12月31日に放送される『第75回NHK紅白歌合戦』出場歌手41組が発表された。そのうちの10組が初出場を勝ち取ったが、もはやネットで恒例となっているのがーー、
《こっちのけんと誰やねんすぎる どっちのけんとも知らねえよ》
《煽りでもないしアンチ韓国でもないんだけど、まじでILLITって誰ですか?》
《tukiって誰と思って調べたら、なんか口揃えて大概の人が「晩餐歌知ってると思う」って言ってるから聞いてみたけどマジで知らんのでマジで誰になってる》
《Number_i:滝沢秀明の最終兵器 こっちのけんと:菅田将暉に弟がいることは初めて知った TOMORROW X TOGETHER:知らん ILLIT:知らん ME:I:知らん》
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初出場組に向けられた「誰やねん」「知らない」の定番ツッコミだ。
これまで番組の柱となっていた演歌や歌謡曲が少なくなっていく一方で、近年は若者世代の目を意識した“SNSでバズる”企画、構成が目立っている紅白。それだけに一定の世代以外には馴染みがない歌手、アーティストの名前が並ぶことも多くなっている。
そんな世代間での“ジェネレーションギャップ”が生じているのだが、「誰やねん」の感想を持つのはテレビ世代だけにあらず。
後輩から「イルカって誰?」って言われた
《すんごい申し訳ないんやけど イルカさんって誰…?》
《NiziUが出ない... YOASOBI.Perfumeも 今年は紅組つまんない イルカって誰?》
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《昼休みに、紅白発表を確認したら、 後輩さんから、「イルカって誰?」って言われた、フォークソングだよ、なごり雪だよ と説明してみたよ》
1992年以来、32年ぶり2回目の出場となるフォークシンガー・イルカにも「誰やねん」ーー。
1975年にフォークバンド『かぐや姫』の楽曲『なごり雪』をカバーして大ヒットした、12月で74歳になる大ベテラン歌手・イルカ。ところが、当時は生まれてもいないZ世代や若いSNS世代にしてみれば「イルカって誰?」と知る由もなく、逆“ジェネギャ”になっているわけだ。
ちなみに紅白でイルカとは“対”で歌うと目される、6回目の出場を決めた南こうせつにも、
《南こうせつって誰だよWWWWWWWWW絶対いないってWWWWWWWWWって一覧見たらホントにいるし南こうせつ(6)なのずるいって》
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フォーク世代には当たり前すぎて気にならない、“南こうせつ”の名前がとにかく気になるユーザーも。
歌は家族ではなく個人で楽しむものに
「おもしろい現象ですね」と笑うのは芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。
「つまり中高年世代が“こいつ、誰”と言えば、若い人たちも“こいつ、誰”とお互いに言い合っているんですね。かつて紅白といえば国民的番組で、出場するのは誰もが知る歌手ばかり。というのもテレビをつければ歌番組が溢れ、レコードやCDを買い求め、はたまたラジオや有線では自然と“流行曲”を耳にしていました」
が、現在は楽曲をネットでダウンロードしたり、スマホでYouTubeなどの動画でMVを見たりと、好きな歌手やアーティストだけを選んで個人で視聴できる時代。テレビの前で家族揃って歌番組を楽しむこともなくなり、さらに世代間の“ミゾ”は深まってしまった。それが如実に現れるのが紅白ということか。
「ですが、逆に言えば昭和、平成、令和の歌を一堂に聞けるのも紅白の魅力でしょう。普段、アップテンポやダンスありきの曲を聞いている若い世代にとって、じっくり聞かせる『なごり雪』は新鮮に映るかもしれません。SNSでは昭和歌謡曲もブームなりましたからね。
今も年末の風物詩、お祭りでもある紅白。お互いに“誰だよ”と言い合うのではなく、“今はこんな曲が流行ってるんだ”“昔はこんな曲を聞いていたんだ”と、世代間での理解を深め合う機会にもなるのではないでしょうか」(佐々木氏)
大晦日は家族揃って“ジェネギャ”を楽しむのもいいのかもしれない。