
アメリカでいま、3人の子どもを殺害した母親の裁判が大きく注目されています。産後、まれに発症する精神疾患により責任能力がなかったとして無罪を主張する被告に連帯する動きも広がっています。
記者
「全米が注目する裁判の最終弁論が始まるということで、多くの傍聴人が並んでいます」
アメリカメディアが連日、報道を続けるなど、大きな注目を集めているのは、リンジー・クランシー(36)という元看護師の裁判です。
2023年1月、当時5歳、3歳、そして生後8か月だった3人の子どもを自宅で首を絞め、殺害した罪に問われています。
裁判で明らかになったのは、クランシー被告が第3子を出産した後から不眠やうつ症状に苦しみ、医師などに相談し治療を受けていたことです。
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事件の2か月前の日記では、胸のうちをこうつづっていました。
クランシー被告
「自分がどうなっているのか分からない、助けがほしい」
抗精神病薬など13種類の薬を30回以上、処方され、精神状態はさらに悪化。ついには幻聴が聞こえるようになります。
クランシー被告が聞いたとされる声
「子どもたちを殺せ。さもなければ、お前も子どもたちも殺される」
被告は「自分が子どもを殺害しなければ、自分も子どもたちも安全ではないと声に命じられた」と説明しています。
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検察側は「計画的な犯行で、自分の行為を認識できていた」と指摘。一方、弁護側は「『産褥期精神病』を発症し、自分の行動をコントロールできない状態だった」として無罪を主張しています。
「産褥期精神病」は、産後の女性の1000人に1人が発症する、まれな精神疾患です。8人に1人が経験するとされる産後うつと比べて、症状が重く、幻聴や妄想などの症状がでるのが特徴だとされています。
こうした事件の経緯から、クランシー被告と過去の自分を重ねる女性を中心に同情する声が広がっています。
産後うつを経験したメリッサさん
「私は産褥期精神病ではありませんでしたが、産後うつを経験しました。不安を訴えると、何でもかんでも薬で対処しようとされてしまうんです」
裁判所の前で行われた集会には、連帯を示すピンク色を身に着けた女性が300人ほど集まりました。
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助けを求めた母親にどうして適切な治療を提供できなかったのか。裁判は審理が難航し、判決の見通しは立っていません。
産後うつを経験したメリッサさん
「この裁判を機に、母親が不調を訴えた時に社会がもっと真剣に受け止めるようになることを願っています。適切な支援と治療があれば、この悲劇は防げたはずだと思います」
母親たちのSOSを社会はどう受け止めるべきなのか。判決の行方とともに、産後の母親への支援をめぐる議論に注目が集まっています。

