【射撃】「無課金おじさん」ジャケット羽織りコートを持った“重装備”で来日「心より感謝します」

「無課金おじさん」が来日した！　パリ五輪射撃混合エアピストルで銀メダルを獲得したユスフ・ディケチ（51＝トルコ）が3日、羽田着の航空便で来日した。特殊な装備を着けずラフな半袖Tシャツ姿で試合に臨む姿が話題となったが、今回はジャケットを羽織り、コートを持った“重装備”に。28年ロサンゼルス五輪で、競技の第一線から退くことも明かした。

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夏の祭典から4カ月。フィーバーは続いていた。午後7時44分の到着から52分後。「無課金おじさん」が到着ロビーに姿を見せた。銃器の税関通過で時間を要したが、ディケチは差し出されたサイン本に快くペンを走らせた。駆けつけたファンに追いかけられながらも手を振って応えた。通訳を介して英語で取材に対応。開口一番「日本に来ることを心より感謝します」。誠実な人柄がにじんだ。

Tシャツ姿で左手はポケットへ。通常、耳の保護具やブラインダー（目隠し板）などの装備を着用する競技で、ラフな装いながら銀メダルを獲得。今夏話題となった。日本ではオンラインゲームで装備に課金しないことに例えた「無課金おじさん」の愛称が付いた。「いろいろな装備をつけるのは私のスタイルではない。このメガネがあれば十分だ」。この日は青チェックのシャツに濃紺のジャケット、ベージュのパンツ。競技中よりは“重装備”だったが、取材対応中は手はポケットに入れず、身ぶり手ぶりで思いを語った。

今夏、旧友にチャットメッセージを送った。「メダルを取ったよ！」。数十年親交のある08年北京大会から五輪3大会連続出場した松田知幸氏（48）から「ぜひ日本へ」と返信があった。今秋に正式にオファーを受け、実現した。日本ライフル射撃協会が事業の一環として費用など全面バックアップ。強化指定選手の指導にあたり、7日の日本トルコ親善大会（栃木）も参加する。

また今後について「ロスまでを一区切りとして、現役生活を続けたいと考えています」とロス五輪で競技の第一線から退くと明かした。無観客開始だった21年東京五輪以来の来日。「人と交わることが楽しみです」。笑顔をのぞかせ、クリスマスツリーの前でバッチリ“無課金”ポーズを決めた。【飯岡大暉】

◆「無課金おじさん」五輪VTR　混合エアピストルに、24歳のシェバルイライダ・タルハンと出場。予選で582点をマークし、トップで決勝進出。決勝はゾラナ・アルノビッチ、ダミル・ミケッツ組（セルビア）に14−16で敗れ、金メダルを逃したが、銀メダルを獲得した。個人で出場した男子エアピストルは13位だった。

＜「無課金おじさん」アラカルト＞

◆経歴　73年1月生まれ。トルコの憲兵隊に所属していた元軍人

◆五輪　08年北京大会に35歳で初出場し、パリまで5大会連続。過去最高は12年ロンドン大会の13位

◆メダリストがマネ　陸上男子棒高跳びで6メートル25の世界新記録で優勝したアルマント・デュプランティス（スウェーデン）が決勝で射撃ポーズを披露し、“本家”ディケチがX（旧ツイッター）で「おめでとう　デュプランティス」と祝福。他にも男子円盤投げで金メダルのロジェ・ストーナ（ジャマイカ）らが模倣

◆商標登録　9月に自身の射撃動作を商標登録したと報じられる。コーチのビルギリ氏は「ディケチの同意なしに、多くの人が商標登録を試みた」「トルコの特許庁および商標庁に、彼のポーズに対する商業的な使用を保護するため申請した」と説明

◆猫愛好家？　22年11月に自身のインスタグラムに投稿した猫との2ショットが拡散される。クリーム色の猫を肩に乗せ、見つめ合う写真に「猫おじさん」との愛称も