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建築の専門誌である「月刊建築技術」は、2024年11月15日発売の2024年12月号を最後に休刊すると発表した。同誌は1950年に創刊され、75年にわたって刊行された建築専門誌の老舗。編集部は公式ホームページで、「このような形となってしまい、まことに申し訳ございませんが、事情ご賢察の上、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます」と述べている。
編集部の発表によると、「創刊以来『実践的科学技術の紹介』をテーマに、意匠・構造・施工・材料・設備・環境の接点を探りながら、構造と施工の魅力や面白さを発信して」きたという。そんななか、「取り巻く環境が年々厳しさを増し、雑誌市場が急速に縮小する中、刊行継続に向けて努力を続けて」きたとつづった。
そのうえで、「一旦、役目を終えるという判断に至り、断腸の思いで休刊を決意致しました」と結んでいる。「月刊建築技術」は、株式会社建築技術のいわば看板となる雑誌であり、編集部のコメントからも無念さがにじみ出ている。なお、雑誌の休刊後も書籍の編集・刊行は継続するという。
ほんの20年ほど前までは、あらゆる分野の専門誌が刊行されていた。専門誌は専門性に特化しているため、流行に振り回されることがなく出版不況下でも安泰と考えられていた。ところが、2010年以降は休刊が相次いでいる。主な理由は広告収入の激減といわれている。専門誌は広告によって維持されていた部分が大きかったのである。
特に、あるアウトドア専門誌は、バブル期は広告収入だけで毎号1億円以上あったといわれている。雑誌が一冊も売れなくても黒字になっていた専門誌は多い。ファッション雑誌などは広告が入りすぎ載せきれないため、別の雑誌を創刊する事態に発展するほど、雑誌市場が活況を呈していたこともあった。
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さて、建築専門誌の現状を見てみよう。ある建築専門誌は、1990年代と比べると明らかに薄くなっている。ページ数も減少している。比較してみるとわかるが、広告のページが急激に少なくなっているのだ。建築の専門誌は大手ゼネコンはもちろんだが、コンクリート、ガラス、窓、鉄骨などあらゆる企業の広告が入っていたため、その広告収入が重要な柱になっていたとされる。
このたびの「月刊建築技術」の休刊も、こうした広告収入の減少をはじめとする複合的な要因で起こったことであろう。ただ、こうした専門誌が休刊した穴を、ネットメディアが埋め切れていないという指摘もある。専門性の高い情報を伝えるプラットフォームの整備が急務であることは間違いないだろう。
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