FIFAワールドカップ26アジア最終予選の2024年最終シリーズとなる11月のインドネシア代表、中国代表とのアウェー2連戦。重要なシリーズに向け、日本代表が11日から現地で始動した。
初日はDF長友佑都、GK谷晃生、DF関根大輝、DF高井幸大の国内組4人と、MF堂安律、MF藤田譲瑠チマの欧州組2人の合計6人が、ジャカルタでの全体練習に参加。国内組4人は10日のフライトが機材トラブルで羽田空港に引き返すというアクシデントに見舞われたが、「ホテルで滞在して、トレーナーにケアしてもらったりしたので、疲労は全く感じていない」と38歳の大ベテランである長友も強調。トレーニングでも大きな声で仲間を鼓舞していた。
ジャカルタは雨が降ったりやんだりのあいにくの天候。気温自体は30度には達しなかったが、高温多湿の東南アジアらしい気象条件だった。そんな中、選手たちはアグレッシブな姿勢を前面に押し出す。トレーニングは17時前からスタートし、ランニング、ヴォーミングアップ、トライアングルパスからのシュート、鳥かご、パス交換からのシュートといった流れで約50分間進んだが、しっかりと全てのメニューを消化した。
このうちトライアングルパスからのシュートは、9月から日本代表コーチに就任した長谷部誠コーチが担当。彼が初めてセッションを受け持つということで、長友や堂安らは精力的にプレーし、新コーチを盛り上げていた。これは森保一監督の新たなチャレンジだったのだろうが、チームに少なからず刺激を与えたはずだ。
練習終了後には6人全員が取材に応じたが、この日は日本メディアが約30人に対し、インドネシアメディアは50人超。サッカーに対する現地の熱気はヒートアップする一方のようだ。
「(スカルノ・ハッタ)空港に(11日の夜中)2時に着きましたけど、10台ぐらいのテレビカメラとかファンが集まっていて、これはなかなかないことだなと。このサッカー熱が非常にうらやましいですね。ここまでの熱気は15年超の代表キャリアの中でもないこと。自分がちょっとハリウッドスターになったのかような気分にさせられました」と、長友が冗談交じりに語ったほどだ。
堂安も「日本にリスペクトを持ちながらも、追い越してやろうという気持ちがあると思う。そのチャレンジ精神に僕らも負けずにやる必要がありますね」と警戒心をのぞかせていた。
今、インドネシアサッカーはそれだけの勢いがあるということ。7万人の大観衆が詰めかけると言われる完全アウェーの雰囲気、環境面など、日本代表にとっては侮れない要素が少なくなさそうだ。
この日、室内調整にとどまったGK大迫敬介、GK鈴木彩艶、MF遠藤航、DF橋岡大樹、DF菅原由勢、MF田中碧、MF鎌田大地、MF南野拓実、FW大橋祐紀、MF三笘薫、FW小川航基の11人、ホテルで静養に努めたDF板倉滉、そして12日に到着する9人を含めた27人全員が、15日の本番に向けてより一層士気を高めていく必要があるだろう。
12日のトレーニングからは27人全員が揃う予定。今回はDF谷口彰悟、FW上田綺世の負傷もあり、最終予選の過去4試合とは異なる編成で試合に挑まなけれなならない。それだけに、まずは選手全員がコンディションを最大限引き上げ、チームの共通認識を高めていくべき。日本代表が“アジア最強”であることを示すためにも、ここからの準備が非常に重要になる。
取材・文=元川悦子