【男子バレー】「僕がブロッカーなら絶対に嫌」清水邦広が語るアジアMVP�盒桐�のすごさ 最年少でもチームを引っ張った強さの秘訣

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2026年10月05日 16:40  webスポルティーバ

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清水邦広が振り返るアジア選手権 前編

 9月に行なわれたアジア選手権で、男子バレー日本代表は優勝を果たし、ロサンゼルス五輪の出場権を獲得した。その戦いで見せた日本の強み、攻守でチームを牽引した�盒桐�について、かつて長く日本代表で活躍した清水邦広氏にあらためて振り返ってもらった。

【日本代表の最大の強み】

――男子バレー日本代表がアジア選手権で優勝し、2年後のロサンゼルス五輪出場が決まりました。清水さんはどうご覧になりましたか?

清水邦広(以下、清水) まず、シンプルにすごいですね。ひと言で言うなら「強い」。ネーションズリーグから戦い続けて、アジア選手権の前にブラジルとの親善試合があり、練習試合もあった。その時の映像を見た時は、ちょっと疲れているのかなという印象でしたが、本番はまったくそんなことはなかった。「ピーキングがうまいな」と感じました。

――ネーションズリーグからここが進化した、と思うところは?

清水 全体的にクオリティが上がっていました。ネーションズリーグからずっといい状態で、ハイレベルのバレーボールをしてきて、アジア選手権でもそのレベルをキープした。それは当たり前のことではないし、なかなか難しいんです。選手個々では調子の良し悪しや浮き沈みがあったかもしれないですけど、チームとしてはずっとハイレベルだった。そのことだけでも、僕はあらためて日本代表のすごさを感じました。

――清水さんから見た日本の「強さ」とは?

清水 挙げ出すとキリがないぐらい、いいところがいっぱいあったんですけど、まずはディフェンスです。ただレシーブがいいということではなく、サーブからすべてがつながっているからこそ、日本の強みであるディフェンスがより生きていました。

 特に今シーズンは、�盒桐�選手を筆頭に全員がいいサーブを打てていたので、相手を崩すことが多かった。そうなれば日本のブロックディフェンスが機能します。ブロックのポイントは少ないかもしれないですけど、リベロの山本智大選手はもちろん、アウトサイドヒッターの藍選手や、オポジットの西田(有志)選手など、ポジションに関わらずみんながいいレシーブをしていました。

――そこからしっかり得点する場面も多かったですね。

清水 セッターの深津(英臣)選手がトスを上げられない状況でも、すべての選手がいいセット(トス)ができる。ただレシーブが上がった、ということではなく、そこからいいセットをして攻撃につなげられるのが日本の最大の強みですね。

 ほかのチームを見ても、レシーブがいいチームはたくさんありましたが、そこからスパイカーが打てるセットができていたかといえば、必ずしもそうではない。一方で日本は、みんないいセットができるからスパイカーが気持ちよく打てます。その差が、アジア選手権では顕著に出ていたのではないでしょうか。

【本当に心強かった�盒桐�】

――全員がそれぞれの役割を果たしての優勝でしたが、そのなかでも清水さんが特に印象的だった選手は?

清水 本当に全員が素晴らしかったんですけど、一番はやはり藍選手ですね。今シーズンはネーションズリーグから、みんなが「すごい」と称賛し続けるようなパフォーマンスを見せてくれました。アジア選手権になっても変わらず、攻撃もディフェンスも日本チームになくてはならない存在です。

 プレーだけでなく、メンタルの部分でもチームを引っ張って鼓舞するのが印象的でした。今大会はチーム最年少でしたけど、そんなことを感じさせないぐらい「自分が引っ張っていくんだ」という姿を見て、「これが藍選手の強さの秘訣なんだな」と感じました。

――ディフェンスの素晴らしさは以前から定評がありますが、攻撃面でも素晴らしい活躍でした。�盒響�手が長けているのはどんなところですか?

清水 どんなトスに対しても、自分で合わせて得点にする能力が抜群です。セッターは機械ではないので、トスがネットから離れてしまったり、長くなったり短くなったり、ポイントがずれたりすることもあります。だけど、藍選手はどういう状況でも決めてくれる。単純な強打だけではなくフェイントもあるし、右手で打つと思わせて左手で落としたり、背面でスパイクしたり、3枚ブロックがついている時もブロックに当てて奥へ飛ばしたり......。いろんな引き出しがある選手です。

 状況を見極めながら「このトスならば、この攻撃が点を取れる確率が高い」と判断して、その時々でベストな選択をしている。僕が相手のブロッカーだったら絶対に嫌ですね。

――何をしても決められる?

清水 そうですね。このトスはこう打つしかない、このコースしかない、というところに絶対に打てますから。たまにコースが少し甘くなったり、打ちきれなかったり、バランスを崩したりすることもありますが、ジャンプの滞空時間が長くて空中バランスもいいので、いろんなことができる。攻撃でも本当に心強い存在でした。

――サーブでも大会全体で1位でした。サーブに関してはいかがですか?

清水 ネーションズリーグでは、どちらかというと強いサーブが多かったんです。それがアジア選手権では、強いサーブとショートサーブが半々くらい、むしろショートサーブのほうが多かった印象です。

 おそらくサーブを打つ前に、サーブレシーブをする選手の位置を確認して、どこに打つか決めていたんでしょう。ちょっと後ろに下がっていたら前に落とそうとか、前にいたら奥へ打とうとか、瞬時に判断しながら打っていた。打つ"幅"がとにかく広かったので、相手は本当に手を焼いたと思います。

(中編:アジア選手権「優勝の立役者」は? 最後の1本をエースに託した選択も「全然いい」>>)

【プロフィール】

清水邦広(しみず・くにひろ)

所属:大阪ブルテオン

1986年8月11日生まれ、福井県出身。身長192cm、オポジット。福井工大福井高校時代に春高バレーに出場するなど活躍。東海大学在学中の2007年に日本代表に選出され、翌年の北京五輪に出場した。2009年にパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)に入団後、多くの個人タイトルを獲得するなど、チームを何度も優勝に導いてきた。2021年には東京五輪に出場し、日本代表のベスト8進出に貢献した。2025−26シーズン限りで現役を引退し、大阪ブルテオンのコーチングスタッフに就任した。

田中夕子●取材・文 text by Yuko Tanaka

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