ユニクロは絶好調なのに、なぜ国内の店舗数は減っているのか ロードサイドや商業施設内の「標準店」からシフトするワケ

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2026年09月28日 05:20  ITmedia ビジネスオンライン

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アパレル業界で世界第2位のユニクロ(出典:ゲッティイメージズ)

 ユニクロがこれまでの戦略を見直し、都市部に集中的に旗艦店を出店する方針を打ち出しました。これにより、「一棟まるごとユニクロ」のような大型店が全国の主要都市に増えていくことになります。


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 実は、国内におけるユニクロの店舗数を見ると、ピーク時からその数が減少しています。一方で、ユニクロの業績は好調で2026年8月期は2桁の増収増益を見込んでおり、アパレル業界で世界第2位にまで上がってきています。


 国内のユニクロの店舗数は減っているにもかかわらず、なぜ全社の売り上げは上がっているのでしょうか。理由を探ってみると、このズレにこそ、今回の旗艦店戦略を採用したカギがありました。


 最近はユニクロだけでなく、他の主要ブランドも次々とグローバル旗艦店を東京に開業しています。各社の旗艦店戦略の狙いは何なのでしょうか。流通小売り・サービス業のコンサルティングを35年以上続けてきたムガマエ代表の岩崎剛幸が分析していきます。


●欧米のユニクロブーム


 筆者が2026年5月のドイツ出張時、フランクフルトの目抜き通りであるビーバーガッセを歩いていると、周辺のブランドショップの中でも特に人が集まっている店舗が目に入りました。それが2025年10月にオープンしたユニクロでした。オープン時にはドイツの国営放送にも取り上げられ、連日行列ができていたようです。この日も店内は大混雑しており、ユニクロブームを肌で感じました。


 店舗は2フロアで1600平方メートル(約484坪)。ユニクロの商品をフルラインで扱う旗艦店です。


 ユニクロが海外で存在感を高められたのは、北米市場でのシェア拡大に集中投資したからです。都市レベルでの集中出店戦略を採用し、ニューヨークのSOHO、5番街、ハドソンヤーズ、ウェスト・フィールド・ワールドトレードセンターに出店。2026年に入ってからも、ブライアントパーク5thアベニュー、ウィリアムズバーグと、マンハッタンの一等地に集中して店を出すことで知名度を上げてきました。現在は全米の主要都市や欧州の各都市への集中出店を行っています。


 今後、ユニクロを有するファーストリテイリング社が目標とする売り上げ10兆円実現のためには、海外市場のさらなる開拓、拡大が必要ですが、それだけでは不十分です。足元の国内市場においても圧倒的な実績を上げる必要があります。そこで今回、国内の出店戦略を大きく見直すこととなったのです。


●国内の旗艦店を現在の2倍に増やす


 ユニクロは商業施設やロードサイドなどに出店してきた標準店の出店を抑え、今後は都市部に集中的に出店し、10年以内をめどに旗艦店舗を現状の2倍となる20店舗程度に拡大すると発表しました。


 すでにユニクロは売り場面積約1000坪の「グローバル旗艦店」を、東京の銀座や大阪の梅田などに出店しています。


 ユニクロの出店フォーマットを整理すると、大きく4パターンに分かれます。


 国内で圧倒的に多いのは、「標準店」と呼ばれる売り場面積250坪程度の店舗です。主にロードサイドやショッピングセンター、駅ビルなどにインショップ形式で出店し、店舗網を拡大させてきました。駅構内や地下街などの小さな店舗も展開しています。


 これを今後は500〜1000坪の大型店(旗艦店やグローバル旗艦店)の出店にシフトし、商業施設などへの標準店出店は抑える意向です。海外で成功してきた旗艦店タイプの出店フォーマットに、国内の出店戦略も変えていくことになります。


 ユニクロの旗艦店は、各都市の一等地や地域を代表する通りなどに出店しています。ロゴを店頭に配置し、ガラス張りの外観で統一。店舗前の通行客にアピールできる路面店中心のフォーマットです。店内には、什器の上に何体も並べたマネキンや、派手なデジタルサイネージを設置しています。地域のカラーを打ち出したディスプレイなどでユニクロの世界観を演出しているのも特徴です。


 商品面では地元企業とコラボしたTシャツの販売や地元アーティストなどとのコラボ作品、店によってはお直しサービスを設けるなど、旗艦店ならではの体験型サービスも導入。ユニクロのフルラインアップをワンストップで体感できる店舗となっています。


 同社は「今後は旗艦店を広げていく」と述べています。今後出店する店舗が、全てグローバル旗艦店のようなフルラインアップになるかは未定ですが、大型店が日本に増えてくることは間違いなさそうです。


●旗艦店にシフトしたワケ


 では、なぜ国内の出店を、旗艦店にシフトしていこうとしているのでしょうか。ユニクロの国内店舗数の推移を見ると、そこに一つの特徴が見て取れます。


 ユニクロの出店が始まったのは1984年です。それから8年後の1992年度末時点で55店舗まで拡大しました。


 当時の出店立地は郊外。ロードサイドに、1階が駐車場、2階を店舗とするピロティ方式を採用。敷地が狭くても150坪ほどの店舗を出店できるような工夫をしていました。


 その後、1998年に東京・原宿の路面店を出店し、フリースブームを巻き起こした頃から、都心への出店が強化されていきました。2013年度末には834店舗まで店舗数を増やします。ここがユニクロ店舗数のピークです。ここを境に国内のユニクロは年々店舗数を減少させ、2025年度末時点では784店舗と、ピーク時よりも50店舗も減っています。


 ユニクロは順調に売り上げを伸ばしているため、店舗数も増えていると思っていましたが、実は店舗を減らしていたのです。


 2020年度のコロナ禍前後からのユニクロの国内外の売り上げと店舗数、従業員数などを細かく見ると、ある事実が浮かび上がります。


 すでにユニクロは国内よりも海外での売り上げが高いブランドになっているのですが、海外店舗の2025年度と2020年度のデータを比較すると、店舗数は119.9%に対して売り上げは226.4%となっています。店舗数以上に大きく売り上げを伸ばしたのがユニクロの海外店舗なのです。国内の店舗数は2020年度比で102.2%、売り上げは127.2%。国内も店舗数以上に売り上げは伸びていますが、海外とはかなり大きな開きがあります。


 これをいくつかの生産性指標で比較してみました。


 売り上げの伸びでは海外が国内を引き離していますが、国内ユニクロの1店舗当たりの売り上げは13億900万円と海外ユニクロを2億円以上も上回っています。売り上げ、利益ともに生産性が高いのは国内店舗なのです。1店舗当たりの売り場面積はほぼ増えていないのに対して、売り上げと利益は伸びています。また、従業員1人当たりの売り場面積も年々増加し、人員数を減少させながら1人当たりの守備範囲を広げるという効率的な店舗運営スタイルに変化させています。


 ユニクロはこの10年ほどでセルフレジの導入や人員配置の見直し、在庫効率の改善など生産性の向上に取り組んできました。この効率的なオペレーションを維持しつつ大型の旗艦店が新たに加われば、1店舗当たりの売り上げと営業利益を大きく伸ばすことができ、ユニクロ全体の業績伸長につながることが予測できます。これが国内旗艦店を倍増させる狙いの一つです。


 ユニクロは2026年度上期の店舗別売上トップ10を発表しています。


 実はトップ10のうち3店舗は日本の国内店舗で、世界一の売り上げは都内にあるユニクロ銀座店です。これを見ると、やはり日本は効率的に売り上げを伸ばせる可能性が高いエリアと言えます。


 そのためユニクロは、ファーストリテイリング社の悲願である売上高10兆円、世界一のアパレル企業になるための策として、国内の旗艦店を倍増させようとしているのです。


●主要ブランドで進む日本での旗艦店開発


 現在日本では、旗艦店づくりが流行しています。2025年から2026年にかけて都内の新宿、銀座、原宿に各ブランドの旗艦店が続々とオープンしました。ファッション関係だけでなく、グーグルのようなIT企業までもが直営旗艦店を開業するようになっています。


 ここまでの旗艦店ラッシュを迎えたのはなぜなのでしょうか。


 筆者は旗艦店戦略には次の5つのメリットがあると考えています。


 1.実物をトータルで提案できるという空間価値提供


 生地の質感、着心地、履き心地、接客を通じてブランドの世界観や哲学を消費者に伝えられる体験型提案を実現でき、店舗としても高い売り上げを実現しやすくなります。


 2.情報発信・拡散の起点


 内装デザイン、ディスプレイ、限定商品、イベントがメディアやSNS投稿を生み、その店の売り上げに加え、他店舗やECとの相乗効果につながります。


 3.国内客と訪日客の同時集客による客数の最大化


 銀座、原宿、新宿という立地は国内各地からの買い物客とインバウンド客、両方との接点を可能にし、客数を最大化させることが可能となります。


 4.コミュニティづくり


 接客、会員登録、イベント、購入後のサービスまで各社が直接設計できます。


 5.長期的な顧客とのリレーションシップ構築


 日本でも有数の人流がある好立地にブランドの象徴的な店を構えることで、長期的な顧客とのつながりと将来の新規顧客を獲得する拠点にもできます。


 ユニクロはこれまでの「店を増やして顧客との接点を持つ戦略」から「店を減らして顧客を引き寄せる戦略」へと転換し、上記のようなメリットを享受しようとしています。


 人口が減少する中、地方では標準店を増やしても既存店との売り上げの奪い合いが起こるだけです。一方、都市の中心部には、その街の住民だけでなく、周辺地域の買い物客、通勤客、国内旅行者、インバウンド客が集まります。旗艦店では、こうした異なる需要を一つの拠点で獲得し、さらにブランドイメージを高めていくことが可能になります。


 ただ、都心部は国内最高の立地だけに、家賃は高く、人件費を含めて想定以上の経費がかかります。それを今後のブランド力構築のための広告宣伝費として割り切ることができないと、ブランドによっては経費倒れになることも十分に考えられます。


 「企業として、世界一を目指す」と言える企業でないと、都心での旗艦店戦略は実現できませんが、地方都市の中心部で、その地域に密着した企業が旗艦店戦略を採用することは、今後の地方企業のブランド戦略の一つとしては有効な選択肢かもしれません。


 旗艦店戦略を自社の最重要出店戦略にできるかどうか。今後は各社のブランド哲学が問われることとなりそうです。                    


(岩崎 剛幸)



このニュースに関するつぶやき

  • 人口減少だからヨドバシカメラみたいに通販とデカい店だけにすれば人件費&輸送コストを節約できるしね。 まあ、デブのサイズが店舗に置いてないから行かね。って母談w
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