【プロ野球】今中慎二が中日に厳しいゲキ CS争いで窮地の古巣に「やるべきことを、やらずに負けるから尾を引く」

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2026年09月09日 10:20  webスポルティーバ

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今中慎二が語る今の中日 前編

 8月の2度の5連勝などで、クライマックスシリーズ(CS)圏内が目前に迫った中日。しかし、連勝の直後に連敗を喫するなど波に乗れず、3位DeNAとは6.5ゲーム差(9月7日時点、以下同)と厳しい状況に。なぜ勝負どころで流れをつかみきれなかったのか、終盤戦の戦い方について、かつて中日のエースとして活躍した今中慎二氏に聞いた。

【ロースコアの試合を落とす理由】

── 連勝したかと思えば連敗するなど、今季の中日は好不調の波が激しい印象です。

今中慎二(以下:今中) 8月に限らず、ここ数年はずっとそんな感じですよね。ちょっとしたきっかけで連勝が止まり、それが尾を引いているのか、連敗が始まってしまう。きっかけになるのはエラーや記録には残らないミスですが、選手の起用法が影響していることもあると思います。

 それと、ランナーは出すけど点が取れない場面が目立ちますが、打てないのは今に始まったことではありません。中日に限らず、低迷しているチームはだいたい同じですね。点が取れそうで取れない状況を改善できず、負けています。

── 先制しても逆転されるケースが多く、ロースコアの試合でなかなか勝てていません。

今中 先発が頑張っていても、リリーフがことごとくやられていますね。やっぱり、ロースコアの試合で勝てるチームが上にいます。1点を取る、1点を守る。地味な野球ですけど、それができなければ上にはいけないんです。

(ホームランウイングができて)バンテリンドームが狭くなり、ホームランはよく出ていますが(チーム本塁打数107本はリーグ2位)、相手チームにもけっこう打たれています。ホームランが増えたら勝てるという考え方は間違っていないですけど、それだけでは勝てないということが証明されましたね。

 あと、"各駅停車"のような走塁が多いですし、細かい野球ができていません。そのひとつひとつが得点力の低下に大きく影響しています。足が速いか遅いかという問題ではなく、ひとつ先の塁を狙う姿勢です。足が速くなくても、やれることはあるので。

【借金が20近くあるのにAクラスというのは無理がある】

── 先発ピッチャー陣は、ベテランの大野雄大投手をはじめ、カイル・マラー投手、柳裕也投手、金丸夢斗投手が防御率2点台です。

今中 ただ、9勝を挙げている大野以外は勝ち星が伸びていません。勝負どころでことごとく打たれています。やっと味方が点を取ったと思えば、次の回にすぐ失点したり、逆転されたりしている。トータルの防御率はいいのですが、「ここを頑張って抑えないと勝てない」という場面で失点してしまう印象です。

 流れを相手に渡してしまい、「まだいけるんじゃないか」という気にさせてしまう。それで終盤にリリーフ陣が打たれて負けるというパターンが多いです。打線の援護がないと言われたりもしますが、援護してもらった直後に点を取られていては、試合の主導権は握れません。

── 一時は3位のDeNAとのゲーム差が1.5まで縮まりましたが、大きく離されてしまいましたね。

今中 ゲーム差だけを見れば1.5まで迫りましたが、その時点ではヤクルトと広島を含む4チームの差があまりなかったじゃないですか。DeNAと中日の2チームで争うなら一喜一憂してもいいと思いますが、同じ日に4チームが負けるわけではありませんし、だから難しいんです。

 仮に、中日が3連敗したDeNAとの3連戦(8月28日〜30日)で勝ち越したり、スイープしたりしていたとしても油断できない状況に変わりはなかったでしょう。中日は9月に、苦手とするビジターゲームが多いので、かなり不利な条件で戦うことになりますね。

 前提として、借金が10以下にならないとAクラスなんてまず無理です。今年は3位〜6位の4チームが負け越している状態。ゲーム差がずっと5ゲームくらいだったので、「CSにいけるんじゃないか」とも言われていましたが、借金が20近くあるのにAクラスというのは無理があります。

【追いかけるチームが出し惜しみしていたらダメ】

── DeNAとの3連戦で3連敗した原因はどこにありますか?

今中 その前のカードの阪神戦での敗戦(8月25日〜27日の阪神との3連戦で2勝してから3戦目で敗戦。連勝が5でストップ)が尾を引いたんじゃないですか。最後はピッチャーを出し惜しみして負けていますしね。シーズン終盤のCS争いで、下位にいるチームがピッチャーを出し惜しみしたらダメ。勝負をかけないといけないのに、3連投はダメなどと言っている場合ではありません。

 阪神は(8月28日〜30日の)巨人との3連戦で、抑えの工藤泰成が3連投しているじゃないですか。その前の中日戦でも投げてますから4連投です。優勝しようとしているチームが必死になっているのに、下位のチームが2連投や3連投がダメというのはどうなのかと。

 せっかくDeNAとのゲーム差が1.5まで縮まって、そのあとに直接対決があるという時に、出し惜しみしたのがすべてです。やるべきことをやっていればいいですが、やらずに負けるから尾を引くんです。CS争いだろうが優勝争いだろうが、追いかける側はリスクを背負って勝負をかけなければ上にはいけません。勝った負けたというよりも、ここ一番でそういう姿勢を見せることが大事なんじゃないですか。

── そういったミスが大きな傷になるということでしょうか。

今中 そうですね。昨年も、夏場に尾田剛樹が牽制アウトになったことが尾を引いて連敗したことがありました。何かのワンプレーが連敗を引き起こします。それを跳ね返すだけの精神力の強い選手があまりいない、というのもあるでしょうね。

── 勝負所ではリリーフの連投制限についても、柔軟に考えるべき?

今中 セ・リーグでもパ・リーグでも2連投がダメとか3連投がダメとか、誰が決めたのかはわかりませんが、それを忠実に守りますよね。故障を予防するという理由からでしょうけど、2連投でもケガするんだから3連投でも一緒だろうと。しっかりとマネジメントやケアをすれば全然大丈夫だと思いますけどね。ライデル・マルティネス(巨人)も春先に3連投していたように、特にクローザーはそういうことがあってもいいと思います。チームが連敗していたら投げられないわけですし。

── ロースコアで勝てるチームが上にいくとのことですが、やはり野球はピッチャーが中心?

今中 ロースコアで負けるのは「惜しかった」ではなく、「力の差」です。バッターが打つ打たないよりも、一番大事なのはやはり投手力ですよ。ピッチャーの踏ん張り次第で全然変わりますから。

── 中日は残り試合をどう戦っていくべきでしょうか。

今中 最後までファイティングポーズはとらなければいけませんが、来季以降を見据えて選手を起用するのも選択肢のひとつです。実績のある選手でも調子が上がらなければ、ほかの選手に替えてちょっとお尻に火をつけてあげないと。そうすることで、どうすればいいのかを必死に考えると思うんです。新しい要素を入れつつ、開き直ってやるしかないですね。

(後編:チャンスで打てない中日打線には"逃げ道"が必要? 今中慎二が説くベンチからの指示の重要性>>)

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日、大阪府生まれ。左投左打。1988年のドラフト1位で、大産大高大東校舎(現・大阪桐蔭高)から中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多勝(17勝)、最多奪三振(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを獲得した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

浜田哲男●取材・文 text by Tetsuo Hamada

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