米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沖で、政府は軟弱地盤の改良工事に着手した。昨年の代執行を経て、工事はさらに加速。現場は多様な生物が生息する「ホープスポット(希望の海)」に選ばれており、地元では怒りの声が上がっている。
移設計画では、辺野古にある米軍キャンプ・シュワブの沿岸約150ヘクタールを埋め立て、市街地の真ん中にあり「世界一危険」とされる普天間飛行場の機能の一部を統合する。
沖縄県などによると、埋め立てられる海域には260以上の絶滅危惧種を含む、5300種以上の生物が確認されている。世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)の生物種数約4600種を上回るという。
海洋学者らでつくる米国の環境NGOは、辺野古・大浦湾一帯の生物多様性を評価し、2019年に世界的に重要な海「ホープスポット」に登録した。
辺野古の海で10年以上ダイビングツアーをしているインストラクターの岩本俊紀さん(53)は「長期化する工事の影響をサンゴは耐えきれない」と悔しさをにじませる。「生物多様性の美しい海が壊され、怒りを覚える」と話した。