されたとしても、食品自体の内部にある水分は細菌増殖を抑えられるほど短時間で失われたりしない。部屋丸ごとを冷蔵庫に改造しない限り、一般の冷房設定では細菌増殖が十分起こりうるのだ。

「また、冷蔵庫の低温も微生物の増殖を遅らせるもので、殺菌する装置ではないので過信は禁物です。家庭用冷蔵庫は10℃以下、傷みやすい食品なら4〜5℃程度に保つことが望まれます。一方、食品の詰め込み過ぎや頻繁な開閉による庫内の温度上昇、収納前の食品の冷却不足、低温でも増える菌の存在など、リスク要因はゼロではありません。庫内の収納目安は7割程度として、なるべく早めに消費してください」

常温放置された食品の危険性を避けるためには、至極当たり前だが「そもそも常温放置しない」が最も有効である。渡海院長からは食品・料理の比較的安全な扱い方についても、いくつか提案があった。

(1)パーティーやビュッフェ: 料理は全量を一度に出さず、小分け補充。冷たい料理は保冷剤などで10℃以下、温かい料理は65℃以上を目安に保つ。調理後だけでなく購入後の持ち運びや配膳時間も合計して考ること。25〜30℃程度の室内で2時間以上、32℃を超える暑い環境で1時間以上置いたものは廃棄が無難。

(2)煮物・カレー・スープ:食べ終わったら浅い容器に小分けして速やかに冷蔵し、再加熱時は全体をよく混ぜながら中心まで十分に熱する。大鍋のまま自然に冷ますと、中心部が長時間、細菌の増えやすい温度になるので注意。すでに作られた耐熱性の毒素は、再加熱しても残る場合あり。

(3)ご飯・麺類: 適温で保温するか、食べない分は早く小分けして冷蔵・冷凍。室温での冷却や、保温なしで炊飯器に長時間入れることはアウト。後から炒飯などにして再加熱しても、必ず安全になるとは限らない。

「もちろん、手指や調理器具にも注意です。調理前後、トイレ後、生肉や魚を触ったあとには、必ず手を洗いましょう。生ものと調理済み食品では包丁・まな板・トングを分け、パーティーでは共用トングからの二次汚染にも注意してください」

これら全てに気を使っても100%安全とは限らないが、少なくとも無防備に常温で食品を放置しておくよりはずっと安全だ。自分自身だけでなく、周りにいる家族や知人・友人の健やかな「食」のため、心がけてみて損はない。

◆食品の常温放置リスクが食文化を生んだ?

最後に渡海院長から、常温下の食品と環境が、人類の食文化へ大きく影響していることへ言及があった。例えばヨーロッパは現在(2026年8月時点)でこそ熱波が大問題になっているが、本来は地中海沿岸と北欧で大きく環境が異なり、日本より涼しく乾燥した地域も多い。こうした地域と日本とでは、食品への接し方が大きく異なるという。

「一般に気温が低いほど細菌の増殖は遅くなり、乾燥した環境ではパンや乾物などにカビが生えにくくなるので、北欧などの冷涼地域では地下室や食品庫を活用した食品保存が発達しました。一方、高温多湿な日本では塩漬け、燻製、発酵、酢漬け、油漬けなど技術が伸びています。このように、地域の気候や食材は、保存方法だけでなく、日持ちする食品を好むといった文化や価値観にも影響してきたと考えられます」

クーラーも冷蔵庫もなかった遥か昔から続く保存食の伝統は、味噌・醤油・漬物などの形で現在の私たちにも受け継がれている。命の糧でもある食べ物をなるべく腐らせまい、無駄にすまいと先人たちが工夫を重ねてきた証だが、その一つの到達点が近現代の冷蔵・冷凍技術だ。食中毒を避ける意味に加えて、普段の食事を見つめ直して大事にする意味でも、可能な限り食品の常温放置は控えてみてほしい。

<取材・文/デヤブロウ>

【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw

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  • 冷房の部屋に11時間ほど放置した豚肉を食ったが大丈夫だった(´^ω^`)ブフォwww
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