【フィギュア】樋口新葉GPシリーズ初V 疲労骨折、昨年全日本12位、よぎる引き際…復活23歳

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2024年10月21日 07:44  日刊スポーツ

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GP初優勝を飾った樋口新葉(撮影・藤塚大輔)

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカ>◇19日(日本時間20日)◇米テキサス州アレン◇女子フリー



22年北京オリンピック(五輪)団体銀メダルの樋口新葉(23=ノエビア)が、GPシリーズ初優勝を飾った。


フリー130・81点、合計196・93点とし、ショートプログラム(SP)4位から巻き返した。16年から同シリーズに参戦し、過去最高は2位だったが、ファイナルを含めて14度目の出場で悲願達成。渡辺倫果(三和建装/法大)が2位で続いた。


   ◇   ◇   ◇


フリー後の表彰式。会場に君が代が流れ始めた。金メダルを首から下げた樋口は、そわそわしていた。「いつもはおこぼれみたいだったので」。15歳でのGPデビューから8年。初優勝に感慨が込み上げた。「自分の結果で表彰台の一番上に乗るのは新鮮。続けてきたことへのご褒美かな」。今の自分を誇った。


北京五輪の翌22−23年シーズン。五輪までの奮闘の反動が大きく「このまま頑張れるのか」と自信を失っていた。右腓骨(ひこつ)の疲労骨折も重なり、10月以降の競技会を全休。充電期間を経て、昨季から復帰した。2回転ジャンプすら跳べなくなった状態から復活していく過程には「ちょっとずつできるようになるのが面白い」と充実感を覚えたが、次の目標は定まらなかった。昨年12月の全日本選手権は自身初の2桁台となる12位。「気持ちの良い状態で終わろうかな」と引き際にも意識が及んだ。


先が見えないまま、年明けには国民スポーツ大会(旧国体)へ。ジャンプでミスはあったが、SP、フリーともに全てのスピンやステップシークエンスで最高難度のレベル4を獲得した。合計194・11点での4位にも「自分が練習したことをそのまま出せた」と達成感が勝った。同時に「もしかしたら来季はもっと良くなるのでは」と向上心も湧き上がった。以前は演目の通し練習も1回でやめていたこともあったが、今季は「120%の力で」と何度も繰り返してきた。


この日のフリーも「全部レベル4を取る」と意気込んでいた。全7本のジャンプを降り、狙い通りに全てのスピンやステップを「4」で並べた。掲げた目標を達成し「すごく良かった」とうなずいた。ただ、満足感はない。「完璧な演技ではない」と強調し、次戦のフランス杯(11月1〜3日)へ「もっと良い点数を狙える」と視線を向けた。「細かな目標と課題を全てクリアしていければ」。GPファイナルや五輪ではない。目の前に全力を注ぐ今が、何よりも尊い。【藤塚大輔】


◆GPシリーズ 95−96年シーズンに「チャンピオンシリーズ」の名で開始。98−99年シーズンに「グランプリシリーズ」に改称。ロシア、カナダ、中国、日本、フランス、米国などで開催されてきた。例年10月から11月にかけて6週連続で6大会が行われ、各選手(組)最大2大会への出場が可能。順位に応じたポイントの合計で、上位6人(組)が、12月に開催するGPファイナルに出場する。


◆樋口新葉(ひぐち・わかば)2001年(平13)1月2日、東京都生まれ。3歳で競技開始。14年全日本選手権3位で新人賞を受賞。中2での表彰台は04年大会の浅田真央以来。18年世界選手権2位。22年北京五輪で団体銀。愛称「ばっちょ」。152センチ。

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  • ごめんなさい、ちゃんと知らなくて五千円札の人がフィギュア?どうゆうこと?と思ってしまいました。
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