「スシローの北京1号店」いまも6時間待ち 担当者に聞いた、なぜこんなに人気なの?

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2024年11月11日 06:21  ITmedia ビジネスオンライン

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スシロー、なぜ北京で人気なの?

 8月21日、FOOD & LIFE COMPANIES(フードアンドライフカンパニーズ、以下F&LC、大阪府吹田市)は、中国の首都・北京で初出店となる「スシロー西単大悦城店」をオープンした。


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 2011年の韓国進出を皮切りに海外進出した同社は、現在7エリア(韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、中国、インドネシア)に回転すし「スシロー」を、2エリア(香港、米国)に大衆寿司居酒屋「杉玉」を、それぞれ展開している。


 中国への進出は2021年で、まず南部に出店し、本土を北上しながら店舗を拡大。そして、この8月に首都・北京に1号店をオープンした。現地の反響は大きく、初日は一時12時間待ちが発生するほどの大行列だった。


 その後、北京市内に2店舗がオープンしているが、1号店ではいまだ多くの人が並んでいるという。現地事業の担当者に、北京展開の狙いと人気の背景を聞いた。


●海外店舗でも「日本のスシロー」を再現


 F&LCでは、スシローのほか、持ち帰り寿司の専門店「京樽」、スシローより高価格帯の「回転寿司みさき」、そして「杉玉」の4ブランドを展開している。2024年9月末時点で海外店舗数は計182店舗で、そのうち中国に構えるスシローは44店舗となる。


 同社がスシローの海外展開において強みとしているのは、日本同様の「直営」による店舗運営だ。


 「日本で磨いてきたおいしさを海外でもそのまま提供したい、日本におけるブランドイメージもそのまま伝えたいという思いから、フランチャイズ展開ではなく直営としています。日本の店舗運営で十分な経験を積んだ社員が海外の各エリアに赴任して、直接マネジメントをする体制です。そうやって日本のスシローと同じ商品、オペレーションの再現に努めています」


 そうした方針ゆえ、どの国でも基本的にローカライズはしていない。現地の人々の食文化にマッチするオリジナルメニューではなく、日本のスシローの寿司を海外でも同様に提供しているという。


 オペレーションにおいては、現地スタッフとの連携が求められるが、「仕事に打ち込む熱量などは大きく変わらない」という。日本でも海外でも、いかに目標を設定し評価をするか。教育内容や人事考課といったマネジメントする側の意識が重要のようだ。


●デジローだけでなく、日本にはない「個室」


 スシローが中国に進出を決めたのは、それ以前に出店していた香港での実績が大きい。香港の文化や食べ物の好みは中国の都市と似ており、同様に人気を獲得できるだろうと予想したという。


 中国では、まず南部の広州に出店し、深セン、成都と本土を北上しながら店舗を拡大。そして、この8月に北京市内に1号店をオープン。同店は多くの若年層が訪れるショッピングモール「西単大悦城」の中に位置する。


 「北京は伝統と現代が融合しており、世界中の食文化が集まっています。人々は料理の味だけでなく品質やスピード感も求めており、スシローが大切にしている“うまさ”や、効率的な店舗運営が受け入れられるだろうと考え、出店を決めました」


 座席数は234席(テーブル6名席×36卓、2名席×8、1名席×2)で、日本にはない個室(6名用、10名用が各2部屋)も設置している。これは、大人数で食事をする文化があるためだという。


 同店には、スシローが2023年9月より日本の一部店舗で導入している大型タッチディスプレイ「デジロー」も設置した。国際的なビジネスや観光の中心地である北京では、デジタルへの親和性が高いと予想されることに加え、現地の人々が求める効率的な運営を実現する目的もあるそうだ。


●1号店は大反響、初日は12時間待ちも


 1号店は、オープン前の段階で予約が1カ月先まで埋まっていたので、担当者は「ある程度の集客があるだろうと感じていた」という。オープンすると「待ってました」とばかりに人々が押し寄せ、初日は一時12時間待ちが発生するほどの反響に。なぜ、これほどの人気を得ているのか。


 「海が近く多様な文化と接している天津や北京には、新しいものが受け入れられる土壌があります。そうした背景から日本食への興味・関心が高いことに加え、2024年5月に天津でスシローをオープンしたことから、その反響が北京へも事前に伝わっていたそうです。現地メディアでもスシローでの食体験が紹介され、それを見て来店されたお客さまからも好評のお声をいただき、反響が連鎖を呼ぶ形となりました」


 一皿の価格は10元(約210円)、15元(約320円)、20元(約430円)、28元(約600円)の4種類で、そのうちの半分以上を10元で提供する。平均的な1食の価格は約100元(約2100円)で、現地の大衆レストランと同等だ。この価格帯に対する品質の良さは、評価されている大きな要素だという。


 日本に旅行した際にスシローで食事をした人がファンになり、地元で開業した際に足を運ぶことも多いそうだ。寿司の楽しみ方は日本とさほど変わらず、家族や友人同士で訪れる人が多い。大とろ、中とろ、まぐろ、サーモン、赤えび、うなぎなどのネタは、日本同様に人気だという。


 「デジローについても、新しいものに敏感な北京のお客さまに受け入れられていると感じます。高評価のポイントは、使い勝手、商品の鮮度感、明朗会計、アミューズメント性、衛生面などですね」


●2カ月後も行列必至。出店拡大も検討


 その後、北京市内には9月に2号店、10月に3号店がオープンしている。それでも、1号店はオープンから約2カ月が経過した現在も、ピーク時は6時間ほどの待ち時間が発生している状況だ。


 「北京市内の店舗は、立地や来客層などを考慮し出店を決めました。1号店は若者が多いショッピングモール、2号店はさまざまな場所へのアクセスが便利な郊外で来客はファミリー中心、3号店の来客層は1号店・2号店両方の要素を持ち、首都空港に近いロケーションで外国人など幅広い層になります」


 現状の課題を尋ねると、「待ち時間の減少とより良い店舗運営」を挙げた。多くの来客がある実績から「評価を得ていると捉えている」としつつ、満足度を上げていくには、さらなる品質向上とより快適に利用できる店舗運営が求められるという。


 実際、かなり強い動機がないと「数時間待ち」はキツいだろう。一度来店して「また食べたい」と思っても、混雑がネックになって来店できないことは十分にありそうだ。今後の北京市内の展開においては、顧客からの支持が得られれば、さらなる出店拡大も検討しているという。


(小林香織)



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  • まさか日本産ホタテは使ってないでしょうね?
    • イイネ!10
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