日本郵便が宅配便「ゆうパック」の配達を委託している業者からコスト上昇を理由に価格転嫁を求められたのに十分な対応をしなかったとして、公正取引委員会が昨年、下請法違反(買いたたき)に該当する恐れがあるとして同社を行政指導していたことが8日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、行政指導は昨年6月。同社は業者からコスト上昇に伴う委託料の引き上げを要請されたが、協議せずに据え置くなどしていたという。
中小企業庁が2023年2月に公表した中小企業の価格転嫁に関する調査では、日本郵便が最低評価だった。これを受け、日本郵便は自主点検を実施。その結果、全国の集配郵便局1001局と13支社のうち139局と2支社で、取引先からコスト上昇分の委託料の引き上げ要請に対して協議することなく据え置くなどの事例が確認された。
日本郵便は「行政指導の有無については、弊社からお答えすることはできない」とした上で、23、24年度は委託料の引き上げを提案し、全ての協力会社と合意したと説明。25年度も同様に対応するとし、「引き続き、協力会社とのパートナーシップ強化に取り組む」としている。
日本郵便を巡っては、業者が誤配達などをした際、十分な説明をせずに違約金を徴収していたとして、公取委が下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)で行政指導していたことも明らかになっている。