斜めの屋根、三角形の家……なぜ「フシギな物件」は存在するのか

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2026年09月29日 10:21  ITmedia NEWS

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普通とはちょっと違う“フシギな物件”はなぜ生まれるのか

 「なぜインターネットで本は買えるのに不動産は買えないの?」「マンションを借りる時に不動産屋のお兄さんが急いでFAXを送るのはなぜ?」。多くの人にとって「住まい」に当たる不動産は身近なはずなのに、なぜかよく分からないことだらけ。他の業界では常識なのに、不動産業界では非常識。そんな不動産の「ミステリー」を専門家がわかりやすく読み解き、AIをはじめITを活用した不動産の近未来を探る。


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 バブル経済の崩壊後、低迷してきた日本の不動産価格が反転上昇し、内外からの投資が盛り上がる中、海外の先進事例なども交えて将来の不動産業界や価格を分かりやすく展望する。第6回は「なぜフシギな物件や間取りがあるのか」を深掘りする。


●お客様の要望から生まれた「変な間取り」


 東京都で建築事務所を営む建築士の阿蘓俊博(あそ としひろ)氏は2015年、ある夫婦から新築物件の設計依頼を受けた。「家族みんながコミュニケーションを取りやすい家にしたい」という夫婦の要望をヒアリングした阿蘓氏は、2.5畳の子供部屋を2つ設ける案を提示した。2.5畳は約4平方メートル。子供が生活するにしても、かなり狭い。ベッドを入れれば、それでいっぱいになってしまう「変な間取り」だ。


 阿蘓氏は間取りの意味を夫婦に提案した。「子供が自分の部屋に入り浸ってしまわないようにしたいんです」「空いたスペースは家族で過ごすリビングを広げるのに使いたい」。広く、インターネットやテレビ、オーディオが整備された子供部屋は一見、理想的だ。しかし、その「快適すぎる部屋」に閉じこもってしまう子供も少なくない。このお宅は17年に着工し、今も埼玉県に実在する。


 注文住宅の場合、「奇妙な家」「変な間取り」と思われがちな家でも、住人にとっては合理的な選択だったことは少なくない。実際、阿蘓氏は車が趣味の人のために、車3台を一度に見られる空間を提案。その住宅は、車庫と両側に大きな窓の付いた三角形の間取りとなったという。


●建築基準法や都市計画法などの壁


 一方で「仕方なく変な家や間取りになった」というケースもある。斜めに切り立った屋根を持つ家、わざわざ段差や半地下をつくった家……。こうした物件の多くは、建築基準法や都市計画法など法律の壁にぶつかったケースだとみられる。


 建物の上部が三角柱状に切り取られた戸建て住宅やマンションを見たことがあるかもしれない。これには建築基準法の「道路斜線制限」などが関係している。道路斜線制限とは、道路に面した建物の高さを、道路側から引いた斜めの線で制限する規則のこと。近隣の日照や通風を妨げないようにすることが目的だ。


 低層の戸建てのためのエリアである「第一種低層住居専用地域」では、ほかにも高さや建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)など多くの制限がある。例えば、「高さ10メートルを超えてはいけない」といった規制だ。


 もちろん、行政は多くの人が快適に住めるように規制を作っている。しかし、家を建てる人は「敷地の中で、可能な限り広い家にしてもらいたい」と希望するのが常だ。「全体最適」と「個別最適」。相反する両方の要望を何とか満たそうと、建築士や不動産業者が苦心した結果、「変な間取りや形」の家が生み出されていくというわけだ。


●フシギな間取りは心霊現象とは無関係だが……


 24年に公開され、注目を集めた映画「変な家」は、奇妙な建物を起点としたミステリーだった。「十角館の殺人」(講談社)など「奇妙な間取り」にまつわる小説やドラマは多い。変な家、変な間取りは、不合理に見える形や構造から、人に不思議な気持ちだけでなく、ちょっとした恐怖や好奇心を誘発するのかもしれない。


 阿蘓氏は「もちろん、フシギな間取りが心霊現象を起こしたり、事件につながったりすることはない」と笑う。ただ、「設計能力が低いために、不合理な間取りになっている物件は散見される」と指摘する。デザイン性や床面積の大きさなどを重視した結果、「水回りを2階にまとめたため、帰宅後すぐ手を洗えなくなった」「リビング階段をつけたら冷暖房効率が落ちてしまった」といった例も少なくない。


●「間取りの成功」にITは役立つか


 23年に国土交通省が実施した「住生活総合調査」によると、今後の住み替え意向がある世帯が既存住宅(中古住宅)を購入する際の条件では、「希望する広さや間取りであること」が「希望する立地にあること」に次ぐ2位にランクインした。自宅は家族と長い時間を過ごす場所だけに、「間取りの失敗」「不合理な間取り」は住人の満足度の低下など大きなリスクを伴う。


 最近では仮想現実(VR)やCGを活用した「建築VR」が登場。ユーザーがVRヘッドセットを装着し、室内外を歩き回ったり視点を変えたりすることで、図面やパースでは分かりにくい広さや高さ、素材の質感などを直感的に把握できるようになった。設計者と施主が同じVR空間を見ながら仕上げやレイアウトを検討するため、施工前のイメージと完成後の建築物のギャップが小さいといわれる。


 「フシギな間取り」でも、そうでない間取りでも、本当に大事なのは、居住者が長期的に満足できるかどうか。住人にとっての「成功した間取り」作りには、建築士らの協力はもちろん、急激に進化するITも貢献できるかもしれない。


●著者プロフィール:加藤勤之


GA technologies Public Relations 本部長 宅地建物取引士


2002年、東京工業大学理学部数学科卒、博報堂入社、外食、製菓、化粧品メーカーの営業に約10年従事、その後、労働組合委員長を経て、経営企画や新規事業開発、働き方改革部長などを務める。 2018年12月、総合不動産会社オープンハウス入社、マーケティング本部長、広報宣伝部長、社長室長、事業開発部長に従事、兼務で、スキー場を運営する子会社みなかみ宝台樹リゾート代表も務めた。2023年11月、GA technologiesに入社、Communication Design Center本部長を経て、現在は、Public Relations本部長として、広報と渉外の責任者を務める。



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  • 住む人が満足してれば…どんな間取りだって、そ����ʴ򤷤����れでイイじゃない。。。
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