航空機の搭乗口付近を見回る警視庁羽田国際捜査センターの捜査員=6月18日、東京都大田区 東京都心に近く、国内最多の利用者数を誇る羽田空港で、凶悪犯らの国外逃亡に目を光らせている警視庁の捜査員がいる。24時間体制で常駐し、事件発生からわずか3時間後に容疑者を発見・逮捕することに貢献したことも。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)など海外に拠点をもつケースもある中、水際対策の重要性が増している。
同庁国際犯罪対策課の羽田国際捜査センターは2015年12月、訪日客数増加に伴い創設された。容疑者の海外逃亡阻止のほか、海外から移送される容疑者の護送支援が主な任務。従来は要請を受けてから近隣の警察署員らが対応していたが、同センター創設後は専従の捜査員が24時間体制で空港に常駐し、警戒などに当たっている。
事件発生後、容疑者が特定されると、氏名や生年月日、身長や服装などの情報を基に、捜査員が出国状況を確認。利用する可能性のある航空会社の窓口付近を中心に捜索する。
昨年9月に世田谷区で起きた殺人事件では、出国手続き前だった韓国籍の容疑者発見に貢献。発生から約3時間後のスピード逮捕に結び付いた。男は発生直後に航空券を予約し、逃亡しようとしていた。
今年5月には、栃木県上三川町の民家で女性が殺害された強盗殺人事件の指示役逮捕にも貢献した。発生の3日後、出国審査を終えて出発ロビーにいたところを同県警の捜査員と連携して確保した。
同センターに通算で約8年間勤務する清水口あけみ警部補は、警視庁だけでなく全国の警察と連携して、その要請に応えられた時に大きなやりがいを感じるといい「『初めてだからできない』は通用しない。水際にいる緊張感を持ち続けている」と語る。
外国から移送されてくる容疑者らの護送支援では、入国手続きや税関検査が円滑に終わるよう支援するほか、一般客の安全に配慮し、1カ月前から計画を練ることも。印象深い出来事としては、19年に捜査員ら70人態勢での特殊詐欺事件に絡む容疑者12人の護送に携わった例を挙げた。
同課によると、羽田空港だけでなく、海の玄関口にあたる東京国際クルーズターミナルや貨物船が寄港する埠頭(ふとう)でも、同様に水際対策を徹底している。
8月まで課長を務めた高橋季樹警視正は「発足以降、関係機関との連携などノウハウを蓄積して来た。一連のトクリュウの事案も含め海外に逃走する事案の増加が予想されるため、担う役割は大きい」と強調した。

警視庁羽田国際捜査センターの捜査員=6月18日、東京都大田区

警戒に当たる警視庁羽田国際捜査センターの捜査員=6月18日、東京都大田区