有害物質で父親を殺害か 血液に痕跡 東京都台東区の夫婦を再逮捕

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2024年10月25日 10:03  毎日新聞

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毎日新聞

細谷健一容疑者(左)と志保容疑者=玉城達郎、岩崎歩撮影

 東京都台東区で2018年と23年に姉と次女を殺害したとして、元会社役員、細谷健一(43)と妻の志保(38)の両容疑者が逮捕された事件で、18年に父親も殺害したとして、警視庁捜査1課は25日、夫婦を殺人容疑で再逮捕した。親族の不審死に関して、夫婦が逮捕されるのは3回目。


 捜査関係者によると、医療機関に保存されていた父親の血液や診療記録を警視庁が調べたところ、姉や次女と同様に、自動車のエンジン冷却などに使う不凍液に含まれる有害な化学物質「エチレングリコール」を摂取した痕跡が確認されたという。


 再逮捕容疑は、17年8月〜18年6月ごろ、台東区今戸1の自宅マンションの部屋や入院先の病院で、健一容疑者の父親の細谷勇さん(死亡時73歳)にエチレングリコールを摂取させ、殺害したとしている。


 警視庁は、飲食物に混入させる方法で、両容疑者が複数回にわたり、勇さんにエチレングリコールを摂取させたとみている。両容疑者はいずれも黙秘しているという。


 勇さんは当時、両容疑者と同じマンションに住んでいた。17年ごろから体調不良を訴え、入退院を繰り返していたとされる。血液の難病「再生不良性貧血」と診断され、死因は敗血症だったとみられる。


 警視庁が病院に保存されていた勇さんの血液や、血液検査の結果が記載された診療記録を確認したところ、「クレアチニン」や「尿酸」などの数値が上昇していた。


 エチレングリコールは体内に入ると、腎不全を引き起こすとされる。クレアチニンなどの数値は腎臓の働きが悪いと上昇するため、警視庁は勇さんの数値の変化が、エチレングリコールの摂取によるものとみている。


 また、スマートフォンやパソコンを解析したところ、両容疑者は勇さんの体に変調が起き始めた時期と重なる17年以降、通販サイトで、数回にわたりエチレングリコールを購入していたという。


 一家を巡っては、18年1月に健一容疑者の母親(当時68歳)、4月に姉の美奈子さん(同41歳)が相次いで死亡。さらに、23年3月には、両容疑者の次女の美輝(よしき)ちゃん(当時4歳)が不審死し、遺体からエチレングリコールの成分が検出された。


 警視庁は今年2月、美輝ちゃんに不凍液などを摂取させて殺害したとして両容疑者を逮捕し、その後、美奈子さんに対する殺人容疑で再逮捕していた。


 登記簿などによると、健一容疑者は姉が死亡した後の18年6月、勇さんの後を継ぎ、台東区内でホテルを経営する「ホソヤ産業」の代表取締役に就任。勇さんの死亡後に、マンションも相続した。


 警視庁はホテルの経営を巡って、家族間でトラブルがあったとの情報を得て、勇さんの死亡について捜査していた。母親の死亡の経緯も調べる。


 東京地検は両容疑者を鑑定留置を経たうえで、今年9月に美奈子さんに対する殺人罪で起訴。美輝ちゃんの殺害容疑については処分保留とし、捜査を続けている。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】



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  • 姉と父親の殺害は目的が分かるけど、子供はなんで??
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