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セブン‐イレブン(以下、セブン)がアパレル販売を開始した。アパレル展開に向けて、国内第3位の売上規模を持つアンドエスティHD(旧アダストリア)と協業。まずは数百店で試験的に展開し、最終的には全国約2万2000店舗に広げていく予定だ。
コンビニ業界では、ファミリーマート(以下、ファミマ)が2021年より「コンビニエンスウェア」を本格展開。2025年度は売上高200億円を突破し、2026年度は300億円を目指している。
セブンとしても、ファミマのアパレルの成功を無視できない状況になっている。
セブンの既存店売上高は、2026年4〜7月の4カ月で、前年同月比99.6%、102.7%、100.0%、100.6%と、100%前後で推移している。既存店客数は97.5%、100.8%、96.5%、97.8%と、前年割れの月も多く、減少傾向にある。
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一方、ファミマの既存店売上高は、同じく2026年4〜7月の4カ月で101.0%、101.2%、96.8%、99.7%と、直近2カ月はやや勢いを欠いている。既存店客数も、98.0%、97.6%、96.3%、97.8%と、前年割れが続いている。これはセブンと同様、おにぎり、弁当、サンドイッチ、お茶などの食品類に顧客が割高感を覚え、足が遠のきつつあることが背景にありそうだ。
しかし、それ以前のファミマは、57カ月連続で既存店売上高が前年を上回っており、5年近くも売り上げが伸び続ける絶好調ぶりだった。その売上増を支えた要因の一つがコンビニエンスウェアだ。
セブンは弁当容器の上げ底疑惑などが響き、既存店売上高の前年割れが目立っていた頃に比べれば立て直してきている。しかし、売上全体を底上げするヒット商品がほしいところだ。
ファミマの5年近く続いた好調な局面が終わり、現在はひと息ついた踊り場にあるならば、セブンにとってはアパレルを仕掛け、同業他社に流れた顧客を取り戻す絶好のタイミングかもしれない。
セブンのアパレル本格展開は、市場にどのような影響をもたらすだろうか。これまでの動きを見ながら探ってみたい。
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●実は進んでいた、セブンのアパレル参入
セブンのアパレル本格参入は、かなり前から検討されていたと筆者は考えている。実際、同じセブン&アイグループだったイトーヨーカ堂は2024年2月、アンドエスティに平場のアパレル事業の販売以外を全面的に委託した。「FOUND GOOD(ファウンドグッド)」を展開し、効果を検証していた。
ファウンドグッドの狙いは、若い顧客層を取り込むことにあった。30代から40代の子育て世代に訴求し、ファミリーでの来店を促すことを目指していた。
アンドエスティは、20代から40代に人気の「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」や「niko and ...(ニコアンド)」などのブランドを展開し、郊外のショッピングセンターのテナントで存在感を発揮している。30代から40代のライフスタイルに合ったアパレル商品や売り場づくりに長けており、大きな期待を背負っての船出だった。
先行してファウンドグッドを展開したのは東京都江東区のイトーヨーカドー木場店だ。展開後(2024年2月26日〜3月24日)と展開前(2023年2月20日〜3月19日)の来店客データを比較すると、30代女性の構成比が19.4%から24.7%に、40代女性が21.3%から24.7%に伸びていた。ファウンドグッドのおかげで、狙っていた年代の構成比が実際に高まったのだ。
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食品売り場もファウンドグッドの展開に合わせて、総菜や冷凍食品などを強化。子育て世代向けに、買ってすぐに食べられる商品や、電子レンジで温めるだけで食べられる商品を充実させていた。こうした取り組みの効果もあり、食品の売り上げも7%増えたという。
この成功を受けて、全国のイトーヨーカドー店舗にファウンドグッドを展開。しかし、木場店の成功は例外だったようで、他の店舗では思ったほど成果が出なかった。顧客の高齢化は、想像をはるかに上回るほど進んでいたのである。そして、ファウンドグッドは約2年で幕を閉じた。
一方、セブンの次世代店舗として、従来のコンビニの約1.5倍の売り場面積を持ち、総菜や冷凍食品、生鮮食品などスーパーのノウハウを取り入れた「SIPストア」でも、ファウンドグッドの商品を展開していた。
つまり、セブンのアパレルへの本格参入前から、関連企業で効果を検証していたのである。
●SIPストアが目指したのは
SIPストアでのファウンドグッドの展開にあたっては、従来のコンビニが提供してきた「すぐにものを買える」という価値に、楽しさやワクワク感といった新たな来店目的を加えることが重視されていた。
コンセプトは「ワンマイルレジャー」。つまり、ちょっとしたお出かけに使えるアイテムを取りそろえたのである。
Tシャツやカラーソックスなどの日常使いできる商品に加え、従来のセブンにはなかったバッグ、アクセサリー、ハンカチなど、お出かけの準備や出先でのニーズにも応える約150アイテムを展開した。
カラフルな商品ラインアップで売り場を活気づけるディスプレイにもこだわった。例えば、折りたためる「パッカブルミニショルダー」5色、肌触りが良く伸縮性の高い素材を使った「カラーソックス」のウィメンズ・フリーサイズ8色、液晶画面でバッテリー残量を確認でき、音楽や通話をタッチ操作できる「液晶ワイヤレスイヤホン」3色などを販売していた。
●セブンがアパレルで進める独自アプローチ
セブンはすでに、肌着や靴下、Tシャツなどのアパレル商品の販売を始めている。そこからは、SIPストアではやや手薄だった、男性客を意識した戦略が見えてくる。
その1つが、7月11日に発売した、ヘインズジャパンとの初のコラボ商品だ。米国発のアンダーウェアブランド「ヘインズ」と組み、クルーネックTシャツ(ホワイト、ブラック)とクォーターレングスソックス(ホワイト、ブラック)の計4種を展開した。
ヘインズのロングセラー「BEEFY-T」と「BEEFYクォーターレングスソックス」をベースに採用。ブランドアイコンである牛のワッペンや刺しゅうを、セブンのコーポレートカラーであるオレンジ、グリーン、レッドの3色で彩り、カタカナで「ビーフィー」の文字を入れた、遊び心のある特別仕様となっている。
TシャツはM、L、XLの3サイズで各3850円。ソックスは23〜25センチ、25〜27センチの2サイズを用意し、それぞれ1265円で販売している。
セブンの担当者によれば、「コンビニ=緊急用や定番品」という枠を超え、ファッション好きの人に向けて本格的なカルチャーを発信したいとの思いから企画したという。ストリートで映えるデザインや、ここでしか買えない限定感、遊び心にもこだわった。
また、それとは別に、7月8日にはセブンのオリジナルアパレルを発売。ロゴを使ったTシャツ2種(各3520円)、エコバッグ(782円)、クーラーバッグ(1540円)、ハンドタオル(660円)、ソックス(550円)も販売している。
Tシャツは綿95%・レーヨン5%となっている。レーヨンには、「ovoskin(オボスキン)」という、卵の殻をリサイクルしたファーマフーズ(京都市)の繊維が使われている。卵殻膜を加水分解してレーヨンに練り込んだ繊維で、肌触りがやわらかく、伸縮性が高いのが特徴だ。
繊維や生地の機能性を強みにするアパレルとしては、「ユニクロ」「ワークマン」「モンベル」などが思い浮かぶ。セブンもまた、デザインや限定感だけでなく、素材や機能性を組み合わせた独自のアプローチを始めている。
●アパレルで巻き返せるか?
ファミマはコンビニエンスウェアという概念を定着させ、コンビニで「着る楽しみ」を感じられるアパレルをつくり出した。しかも、「FACETASM(ファセッタズム)」を手掛けるファッションデザイナーの落合宏理氏などと共同開発しており、一種のデザイナーズブランドと言っても過言ではない。
一方ローソンは、店内に「無印良品」のコーナーを展開。アパレルや生活雑貨、食品など、無印良品の商品からコンビニ向けに厳選したものを販売している。
コンビニ主要3社の中で、セブンはアパレルへの対応で後れを取っていた。しかし前述のように、ストリートで映えるデザインや限定感、素材や着心地といった機能性など、セブンも工夫を凝らして顧客の獲得を目指そうとしている。
ファウンドグッドで得た知見を生かし、セブンがどのようにアパレルを展開していくのか。今後の展開に注目したい。
いずれにしても、コンビニのアパレルはセブンの本格参入により、コンビニの主要な商品分野の1つとして確立し、成長していくことになるだろう。
(長浜淳之介)
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