人間やサルがヘビをいち早く察知できるのは、細長い体などではなくうろこに脅威を感じることが原因とする研究結果を、名古屋大大学院の川合伸幸教授(認知科学)が発表した。天敵から身を守るため、ヘビの特徴であるうろこを早く見つけるよう視覚システムが進化したと考えられるという。論文は、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
川合教授によると、これまで人間やサルがヘビを怖がるのは生まれつきと考えられてきたが、ヘビのどの特徴に脅威を感じるかは不明だった。
そこで、ヘビやイモリを知らない研究所生まれのニホンザル3匹を使って実験。タッチパネルに映される9枚の写真の中に、1枚だけ紛れ込ませた別の動物を選ぶよう訓練し、選び出す時間を比較した。
その結果、従来の通説通り、3匹ともヘビの中からイモリを選ぶよりも、イモリの中からヘビを見つける時間が早かった。平均で0.84秒早いサルもいた。
次に、画像処理でイモリにヘビのうろこを貼った写真を使って再度実験。その結果、2匹はヘビの中からイモリを見つける時間と、イモリの中からヘビを選ぶ時間はほぼ同じだったほか、1匹についてはイモリの中からヘビを選ぶよりも、ヘビの中からイモリを見つける時間の方が早かった。ヘビのうろこに敏感に反応したといえるという。
川合教授は、「野生のサルによる農作物の食害対策として、ヘビのうろこ模様が効果的かもしれない」と話している。